まきまき花巻味わいたい「宮沢賢治のイーハトーブ花巻レストラン」食べ歩きレポート(前編)
「宮沢賢治のイーハトーブ花巻レストラン」食べ歩きレポート(前編)
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◆花巻の野菜やくだもの、お肉で、賢治童話をいただきまーす

 花巻市内8店舗の飲食店で、花巻の農畜産物をつかった宮沢賢治の童話をモチーフにしたメニューが味わえる「宮沢賢治のイーハトーブ花巻レストラン」。2019827日から1110日まで開催です。おでかけになりましたか?

 私は9月にイーハトーブ花巻出張所@兵庫(勝手に命名)から花巻へ。そして全店舗へ出かけて12メニューをいただくことができました。

 それはもう口福~。幸福~。賢治さんのふるさと花巻で、花巻の食材で、賢治童話で、という「花巻だから」なスペシャルな期間限定メニューです。花巻の農と食×賢治童話に工夫と愛情たっぷり詰まった「花巻づくし」なメニューをいただきながら、賢治ファンはもちろん、そうでなくても、わくわくしていただけるはず!と思いました。

 もっとたくさんの方に味わっていただきたいなあ、花巻の農畜産物の豊かさを知ってもらいたいなあ~そうだ、こんないいことは、独り占めにしてはアカンのです(あえての関西弁)。

 そこで「花巻の食材で賢治童話を食べる」レポートを2回に分けてお届けします。

 レポートを読んで、各お店に駆けつけていただければ幸いです。

 そして遠方で今回、出かけられない方には、花巻の豊かな農と食の様子が届きますように。

◆花巻づくしのお皿の上は「食べる賢治童話」です

 8つのお店で、9つの賢治童話をモチーフに、9つのメニューと3つのコース料理が生まれました。最初に、お店の名前と、「賢治童話」、花巻の使用食材を一覧で紹介します。

 ※但し、花巻の使用食材は、時期により変更されていることがありますのでご了承ください。

〇ホテル志戸平・ちょうちん酒場又三郎「やまなし」

 白金豚、トマト、ベビーリーフ、雑穀、ナス等

〇ファームプラス「セロ弾きのゴーシュ」

 米、白金豚、自家製野菜(トマト、ナス、ピーマン、インゲン、キュウリ、青南蛮)

〇イル・クォーレ「十力の金剛石」

 花巻の旬の野菜、果物、花巻黒ぶだう牛、ほろほろ鳥、早池峰三元豚

〇HAIKARA-YA「祭の晩」

 白金豚ソーセージ、雑穀、豆、卵、そのほか花巻の野菜

〇華胥の郷「鹿踊りのはじまり」

 花巻の旬の野菜、栗、りんご、ほろほろ鳥、トマト、雑穀、きのこ

〇レストランポパイ「フランドン農学校の豚」「グスコーブドリの伝記」

 白金豚、白金豚のベーコン、トマト、ズッキーニ、大豆、雑穀、生レーズン

〇山小屋カフェkurakake 「銀河鉄道の夜」「セロ弾きのゴーシュ」

 自家栽培りんご、トマト、キャベツ、エディブルフラワー、たまご、雑穀、

〇山猫軒本店「どんぐりと山猫」

 米、白金豚、きのこ、味噌、牛乳

 

 それぞれのお店でそれぞれの「花巻の食材」。これだけ花巻はおいしいものが豊富なところっていうことなのです。

 では、それぞれの賢治童話メニューを順にご紹介します。

 ・・・ところで私は花巻と宮沢賢治ファンの料理研究家として、今回のメニュー監修をさせていただきました。それでメニューづくりでお店の方とやりとりをした楽しい「こぼれ話」もご一緒に。

 前編では、ホテル志戸平・ちょうちん酒場又三郎、ファームプラス、イル・クオーレ、HAIKARA-YA4店を。

 続く後半では、華胥の郷、レストランポパイ、山小屋カフェkurakake、山猫軒本店の4店の賢治メニューをご紹介させていただきますので、どうぞよろしくおねがいします。

 

