まきまき花巻見たい花巻人形のユニークな魅力
花巻人形のユニークな魅力
56 まき
このエントリーをはてなブックマークに追加

 

今にも動き出しそうな生き生きとした姿と表情、鮮やかな梅の花模様。

花巻人形は、当時の人々の暮らしや信仰を反映させた、ユニークで美しい花巻の伝統工芸と言えます。

 

花巻人形とは?

 「東北三大土人形」は、宮城・仙台の堤人形、岩手・花巻の花巻人形、山形・米沢の相良人形で、花巻人形は江戸時代中期から作られていました。赤や青、緑といった鮮やかな色調、梅・桜・牡丹などの花をあしらったデザインは、人型に限らず動物や干支、達磨などどの型にも施されています。

こういった他の土人形との大きな違いが、特徴として高く評価されています。

  赤い色が目に付くデザインが多い理由として、「赤」は古くから病魔を祓う色とされ、このような郷土人形には、子どもに疫病がとりつかないようにと願いを託していたのだそうです。

 有名な内裏雛(天皇・皇后の姿態、風俗をかたどった男女一対の雛人形)をはじめ、「膝を抱えた達磨」や「毬を抱く招き猫」など、花巻人形ならではの独特な型もあります。

 

 花巻人形は1,000種類とも2,000種類とも言われ、非常に多くの種類が確認されています。ここまで多くの種類があるという点も大きな特徴です。例えば雛人形は、表情や衣装の袖部など、形状が少しずつ異なります。また、衣装の模様も細部まで描き込まれており、製作者の美観の鋭さが伺えます。

 江戸時代の雛人形は当時とても高価なもので、庶民は容易く買える品物ではありませんでした。そこで、土人形で内裏雛を拵えたのです。それでも一度に買うには高価だったため、毎年少しずつ買い揃えて大切に飾ってきました。

 

初めて見た花巻人形の魅力

 私が初めて花巻人形を目にしたのは、宮沢賢治詩碑がある場所にほど近い、「桜地人館」という場所です。そこに展示してある花巻人形は、ほとんどが色あせていて欠けているものもありました。お話を伺うと、震災で割れてしまったものも多かったとのことです。ただ、それがとても良い風合いで、いかにも長く世の中を見てきたという様で、その時から花巻人形の魅力の虜になりました。

 

花巻人形の所蔵

 花巻人形は、花巻市博物館をはじめ、桜地人館、平賀工芸社、ビジターセンターで見ることができるほか、個人で所蔵されているものもあります。中でも、花巻市博物館は多くの花巻人形を所蔵しており、毎年ひな祭りを挟んだ期間(2月〜5月)に公開されます。

 

花巻人形の作り手

 現在、花巻人形の唯一の製作者である、平賀工芸社の平賀恵美子さんを訪ねました。

 

 最初に見せて頂いたのは、先代の方から恵美子さんまで作り続けてきた、沢山の作品が詰まったお部屋です。新しい状態で花巻人形を見るのは初めてのことで、しばらく見入ってしまいました。桜地人館や花巻市博物館に展示されていた人形も、かつてはこんなに鮮やかで美しい人形だったのかと。

 平賀工芸社では、もともと恵美子さんの義理のお父様の孫左衛門さんが、「金べこ」や「鹿踊」などの民芸品を作っていました。そこへ、昭和34年で制作が途切れてしまっていた花巻人形を復活させてほしい、というお声が役所からかかり、昭和47年から、孫左衛門さんと息子さんである章一さんの手で作り始めることになるのです。当時保管されていた人形の型の中から、130種類くらいを選び借りてきて、型を作ることから始めたといいます。

 恵美子さんが章一さんに嫁いでからは、恵美子さんも手伝いをしながら人形作りを教わっていたそうです。絵付けは主に章一さんが担当していました。その後、孫左衛門さんが亡くなり、その仕事を恵美子さんが引き継ぎました。そして、ご主人の章一さんが平成11年に亡くなってからは、恵美子さんがおひとりで花巻人形の伝統を守り続けています。

 

 

 

人気の干支・2019年の猪

 平賀さんは、年に何回か花巻人形の絵付け体験教室を開いています。絵付けの人形は様々ですが、干支が多いそうです。現在作成中の猪は注文を受けたもので、形は4種類(小・中・大・跳び猪)、色は茶・黒・金と様々です。中でも私が感じた違いは、目です。目は表情を作る上でとても重要で、個体の印象を左右します。平賀さんが作り出す作品の表情はとても豊かで惹きつけられました。猪の鼻をライトブルーにした独特のセンスも素敵です。

 平賀工芸社では、数多くの花巻人形を見ることができ、注文や購入もできます。値段は、大きさや形によって様々です。

猪親子 ¥8,000(税込)

跳び猪大 各¥4,320、中¥3,240(税込)

うり坊 各¥2,700(税込)

金猪 ¥4,320(税込)

 

 

子どもの健やかな成長を願い作られた花巻人形。華やかな模様とおおらかな表情は、花巻で生き続けてきたひとたちの、人柄のように感じました。これからも、多くの方に愛されてほしいと願っています。

 

 

 

※参考資料

・研究紀要 第10号 (花巻市博物館)

・第5回企画展 花巻人形と東北の土人形 (花巻市博物館)

・花巻人形の世界-祈りと遊び― (髙橋 信雄) 

 

 

 

 

 

 

私が書きました
塩野 夕子

2018年9月、宮沢賢治が好きすぎて埼玉県から移住してきました。
まきまき花巻編集部と市民ライターの二足のわらじで活動しています。
現在は宮沢賢治記念館に勤めながら、大迫町の早池峰と賢治の展示館・2階にある「賢治文庫」も管理しています。