まきまき花巻味わいたい宮沢賢治の花巻レストラン5「山猫軒のおもてなし」
宮沢賢治の花巻レストラン5「山猫軒のおもてなし」
84 まき
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 お米・雑穀・野菜・くだもの・畜産・酪農・お花・・・花巻の農の風景の中で育っているさまざまなおいしいもの。そしてそんな花巻をふるさとにもつ宮沢賢治の作品世界や食のエピソードから味わうことのできる、花巻のしゃれたエッセンスと、ゆるゆるした明るい時間。 

 知っているようで、知らないような。食べたことがないようで、あるような。そんな「花巻の農と食」×「宮沢賢治」が織りなす時空を超えたレストラン。どうぞごゆっくりお召し上がりください。

■やっぱり花巻!

 おこしいただきありがとうございます。

 第5回は、花巻と賢治さんのおもてなしについて。そして花巻黒ぶだう牛のお料理、菊芋、お花をご紹介します。

 「もてなし」を辞書で引けば「もてなす 持て成すの意。心をこめて対応する」とありました。では「心をこめて」とはなんだろうと同じく辞書を開いてみれば「何かをしようとして、一生懸命になる。相手を思う気持ちを含めて、何かをする」とありました(参考:『新明解国語辞典』)。

 そんな「何か」のあるところ・・・あります。私にとってそれはやっぱり「花巻」です。そしてそんな場所のひとつが花巻の温泉です。

 花巻は、東北でも有数の温泉地です。たくさんの温泉施設があり、どこもお肌にやさしいお湯です。宿泊も日帰りも楽しめる大型ホテルから、湯治のため自炊のできる宿まで様々な形態の温泉があります。それは観光客だけでなく、地元の方の生活の中にも温泉が身近にあるからなのでしょう。

 例えば私は、温泉で出会った方たちから花巻のおまつりや神楽のこと、お料理や食材のこと、時には賢治さんのことなど、地元に来ないとわからないこと知らないことを教えてもらうこともしばしば。そんな出会いがある度、花巻は心地よい距離感で丁寧に、温かく人を迎えてくれる場所だなあと思います。ほっとした心持ちになれて心を開いて笑ったりできるところ「やっぱり花巻」です。

 そして温泉は賢治さんにも身近だったところです。子どもの頃には家族と、教師時代には生徒たちと温泉に出かけたエピソードが残っています。そして花巻温泉の花壇設計もしていたそうですよ。

 

◆畑の恵みを探しに 花巻の農の風景12

賢治さんに想いを馳せながら、畑に会いに行きました

花巻黒ぶだう牛のローストビーフ

 今回は畑ではなく「温泉」に会いに行きました。

 花巻南温泉峡にある新鉛温泉、その温泉が楽しめる愛隣館で花巻黒ぶだう牛のお料理が味わえます。

 花巻黒ぶだう牛については宮沢賢治の花巻レストラン3回「野原と畑の晩餐会」で紹介していますのでご覧下さい。

 花巻黒ぶだう牛は、飼育の頭数が限られているため数量限定で、幻のお肉といってもいいほど。しかし愛隣館では地元の食材を生かしたおもてなし料理に力を入れており、花巻黒ぶだう牛も事前に予約をすれば通年で可能な限り食べられる体制をとっているそうです。

 今回は花巻黒ぶだう牛のローストビーフをいただきました。

 「うまみのあるウチモモという部位です。焼いた調理だと一番味がわかると思います。おすすめですよ」と教えてくださったのは総料理長佐々木智之さん。佐々木料理長のお料理の数々は、地元の食材に趣向を凝らし、旬の味を楽しめると評判です。

 花巻黒ぶだう牛のローストビーフは、切り口もとてもきれいな色をしています。塩と特製の玉ねぎソースそれぞれでいただきました。一口いただくとふわっと繊細で丸い感じ。肉特有の甘さが口の中に拡がります。お肉には近隣で採れた野菜が添えられています。お肉も野菜も花巻、地元だからこその一皿です。

ここでも「やっぱり花巻!」な、おいしいおもてなし。ありがとうございました。

◆愛隣館 

岩手県花巻市鉛字西鉛23番地

0198-25-2619(予約センター)0198-25-2341(代表)

https://www.airinkan.com/

■賢治さんの独創的産物!? 

