まきまき花巻行きたい懐かしいを残す場所〜星耕茶寮〜
懐かしいを残す場所〜星耕茶寮〜
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「大迫に、星耕茶寮っていう古民家カフェがあるんだけど、絶対に行った方がいいよ。好きだよ、きっと。」

 

 花巻に移住してすぐの頃、友達にそう教えてもらい、随分月日が経ってしまいました。それは、雪道の運転に慣れるまでは大迫に足が延びなかったからです。ようやく車の運転に慣れ、ずっと気になっていた「星耕茶寮」に行ってみようと思い立ちました。

 調べたところによると、そこはお休みが不定期の為、予約が必須ということです。ランチ限定でおいしいごはんが食べられるとのことで、ごちそうに目がない私はワクワクしながら車で向かいました。

 早池峰山の麓にある、星耕茶寮。大迫にまだ不慣れな私は、スマートフォンのナビを使っていたのですが、それにも関わらず迷ってしまいました。

 するとありがたいことに、星耕茶寮の案内板が出ています。安心して進んでいくと、またまた看板がお出迎え。期待が高まります。まわりは山深くなってきて、気がつくとスマートフォンが圏外になっています。帰り道を覚えておかなければと変に焦ってきました。

 そして、ようやく目的地に到着。

 

 昔ながらの風情あふれる「曲がり家」。

 曲がり家は、旧盛岡藩領、特に盛岡市周辺や遠野盆地を中心に多く見られる、母屋と馬屋が一体となったL字型の住宅です。一般的に東側が台所で、南側に馬屋が突出します。馬屋の屋根には破風があり(入母屋)、かまどや炉でたく煙をはそこから排出され、このため馬の背や屋根裏の乾し草を乾かすことができます。

 廃屋寸前だった家を、ほとんどご自身の力で修復されたそうです。もともと大工さんのようなお仕事をされていたわけでもない、というからびっくりです。

 

 

「ごめんくださーい!!!」

と大きな声で叫ぶと奥様が出てきてくださり、予約してあることを告げると、中へと案内してくれました。一歩足を踏み入れるなりびっくりして、口が開いてしまいました。

 

 

 一瞬、タイムスリップをしてしまったのかと思うくらいの衝撃に襲われました。自分が知っている限りの「懐かしさ」が、その場所には詰まっていたのです。圧倒されていると、「食事ができるまでしばらくありますから、どうぞご覧になっていてください。」と声をかけていただき、ホッとしました。

 写真の許可をいただいたのですが、視覚から入るものすごい情報量でめまいがしそうです。

 

▲まるでジブリ映画の「となりのトトロ」に出てきそうなアルミのお弁当箱。

▲同じ形で緑色の電話が、実家にありました。

▲宮沢賢治さんのトランクのイメージそのままです!

▲戦後から、昭和中期のめんこ。

▲昔のお札、全く見たことがないです。

 

 気が付いたのですが、自分が以前馴染みがあったものに強く惹きつけられます。もしくは、古い物が醸し出す空気感にかもしれません。それは星耕茶寮の店主である、佐藤幸吉さんのねらいだったと伺いました。

 ここにある物は、佐藤さんご自身のコレクションに加えて、「ここに置いて欲しい」と持ってくる人がいるそうです。捨ててしまってはもう形は無くなってしまいますが、懐かしいと喜んでくれる人が集まる場所にあれば、偶然に人の出会いをつなぐこともできるのではないかと思いました。

 

 家中の「懐かしい物たち」に夢中になっていると、「食事ができました。」という声が聞こえてきました。

 

 

 手打ちの天ぷらそばや雑穀ごはん、春巻きにシュウマイ、煮豆など、素朴で温かいメニューです。「ごはん、お代わりしてもいいですよ」というお気遣いに和みました。

 文句なしの美味しさです。疲れ果てた旅人が、ようやくたどり着いた宿での食事かと思うような勢いで、ぺろりと食べてしまいました。以前はずっと料理人として活躍されていたとのことで、なるほどなとうなづきました。食後の珈琲を頂きながら、佐藤さんにゆっくりお話を伺いました。

 星耕茶寮には、同じようにカフェを経営する方も多く訪ねてくるのだとか。確かに、こんなに個性的な古民家カフェはお客様だけではなく、同じ道を進む方にとっても魅力的です。素晴らしい創作料理の数々。毎回何が食べられるのか楽しみになります。「ちょっと秘密にしておきたいような、でも教えたくなる。」、そんな気持ちになりますね。

 小学生の頃、密かに「大きくなったら喫茶店で働きたい」と思っていたことがありました。どんなお店がいいかなぁと、お店のイメージを絵に描いてみたり、カップは色んな色や形のものをズラーっと並べて、お客さんに選んでもらうんだ、とか夢見ていたものです。主旨は違いますが、窓辺に並ぶグラスを見てそんなことを思い出しました。

 

 

 こちらでは、お値段が付いている物は購入することも出来ます。また、レンタルスペースや、会議、ワークショップなどに使うことができる場所もありますので、興味のある方はホームページをご覧になってみてください。

 

 温かい佐藤さんご夫妻と、美味しいごはん。そして、「懐かしいものたち」に会いに行ってみませんか。

 

▲店主の佐藤さんご夫婦。

 

〈参考〉

HP/いわての文化情報大事典 から一部引用。

私が書きました
塩野夕子

2018年10月、埼玉から移住してきました。3度のメシと同じくらい宮沢賢治さんが大好きです。特技はイラスト、消しゴムはんこ。リトルプレス「たまごパン」もかたつむりペースで発行しています。