◆ホテル志戸平・ちょうちん酒場又三郎の「クラムボンの幻燈会」

 お料理を予約してでかけたのは夕方の開店時間でした。偶然にも、お店の前に立ったとき、ちょうちんの灯りがポッと灯りました。“小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。”な、幻燈会のはじまりみたいでした。

 「やまなし」は2匹の蟹の兄弟が川底でおしゃべりしている物語です。その川底の世界を花巻の食材をたっぷり使ってお料理にしたのが「クラムボンの幻燈会」です。

【花巻食材】:白金豚、トマト、ベビーリーフ、雑穀、ナス等

〇メニュー名 「クラムボンの幻燈会(げんとうかい)」

 

~トマトのファルシ 雑穀のチーズリゾット 白金豚と季節の花巻野菜ロースト添え~

 「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」とおしゃべりしている蟹は「花巻産トマト」。中には雑穀のチーズリゾットがたっぷりです。蟹のいる「川底」には、白金豚の「光る石」、ナスやごぼう、ベビーリーフの「小石や小枝」。あ、「梨」も隠れています(笑)。

 リゾットが少し濃い味付けなのは、周りのあっさりした野菜を一緒に美味しく味わうため。シャキシャキ、ソリソリとそれぞれの野菜の食感も楽しみながら、リゾットを食べ終わると・・・底から細かく刻んだコリンキーがあらわれました。最後まで、川底で繰り広げられる小さな物語を、きらきらと味あわせてくれるお料理です。

 志戸平温泉という場所柄、お皿の上の蟹たちも温泉を楽しんでいるようにも見えました。温泉に入ってほっこりしてから、花巻野菜たっぷりの賢治の世界をお腹いっぱい味わうのもいいなあ・・・いつか日帰り温泉メニューでも楽しんでみたいです(熱望)。

 

◆湯の社ホテル志戸平内・ちょうちん酒場又三郎

  • ※童話メニュー数量限定・平日のみ・2日前要予約
  • 電話0198-25-2011・花巻市湯口字志戸平27-1 
  • HP https://www.shidotaira.co.jp/
  • 【ランチ】午前1130分から午後230
  • 【ディナー】午後6時から8
  • 定休日:不定休・席数50席・駐車場ホテルと共用 300

 

◆ファームプラスの「印度の虎狩カレー」

 ファームプラス店主の平賀さん、ニックネームは“ガッツさん”。お店では、ガッツさんの畑でとれた野菜たっぷりのカフェメニューがいただけます。だからガッツさんにおすすめした賢治童話は「セロ弾きのゴーシュ」でした。ゴーシュは自宅の水車小屋の前でキャベツやトマトを作っています。規模は違うけれど、ガッツさんの畑とゴーシュの畑がコラボすると、なんだか楽しそうだなあと思ったからです。

 そうしてゴーシュの奏でる音楽が、野菜がたっぷり味わえるカレーになりました。ただの音楽じゃありません。「印度の虎狩(いんどのとらがり」です。それはゴーシュが生意気な猫に嵐のような勢いで弾いた曲です。さてさて、一口味わうと・・・。

【花巻食材】:米、白金豚、自家製野菜(トマト、ナス、ピーマン、インゲン、キュウリ、青南蛮)

〇メニュー名「印度の虎狩カレー」

~自家製のとれたて新鮮夏野菜がたっぷり味わえるスパイシーなカレー~

 ファームプラスの畑でとれたトマト、ナス、ピーマン、インゲン、キュウリなど色とりどりの野菜たっぷり、白金豚や金時豆も入ったやさしい味のカレーです。お皿の真ん中にはトマトとゴーヤでびっくり顔の猫。ニカッと笑うそのお口は青南蛮・・・一口食べると「辛っ」。「印度の虎狩」を聴いていた猫みたいに火花がパチパチ飛び出しそうです。おやおや、お皿の上の野菜たちも火花に見えてきました。ガッツさんの畑の野菜が、印度の虎狩りを奏でるお料理。でも猫みたいにあわてなくてもいいように、カレーといっしょに大きなコップのお水もついてきます。

 

 

◆「ファームプラス」

  • ※童話メニュー数量限定
  • 電話0198-33-0594・花巻市上根子字下田60-2
  • HP https://www.farmplus.cafe/
  • 【営業時間】午前11時から午後3時(ラストオーダー午後230分)
  • 定休日:日曜、水曜・席数10席・駐車場10