・・・階上にては各種本道内に用ひらるゝ農具陳列せらる。これ殆ど日本各地の旧農具の集成なり。他に本道物産を陳列するなり。中に諸種農産製造品及所謂名物に関して町出身の生徒に注意す。蓋し花巻に独創的産物なく然も近時温泉地方の発達に伴ひてその需要大なるものあればなり。西伯利亜風の蜜漬の胡桃、みづの辛子漬、菊芋の富錦など製造さへ成らば販路更に大ならんのみ。(…以下略)(「修学旅行復命書」より)

 これは賢治さんが花巻農学校教諭時代の1924(大正13)年51923日にかけて行われた修学旅行の引率の報告書です。学校への提出書類にもかかわらず賢治さんと生徒たちの交流がよく伝わってくる、かなり「読ませる」内容です。

そしてこの報告書に賢治さんは、花巻の温泉でこんなお土産はどうだろうかと3つのアイデアを記しました。

(1)西伯利亜風の蜜漬の胡桃(※“シベリア風”と読みます)

(2)みづの辛子漬(※「みづ」は山菜です)

(3)菊芋の富錦 

 北海道で観た物産からひらめいたようですが、しかし残念ながらどれも花巻土産になることはありませんでした。

 この中の(3)の富錦(とみにしき)とは、じゃがいもで作った代用米のことです。米に似せて細かく刻んだじゃがいもを茹でて漂白し、乾燥させたもの。米に混ぜて使います。富錦という名前も米の銘柄名を真似したものかもしれませんね。

 この富錦で有名な産地は北海道でした。米に混ぜて使えば経済的、作れば良質なでんぷんが取れるので副業向きというものでした(参照:『最新農産製造学』1914(大正3)年発行。(注)賢治さんがこの本と出会っていたかはわかりません)。

 そして菊芋は、もともとは北米が原産ですが、やせた土地でも育つので国内外で家畜の餌や飢饉の時の救荒食として利用された歴史をもつ野菜です。賢治さんはこの菊芋で富錦をつくればいいぞ、と考えたわけです。

 ところで私は、その賢治さんの独創的産物「菊芋の富錦」を再現してみたことがあります。皮付きのまま作り、米と一緒に炊いたところ、菊芋のアクの強い皮のせいで「菊芋の香り豊かな炊き込みご飯」みたいになってしまいました。かといってあのショウガのようなごつごつした表面の皮をいちいち剥くも面倒です。さらに菊芋は「芋」といっても、じゃがいもやさつまいもとは異なり、でんぷんはとれません。手間ばかりかかるし、何といっても見た目が地味。果たして土産物に向いていたかしら? 賢治さんはもっと効率のいい方法を考えていたのかもわかりませんが・・・。

■賢治さんと菊芋

又草地を掘りかへして三年の間には一町歩も畑を作る。この畑はみんな菊芋を作るつもりです。(書簡83a(92) 保阪嘉内あて 封書 より)

 賢治さんは菊芋のことを友人宛の手紙にも、詩にもとりあげています。中でも「そもそも拙者ほんものの清教徒ならば」という作品は菊芋について大変詳しく述べられているので、このあとの写真キャプションに挙げました。

 エルサレムアーティチョークは菊芋の英語名、トピナムボーはフランス語での呼び方です。イヌリンとは菊芋に多く含まれている成分のこと。そして果蔬(かそ)とは食用のくだものや野菜のことです(蔬果とも言います)。まるでこの作品は、荒れた土地でも収穫できる菊芋への賢治さんのリスペクトのようにも読み取れます。当時の東北地方は農産物の生産性や気候条件の厳しい時代でした。だからこそ賢治さんは菊芋に注目し、未来を見ていたのかもしれません。

 時代が変わって現代、菊芋の成分イヌリンは健康にいいと大変注目される野菜になりました。家畜の餌だの、救荒食だの言われていた時代から、健康食品として大切にされている菊芋。賢治さんの独創的な見立ては間違っていなかったようです。面白いですね。

この荒れ畑の切り返しから/今日突然に湧き出した/三十キロでも利かないやうな/うすい黄いろのこの菊芋/あしたもきっとこれだけとれ、/更に三四の日を保する/このエルサレムアーティチョーク/イヌリンを含み果糖を含み/小亜細亜では生でたべ/ラテン種族は煮てたべる/古風な果蔬トピナムボー (春と修羅 詩稿補遺〔そもそも拙者ほんものの清教徒ならば〕)

 

◆畑の恵みを探しに 花巻の農の風景13

賢治さんに想いを馳せながら、畑に会いに行きました

 菊芋ってどんな風に畑で育っているのだろう?

