まきまき花巻体験したいパークのある街、花巻
パークのある街、花巻
282 まき
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花巻にスケートボードパークがあることをご存知だろうか?

日居城野(ひいじょうの)運動公園スケートボードパーク、通称「花巻スケートパーク」。
総合体育館や花巻球場のお隣、日居城野運動公園第3駐車場内に位置し、スケートボード、いわゆるスケボーや、インラインスケートができるパブリック(公共)パークだ。

今年 2018年3月、雪解けとともに改修工事が行われ、それまでアスファルトだった路面がコンクリート化。4月1日のリオープンには、春の訪れと路面改修を心待ちにしていた多くのローカルスケーターが集まった。

▲改修工事が完了した花巻スケートパーク

 

2020年東京オリンピックの正式種目にも決定し、注目が集まる「スケートボード」。
だが、スケートパークは県内でもまだ数えるほどだ。

「パークのある街、花巻」は、いかにしてつくられ、そして、進化を続けるのか。
パークの設立から携わり、花巻のスケートボードシーンを牽引している、花巻市スケートボード協会の佐々木大地さんにお話を伺った。

 

地元にパークを!

はじまりは10年ほど前になる。

県内のパーク事情といえば、盛岡南公園スケートボードパークのオープンが2008年、あとは江刺に1つある程度。多くのスケーターは、近所で遊べそうなところ(スポット)を見つけては集まって滑っていたという。大地さんもそんなスケーターの1人だった。

花巻にもいくつかスポットはあったが、仲間が増えるにつれ、きちんとした場所(パーク)がないと、という状況になってきた。そこで、大地さんは仲間たちと「花巻市スケートボード協会」を立ち上げ、市役所に「スケートパークを作ってほしい」と相談をはじめる。それが2009年のことだ。

当時、26歳だった大地さんを代表に、主要メンバーは10名ほど。
色々な方に相談しながら、何度も市役所に足を運び、想いを伝え続けた。

2010年に行った署名運動では 1,800名もの署名が集まり、さあ動き始めようかというところに、2011年の東日本大震災―。
一時、計画は中断したが、大地さんは諦めなかった。

活動をはじめて4年となる2013年、ついに、花巻スケートパークが完成を迎える。
想いが届いた瞬間、大きな大きな第一歩だった。

▲2013年9月1日 待望のオープンを迎え、開場式が行われた

 

そもそもスケートボードにとって、路面はとても重要な要素だ。
サーフィンにとっての波、スノーボードにとっての雪といえば、わかりやすいだろう。

元々の花巻スケートパークのようにアスファルトだと、ガタガタして乗りにくく、転んだ時にも擦り傷になりやすい。また経年劣化もあるため、数年たつと路面がかなり悪くなってしまう。そこで大地さんは再度、市に掛け合い、まちづくり懇談会などを経て、今回の路面改修が実現したのだ。

念願のコンクリート路面は、見るからに滑らか! この改修で路面に関しては“県内一”となり、近隣市町村からも噂を聞きつけたスケーターたちが集まってくるという。

 

花巻市スケートボード協会では、月に1回、第2日曜日にスケートボード教室を開催している。時間は13時から15時。参加無料でボードやプロテクターもレンタルできるので、初めての方も気軽に体験ができる。

キッズが多いが、年齢は問わず、三十路で初心者の筆者も体験させてもらったので、安心してほしい。

▲スケートボード教室の様子

 

「本当は、今回、パークの拡張もお願いしたんだけど・・・
 一歩ずつだね」と大地さん。

まさに、地道な活動と熱意の賜物だ。

 

地元で自分にできること

大地さんは、生粋の花巻生まれ・花巻育ち。

スケートボードはもちろん、音楽や映像など本当に多彩で、学生時代はバンド活動に夢中になっていたという。ただ、当時の仲間でも、市外・県外に出て行ったメンバーも多い。

「やっぱり地元が好きだし、離れたところにいる仲間たちに『花巻もがんばってるよ!』って言いたいんですよね。花巻まつりだけやってる訳じゃないよって(笑)」

「地元にいるプライド、みたいなものかな」

ちょっとカッコ悪いけど、と言い添えて、大地さんは笑う。

 

大地さんが花巻スケートパークについての活動をはじめて、9年。
当時、26歳だった若者も、今年35歳だ。

「パークのない街でスケートボードを続けると、自分の存在を否定されているような、ちゃんとした居場所がないような気持ちになるんです。でも最初は自分の中でも葛藤があって。自分みたいなのがパークを作ってくれなんて言っても、どうせ大人たちは理解してくれないだろう、って」

「それでも春になるたび出てくる若いスケーターを見ていて、この子らに自分と同じように、どこか認められないまま歳を重ねてほしくないって思ったんです」

今では、自分にしかできないかたちで地元・花巻を支えたい、と考えている。

「花巻スケートパークが、沢山の子どもたちやアグレッシブな若者たちの社会的入り口だったり、仲間とつながる場所、そして、いつでも帰ってこられる“ホーム”になってくれたらいいなって」

 

一見すると眼光鋭いが、とても気さくで、壁を感じさせない大地さん。

そんな大地さんを見ているからだろう、花巻スケートパークでは、ローカルスケーターたちも気軽に声を掛け合い、ふらりと撮影に立ち寄った私にも挨拶してくれる。

 

また、スケートボードの魅力として“かなり難しい”という部分もある。
CMなどで見たことがあるだろうか、軽くこなしている技の数々、本当に本当に難しいのだ。

「頭では分かってるのに、なかなか思うようにできないし、転ぶと痛いし!(笑)」

「でもチャレンジしてる人って強くって、メンタル面だったり、アグレッシブさ、ストイックさ・・・スケートボードが個人の力を引き出して、人を成長させると思うんです」

▲2017年4月のイベントの様子

 

室内パークプロジェクト始動

2018年5月、とあるプロジェクトが始動した。
花巻のマルカンビル(旧マルカン百貨店)の地下1Fに、スケートパーク&ショップを作るというのだ!

大地さん(花巻市スケートボード協会)が企画・提案したプロジェクトで、ローカルはもちろん沢山のスケーターや新たな繋がりで創り上げたいと、意気込みを語る。

 

今、花巻のスケートボードシーンがアツい。

 

花巻スケートボードパーク2018 4月

私が書きました
岡田 芳美

千葉県に生まれ、すぐに両親のJ・Iターンにより、岩手県花巻市東和町へ。

2016年8月、自身もUターンし、花巻市地域おこし協力隊(広報担当)として着任。2020年3月に任期を終え、現在は「イージューはなまき」などフリーで活動している。

花巻市男女共同参画推進員/いわて男女共同参画サポーター。

お気に入りは花巻の「時報」。朝7時の「精神歌」、正午の「花巻市民の歌」、そして特にランニング帰り、満天の星空を見上げながら夜7時の「星めぐりの歌」を聴く瞬間が好き!