◆イル・クォーレの「花巻の野菜を彩るコース料理・花巻野菜の宝石箱~虹とルビーの絵の具皿~」

 「花巻の農家さんから届く野菜は、きれいで美味しくて、まるで宝石箱みたいなんです。そんな様子をお料理でお客様に伝えられる賢治さんのおはなしありますか?」

 シェフの雫石さんからの問いに、私は「あります!」と応えました。「十力の金剛石(じゅうりきのこんごうせき)」はどうですか?」どこかの国の王子と大臣の子が、虹の脚もとにあるというルビーの絵の具皿を探しに出かけるおはなしです。「十力」とは、仏様がもっている十の力のこと。「金剛石」はダイヤモンドのこと。

 コースのすべてのお料理に「十力の金剛石」の中の、宝石の雨や草木など、輝き彩っているものたちから名前をもらいました。

【花巻食材】花巻の旬の野菜、果物、花巻黒ぶだう牛、ほろほろ鳥、早池峰三元豚

 

〇メニュー名「花巻の野菜を彩るコース料理・花巻野菜の宝石箱~虹とルビーの絵の具皿~」

<前菜>「トパァズ、サファイア、ダイアモンド。」花巻野菜で彩る前菜6

  •  水晶のしずく・三陸産サーモンと花巻野菜の生春巻き
  • 朝の霧・早池峰三元豚のテリーヌ
  • めぐみの宝石(いし)・ホロホロ鳥のリエット
  • ひかりの雲・冷たいスープ
  • うめばちそうのかすかな虹・自家製カッテージチーズとトマトのサラダ
  • 黄金色(きんいろ)のお日さま・カボチャのエスカベッシュ

<自家製手打ちパスタ>:2

「虹色の金剛石」花巻産バジルを使ったジェノベーゼソース~花巻野菜をたくさん添えて

「ルビーの皿のごちそう」花巻黒ぶだう牛を使ったボロネーゼ

※「花巻黒ぶだう牛」のことは、まきまき花巻「宮沢賢治の花巻レストラン2」でご紹介しています。 https://makimaki-hanamaki.com/2335

 

<ドルチェ>:「蜂雀(はちすずめ)のお気に入り」花巻のフルーツを使った季節のデザート

 季節ごとに異なるデザートが登場します。私がいただいたのは「花巻産桃のコンポートとヨーグルトのパンナコッタ」でした。

 前菜は、野菜のいろいろな味や食感を、いろんなお料理で楽しめます。パスタはお肉、野菜それぞれたっぷり。デザートからは花巻って果物王国でもあるんだな、という味わい。花巻の農家さんから届いた新鮮な食材をふんだんに使ったお料理は、やっぱり宝石箱です。

 「十力の金剛石」のおはなしは、最後に王子たちはすべてを美しく輝かせるもの、蒼い空やお日さまや風など、あらゆるものが金剛石であることに気づきます。十力の金剛石とは自然の恵みの尊さなのかなあと思います。

 花巻の野菜たち、まさに「金剛石」ですね!

◆「イル・クォーレ」

  • ※童話メニューは昼のみ・要予約 
  • 電話0198-24-9957 花巻市松園町1-4-1
  • FB https://www.facebook.com/iwateilcuore/?rf=152420204783144
  • 平日
  • 【ランチ】午前1130分から午後230分   
  • 【ディナー】午後6時から9
  • 日曜祝日
  • 【ランチ】午前1130分から午後3
  • 【ディナー】午後530分から830
  • 定休日:火曜日・席数40席・駐車場12

 

 

◆賢治祭の花巻ブルー

撮影:澤田由紀子さん

 

 

 

 4店目に出かける前に、ちょっと寄り道。

 9月21日は宮沢賢治さんの命日、そして毎年この日の夕方「賢治祭」が開催されます。今年(2019年)は、お天気に恵まれ賢治詩碑前での開催となりました。花巻市内をはじめ、全国からたくさんの賢治ファンが集まり、賢治さんが作った詩や童話の朗読や劇を楽しみながら賢治さんを偲びました。

