宮澤賢治記念館が中腹に建つ、胡四王山のことなら面白い。
太古の昔、胡四王山は征夷大将軍、坂上田村麻呂将軍が自軍の傷病兵を看護治療する場所としてこの地に陣を敷いたと伝えられている。
頂上には約千二百年の伝統を誇る・胡四王神社が鎮護建立されている。
その頂上に登りきる十メートルほど手前を右に折れ入る間道が続いている。
枯れ草を踏みながらさらに十メートルほど進むと左手に愛染杉が見えてくる。杉の古木なのだが逆アルファベットAの字を思わせる形をしている。誰が名付けたかはわからないが、手を触れると愛が芽生えるという伝説が流布して愛染杉と呼ばれている。
【愛染杉】
かつて宮澤賢治が恋の痛みに耐えかねて、胡四王山を訪れたと伝えられる。
切なくて/胡四王山の/頂で/宮澤賢治が/歌を詠みたる/
恋の願い/宮澤賢治/心籠めて/愛染杉へ/語りかけたかも/
(作者は記事の筆者である賑屋笑兵衛)
不思議なことがもう一つ(というか一本か)愛染杉の斜めに向い合って三本幹の朴の木が自生している。これは愛染杉と違って無名だがあえて名付けるなら、友情連帯を象徴する朴の木とでも言いたくなるような奇異な三つ又の形をしている。
【三つ又の朴の木】
さらに胡四王山は国歌の君が代の一節に詠まれた、さざれ石が出土する場所でもあった。
胡四王山の北側には巨大な二つのさざれ石が狭い小道をはさんで並び立っている。
この小道、人間一人が横になり蟹歩きして通れる狭さであるが、そこをスルリと通ることが出来ると、さざれ石の神通力、パワーが身体に伝わるというような伝説もあるらしい。
こんなのが胡四王山のお話です。
【2つのさざれ石(巨岩)にはさまれた小道】