長いようであっという間の2年間が、終ろうとしている。
私が東京から岩手に転勤になったのは、2018年4月。
それまで岩手には、ほとんどつながりはなかった。
友達もいない。文化も違う。言葉も違う。
果たして、この地で根を張れるのだろうか?
寂しくて、悲しくて、不安な気持ちでいっぱいだったこともあった。
ちょうどそんなとき、手を差し伸べてくれた人たちがいた。
そう、東和の方々だ。
まきまき花巻でも取り上げた、6月に開かれた山菜ピザパーティ。
初対面のはずなのに、「あなたはもう東和町民でしょ?」と声をかけてくれた。
それまで「よそ者」だった私が、初めて「こちら側の人」として受け入れられたと思った。
たくさんの思い出が出来た。たくさんの人たちと出会った。
東和農旅ツアー、東和おもしろ学、やなのうえプロジェクト、味噌づくり体験、土沢アートクラフト、おみやげ開発ワークショップ、東和棚田のんびりRun…
その中で、「まきまき花巻のライターにならないか」と声もかけられた。
みんなが記事を読んでくれた。「いい文章だね」と声をかけてくれた。
東和の人たちからは、「東和のことを紹介してくれてありがとう」と感謝してもらえた。
今までにはなかった自分の可能性が、開けたような気がした。
そして、知らず知らず、東和の中、岩手の中に溶け込んでいった。
最初はあんなに不安だったのに…
今ではもう、自信をもって、「私は岩手人です」と言える。
「東和に移住しないの?」「岩手に住んでほしいな」
ありがたいことに、幾度となくそう言葉をかけられた。
東和には何年か前、実際にそうした人もいたみたいだけど。
でも、私は東京に帰ることにした。
なぜなら、そちらにも私のことを待っていてくれる人の顔がたくさん思い浮かぶから…
岩手のみんなにそのことを伝えると、
「絶対帰ってくるんだよ」「いつでも帰ってきたら、温められるよう準備しているね」
と言ってくれた。
そう、東和は、岩手は単なる転勤先なんかじゃない。いつか帰ってくるべき、第二の故郷なのである。
私が岩手のために何ができただろう?
私が岩手でできたことよりも、岩手のみんなから受け取ったものの方がずっとずっと大きい。
住む場所は少し遠くなるが、その分を少しでも返していけるように、これからも岩手のことを想い続ける。
「また帰ってくるね。」
本当の出身がどこだろうが、これからどこに住もうが関係ない。
東和は、花巻は、岩手は、ずっと「心の住所」であり続ける。