 その献花で添えられていたのは、花巻ブルーのひとつ花巻のリンドウでした。参加者が一人ひとり手向けるリンドウの花が、夕暮れの空の色とだんだん重なっていきました。

 賢治ファンとして思い出すのは「銀河鉄道の夜」のこの一説

「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」

▲撮影:澤田由紀子さん

※花巻ブルーのことは、まきまき花巻「宮沢賢治の花巻レストラン5」でも紹介しています。 

 https://makimaki-hanamaki.com/2925

※さらに詳しくは

 花巻ブルーHP https://www.jahanamaki.or.jp/rindou/

◆HAIKARA-YAの「どしんがらがらごうっ」

賢治祭の帰り道、賢治仲間と「祭の晩」の童話メニューをいただきにでかけました。まさに“賢治「祭の晩」”(笑)。

「祭の晩」は、主人公の亮二と山男が、お互いを思いやり心を通わす物語です。団子の代金が払えず困っている山男を亮二が助けます。そしてお礼に山男が亮二の家の前に「どしんがらがらがらっ」とたくさんの薪と栗の実を置いていくのです。物語の最後、風が山の方で、「ごうっ」と鳴っています。

HAIKARA-YAのシェフ・畠山さんは、そんな亮二の素直な気持ちをワンプレートに込め、山男が嬉しがってくれる、おもてなし料理を作りました。

【花巻食材】白金豚ソーセージ、雑穀、豆、卵、そのほか花巻の野菜、自家製黒ニンニク

〇メニュー名「どしんがらがらごうっ」

~「アイントプフ」「黒ニンニクブロートダンゴフウ」「ハイカラなプディング」をワンプレートで~

 「アイントプフ」は、白金豚ソーセージと花巻産の雑穀や豆がたくさんはいったドイツ風の煮込みスープです。そして山男が大好きな団子もドイツ風な名前の「黒ニンニクブロートダンゴフウ」。団子風のトーストに使っているのは自家製黒ニンニクです。

 この自家製黒ニンニクは、東日本大震災のあと、体の調子が悪くなった家族のため、シェフの畠山さんが作り始めたものだそうです。その後、お客様のためにもとお店のメニューでも使うように。そして今回「亮二と山男のために」使っているというわけです。そんなおもてなしの気持ちのつまったワンプレートは、お料理全体の色がやや地味です。実はこれも山男がびっくりしないようにという配慮から。そんなあれこれを知ると、山男も亮二も食べに来てほしいなあと思うのです。もちろん私も賢治仲間も大喜び。ハイカラなプリンまですっかりたいらげてしまいました。

◆「HAIKARA-YA

  • ※童話メニュー数量限定
  • 電話0198-23-6919・花巻市諏訪町2-1-14
  • HP https://haikara-ya.com/
  • 【営業時間】午前1130分から午後9
  • 定休日:毎週火曜日 臨時休業有り・席数38・席駐車場12

◆「宮沢賢治のイーハトーブ花巻レストラン」

  • 開催期間 2019827日(火)から1110日(日)まで
  • 内  容 
  • 花巻市内の飲食店8店舗:岩手県花巻の農畜産物で作る宮沢賢治の童話世界の特別メニュー
  • 宮沢賢治関連施設2施設:賢治世界にこだわった花巻の農産加工品などの物販

★公式facebookでは最新情報などおしらせしています。

https://www.facebook.com/kenji.restaurant/

★チラシはこちらからダウンロードできます

https://www.city.hanamaki.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/009/919/chirashi.pdf

※なお、童話メニューの提供については、数量限定や予約が必要なお店もありますので、事前に各お店へご確認ください。

・・・後半に続きます・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

私が書きました
中野由貴

花巻と宮沢賢治ファンの料理研究家
絵本・童話・食・宮沢賢治をテーマに創作、研究、執筆などを行っています。
著書に『宮澤賢治のレストラン』『宮澤賢治お菓子な国』(平凡社)、『にっぽんたねとりハンドブック』(共著・現代書館)ほか。
宮沢賢治学会会員、希望郷いわて文化大使。兵庫県在住。
花巻市民ではありませんが、イーハトーブ花巻出張所@兵庫(勝手に命名)から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。