昆さんの畑で採れたヤーコンのジュースをいただきました。暑さでへとへとの体に染みわたりました。ごちそうさまでした。

 まだまだ残暑厳しい9月、花巻市内で菊芋を作っておられる夢農業新屋農園 昆真喜子さんの畑におじゃましました。

「あれが菊芋ですよ」と案内いただいた畑のへりに背の高い草が茂っている一画がありました。

「え、あれですか?」

畑の菊芋。今年は特別背が高く育ったそうです。

 賢治さんの作品世界の印象から畑のヘリにひっそり生えていると思っていた菊芋。なのに目の前の元気のよい姿に少々拍子抜け。でも例年はこれほど高くはならず、今年は特別に背が伸びたということでした。

 肥料はほとんどやらず手間もあまりかからないそうです。だけど繁殖力が旺盛でほかの野菜が育たなくなるため、だから菊芋は畑のヘリに植えるそうです。 

 10月ごろから黄色い花が咲きます。菊芋の「菊」はこの花の様子から。そして花が枯れた12月ごろから翌年の4月のはじめごろまでが収穫シーズン。根を掘り起こして太った根茎を収穫します。

 昆さんに菊芋の食べ方を伺いました。みそ漬けや、刻んでみそ汁の具にしていますとのこと。また市内のお漬物屋さん(ハコショウ)では、昆さんの畑の菊芋やヤーコン、ソウメンカボチャなどをピクルスに加工した商品を開発中とか。賢治さん以上の「独創的産物」が今後生まれてくる予感がします。

 昆さんから畑の菊芋を見せていただき、教えていただいたことで、ひっそりしていると思っていた印象が180度変わりました。なんて生命力が旺盛で図太い野菜なのだろう。

 でもそんな強さを持っているからこそ、賢治さんは菊芋を「独創的産物」に選び、この野菜に未来を見たのかもしれませんね。

 

■花壇にあふれる賢治さんのおもてなし

 花巻の農畜産物には食べもののほか、お花(花き)もあります。りんどうや小菊、カンパニュラなど様々の切り花や鉢植えのお花が年間を通してたくさん作られています。つまり「花巻」はその名の通り「花」のある場所なのです(そしてまつりや神楽、風景やあらゆるところに“華”が隠れているところだと私は思っています)。

 賢治さんも花が側にある人でした。畑や庭に花を植え、花壇設計など花に関わる仕事もしていました。そのひとつ、花巻共立病院での花壇作りの様子は「花壇工作」という短編作品に垣間見られます。

賢治さんが設計した花壇は、現在、市内の3か所で見ることができます。 

花巻温泉敷地内にあるバラ園は、かつて賢治さん設計の南斜花壇があった場所です。現在はバラ園の中に賢治さん設計の日時計花壇が設置されています。

また、宮沢賢治記念館と宮沢賢治イーハトーブ館の間にあるポランの広場には、南斜花壇と日時計花壇を再現した花壇があります。

そして花巻市役所近くのひゃっこ坂沿いにある旧橋本家別邸は、現在は茶寮かだんというカフェになっており庭を見学することができます。その花壇は賢治さんが花好きな又従兄弟の奥さんのお見舞いのために設計した花壇で、おそらく賢治さんが最後に手掛けた花壇だろうと言われています。

・花巻温泉バラ園 ホームページ

・宮沢賢治記念館 ホームページ

・茶寮かだん ホームページ 

◆畑の恵みを探しに 花巻の農の風景14 

賢治さんに想いを馳せながら、畑に会いに行きました

 花巻から全国に出荷されているお花の中で「花巻ブルーシリーズ」と呼ばれる一連のお花があります。賢治さんの作品世界に現れる風や水や銀河といった独特の青い世界から印象を受けて、4月から10月にかけて咲くクレマチスやカンパニュラ、リンドウなどの青いお花に名付けられたシリーズです。

