まきまき花巻行きたい県内指折りのパワースポットは古刹
県内指折りのパワースポットは古刹
74 まき
このエントリーをはてなブックマークに追加

花巻市東和町谷内、田瀬ダムに向かう途中に丹内山(たんないさん)神社はある。由来が記してある札書を読むと平安時代初期である9世紀初めに空海の弟子が不動尊像を安置し本地としたことをもって創建と書いてあるが、もっと以前から信仰の場所であったなどいくつかの言い伝えがある場所だ。神社となったのは廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)が行われた明治期とのことで、それ以前は神仏混淆(しんぶつこんこう)の聖地であったとらしい。創建と伝わる9世紀から100年ほど後に京都でまとめられた、当時の国内の神社などが書かれた「延喜式(えんぎしき)」に載ってないのは、元々神道の社ではなかったことによるとの説もあるが、当神社周辺からは平安時代の器など遺物が出土しているようなので、由来も信憑性がある。大権現(だいごんげん)と称されていたとすれば、もしかしたら早池峰山を本拠とする修験(しゅげん)も立ち寄った場所だったのかも知れない。

田瀬ダムへ通じる道から案内板に沿って細い坂道と通り、何段にも高さを変えて小社を祀ってある石段を登ると大きな赤い鳥居が現れる。ここが入り口。

後ろを振り返ると、空が広く、旧谷内村の風景が一望できる。山そのものを御神体と一体化して住民たちから仰ぎ見られていたと同時に、いざという時は砦ともなる造りになっていたのだろうか。遠く土沢方面まで見えるので、物見には最適な場所だろう。ここに不動明王を勧進した空海の弟子日弘はもちろん、平泉藤原氏、安俵小原氏、盛岡藩南部氏など、当社を手厚く庇護した歴代の統治者たちもこの風景を愛でたにちがいない。

本社まで来るとお社の偉容に圧倒される。現存の社殿は、江戸末期の19世紀初頭建造とのこと。建造物としても岩手県指定有形文化財になっている。なおここにはいまだ電気が通っていないらしく、夜には真っ暗になるらしい。

パワースポットらしくここには7つの不思議があるというが、最大の不思議は社殿裏にある荒吐(アラハバキ)大神の巨石。創建当時から御神体として祀られているようだ。

胎内くぐりで大願成就(たいがんじょうじゅ)が叶うらしいが、壁面に触れないようにくぐりり抜けるどころか、狭すぎて通り抜けることすら難しい。

神社周辺の丹内山全体が深い森に覆われ、古からのたくさんの人々の願いや思いがとどまり溜まって空気が濃く感じる。立ち止まって鳥の声だけが聞こえる森の木々を仰ぎ見ているだけで、タイムスリップしたような感覚に包まれる。なるほど、言い伝えや由来、伝説を知らなない人でもパワースポットと感じるに違いない。

私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。