 9月、このシリーズの中のりんどうのお花をつくっておられる伊藤農園の伊藤正昭さんをたずねました。

 案内いただいた圃場には敬老の日に向けて出荷を待っている鉢植えのりんどう「いわて乙女」がありました。種から育てて出荷まで2年かかるそうです。

 ずらりと並んだ様子はまるで一面ブルーの絨毯。賢治さんに見てもらいたくなる鮮やかさです。「花は工夫して生きているんですよ」と伊藤さんは花の終わったりんどうを手に、花弁がどうしてこんな形をしているのか、どうやって種を残していくのかという話をしてくださいました。その健気さ。この小さな青いつぼみ一つひとつ一生懸命生きているんだよというお話でした。

 別の圃場では、花の大きな「ブルーノート」、白い花の「新雪」、薄桃色の「ももずきんちゃん」といった様々のりんどうも丁寧に見せてくださいました。

 伊藤さんは、「その花の生態を知らないとその花を知ることはできない」と、花づくりをしながら茶道と華道をやられていたそうです。その後、華道の先生をされていたことなども教えていただきました。

 花と真摯に向き合っておられる伊藤さんのお話を伺ううち、そしていわて乙女をはじめそれぞれのりんどうを見せていただくうち(なんだかとっても生意気なのですが)、りんどうたちも伊藤さんと交流するのが楽しいのだろうな、という気持ちになりました。

 鉢植えのひとつひとつに伊藤さんの手間が惜しみなく注がれています。いつも真剣に、そして時間をかけて丁寧に花と向き合う伊藤さんに、花たちも応えてぐんぐん育ち、花を咲かしていくのだなあと思いました。りんどうの花言葉は「正義」「誠実」です。この言葉がまた伊藤さんと花たちとの交流に重なります。

 伊藤さんの農園の花を受け取った人からは「花を見て、昔、旅したことを思い出しました」「震災のあった岩手から届いたお花を大切にします」といったメッセージが届くそうです。

 人と人、人と農産物の間で生まれ、育まれていく心を込めた交流に思いを馳せました。それはまたこの連載の第4回目に書かせていただいた、生産者のみなさんが教えてくれる大切なこと・・・手間をかけることを惜しまないこと、お互いに協力していくこと、日常の当たり前は当たり前でないこと、感謝すること・・・につながっていきます。

★伊藤農園 伊藤正昭さん

  岩手県花巻市東十二丁目21-52-3

  電話番号  0198-23-3604

  携帯電話    090-8256-0494

 

★いわて花巻のお花・花巻ブルーシリーズ(JAいわて花巻のHP

https://www.jahanamaki.or.jp/rindou/

 

■賢治童話のおもてなし上手

 おもてなしは心を込めて相手に接すること・・・つまり「相手にどのように接しているか」を切り口に賢治童話を読んでいくと「おもてなし上手たち」がぴょこぴょこ現れます。あくまで私の印象ですが、最後にそんな彼らをご紹介させていただきます。気になるおもてなし上手がいたら、どうぞ本の中へ会いにいってみてくださいね。

◎言葉遣いに気を遣う「注文の多い料理店」の山猫たち

  どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません

 おもてなしの気持ちは言葉遣いからも伝わるもの。次々出てくる注文にお客を丁寧にお迎えしている様子が伝わってきます。レストラン山猫軒の山猫たちは、賢治さんの童話の中で一番おもてなし上手でないかと思います。ただし「注文」とは、お客様がする注文ではなく、お客様「に」する注文だったのですが・・・。

◎歓迎の気持ちを静かに込める「雪渡り」の狐紺三郎さんと狐の子たち

 人間の子どもの四郎とかん子を幻燈会に招待した紺三郎さん。二人の来場を紺三郎さんと狐の子たちは心から喜び歓迎し、お団子を出して丁寧にお迎えします。ところが読み進むうちに読者は狐と子どもたちに「あるの距離感」を感じるでしょう。おそらくこれは自然と人の距離。狐たちの静かに心を込めている様子もきっとだからこそ。

◎丁寧さをこころがける「茨海小学校」の先生と校長先生

 主人公の「私」は、狐の子の罠にかかってばったり倒れてしまいます。でもそれがきっかけで茨海小学校を参観することになりました。「私」はこの学校の先生と校長先生にスリッパをすすめられたり、ミルクティを出してもらったり大変丁寧な対応で迎えられます。

◎ごちそうする「紫紺染めについて」の工芸学校の先生たち

 おいしいお料理も大切なおもてなしのひとつ。紫紺染めの研究者たちは、山男を内丸精養軒に招待しごちそうしました。白いクロスのかかったテーブルの上にはパンやバター。これからごちそうが順に運ばれてくる気配です。ところがこの山男にとっては、高級なお料理よりフレンドリーに接してもらうことのほうが実は一番のおもてなしでした。

◎常識を持って応じる「狼森と笊森、盗森」の森と人間たち

森と人の「いいかあ」「いいぞう」な関係。相手のことを思い、歓迎し歓迎されるからこそお互いが感謝の気持ちで接し、対話が生まれます。自然と人が対話し、確認しあうことは本来は当たり前で最低限のルールのはず。3回「五穀豊穣のよろこび」 もご覧下さい。

◎相手のしあわせを思う『注文の多い料理店』序文の賢治さん

 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。

 1923(大正12)年12月に27歳の賢治さんが出版した童話集『注文の多い料理店』。その序文には、賢治さんからの「どうぞこの1冊を楽しんでください」という想いが、静かに控えめに、少し(お互い心地よく感じる)距離をとっていっぱいつまっています。ぜひ本を開いて全文読んでみてください。

■第5回 そろそろ閉店のお時間です

 ご来店いただきまして誠にありがとうございました。賢治さんの世界と花巻においしいものはまだまだたくさんありますが、ひとまず今回が最終回です。

 そもそもレストランの語源はフランスで「元気を回復させる」ためにつくられたスープの名前からという説があります(諸説あります)。そしてレストランはいつもと違う空間で、ごちそうが目の前にあらわれるまでのわくわくした気持ちや、一口食べたときのしあわせな気分、お腹がいっぱいになったときの笑顔など、明るいものが生まれてくる場所です。

 当レストランも、ご紹介した賢治さんのことばと作品世界、花巻の農のある風景、東北が生んだ食べものの智慧などが、皆様の元気なスープとなりますように!

 けれども当レストランの厨房では、素晴らしい食材をさばききれなかったところもございます。味付けや調理方法の物足りなさで、消化不良の方もいらっしゃったはず。なによりウェブ上のエッセイにしては毎回ずいぶん長~い文面で、飲み込むのに四苦八苦!?された方もおられることでしょう。反省点は今後に生かしてまいりたいと思います。

「ごちそうさま」「いただきます」の間には、宮沢賢治さんの童話や詩を読んでみてください。そして花巻で実際においしいもののあれこれに舌鼓を打っていただけば幸いです。

 あらためまして当レストランは、たくさんの方のお世話になりました。

 お忙しい時期に関わらず快く対応いただいた取材先の皆様、企画の実施のため一緒に動いてくださった関係者の皆様、そして当レストランにお越しいただた皆様、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。(「銀河鉄道の夜」 写真は花巻ブルーシリーズ・いわて乙女 伊藤農園で)

最終回・・・ですが、このレストランは結構気まぐれです。

 ある日こっそり開店することもあるかもしれません。その時はどうぞよろしくお願いします。どこかでまたお会いしましょう!

 

※賢治作品の引用は『宮沢賢治全集 1~10』(ちくま文庫)に拠りました。

ただし旧かなづかい等、一部改めて載せている点、ご了承ください。

私が書きました
中野由貴

花巻と宮沢賢治ファンの料理研究家
絵本・童話・食・宮沢賢治をテーマに創作、研究、執筆などを行っています。
著書に『宮澤賢治のレストラン』『宮澤賢治お菓子な国』(平凡社)、『にっぽんたねとりハンドブック』(共著・現代書館)ほか。
宮沢賢治学会会員、希望郷いわて文化大使。兵庫県在住。
花巻市民ではありませんが、イーハトーブ花巻出張所@兵庫(勝手に命名)から参加させていただきます。どうぞよろしくお願いします。