花巻市の宮沢賢治童話村で開催されている「童話村の森ライトアップ2026」を訪れました。宮沢賢治生誕130年を迎えた2026年。今回は、無料で楽しめるライトアップ会場と「賢治の教室」を巡ります。芝生の上で輝くどんぐり、木々の間にちりばめられた星のような光、池の向こうに浮かぶ十字架…。童話を思い浮かべながら、不思議な余韻が残るお出かけになりました。
賢治の童話の世界へ出発
童話村の入り口で迎えてくれるのは「銀河ステーション」。

童話村の入り口には「銀河ステーション」の文字
レンガ調のアーチに掲げられた名前を見ると、ここから物語の世界へ出発するような気分になります。

懐かしい!ブドリの声は小栗旬さん
そばには、アニメーション映画『グスコーブドリの伝記』のブドリとネリの像もありました。

青い車体に星座が描かれた「銀河トレイン」
実際に乗客を乗せて走っていたという「銀河トレイン」もあり、園内へ入る前から賢治の世界を感じられます。
わたしは車を運転できないので、新花巻駅から歩いて童話村に向かいました。所要時間は約20分。歩ける距離ではありますが、道中は「熊に出合わないかな…」と少しそわそわ。帰りは現地で待っていたタクシーを利用しました。車を使わずに訪れる方は、帰りの交通手段もあらかじめ確認しておくと安心です。
童話をモチーフにした光を巡る
ライトアップの会場は、芝生広場や妖精の小径、山野草園池、賢治の教室があるログハウスエリアなどです。開けた広場と木々に囲まれた場所では、光の見え方も雰囲気も変わります。

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芝生広場で目を引いたのは、『どんぐりと山猫』をモチーフにしたオブジェです。わたしが訪れたときには、周りに子どもたちも集まっていました。実の部分だけでなく、帽子のような部分まで凝ったつくりです。

このどんぐりはとがった頭が自慢かな?
童話に出てくる黄金色のどんぐりたちは、頭の形や背の高さで誰が偉いか争っていましたが、そんなことよりみんなきれいだな〜と、のほほんとした気持ちになりました。

木々の中で瞬く星のよう
妖精の小径・小川エリアでは、木々の中に光がちりばめられ、星々が瞬いているように感じました。色とりどりのオブジェと青い光が重なり合う様子も美しく、『銀河鉄道の夜』の世界を思い浮かべます。

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近くで見ると、オブジェの表面には星や花のような細かな模様が。周囲の景色と一緒に眺める楽しさと、形や模様を見つめる楽しさの両方がありました。
特に心に残ったのは、山野草園の池の向こうでぼうっと光る、サザンクロス(南十字)のオブジェです。

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『銀河鉄道の夜』では、船の沈没事故に遭った姉弟と青年が、天上へ向かうために南十字で列車を降ります。物語を読んだわたしには、南十字に亡くなった人たちが向かう場所というイメージがあります。光が水辺の向こうに見えたとき、きれいだなと思うのと同時に、少しぞわっとしました。
こちら側から眺めている光が、どこか遠い世界につながっているような感覚。華やかな光を楽しむだけでなく、物語の中の生や死、別れにもふと気持ちが向くような、余韻が残った場面でした。

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ログハウスが並ぶエリアには、『貝の火』をモチーフにしたオブジェもあります。花巻市賢治まちづくり課によると、このエリアでのライトアップは2019年に新設されたそうです。
細長い三角形のフレームに、光の輪と鏡のような球体が組み合わされたオブジェ。球体に周りの風景が映り込み、色とりどりのオブジェとはまた違った表情を見せていました。
実は『貝の火』を読んだことがないのですが、物語のどんな部分を再現しているのだろうと、お話に興味が湧きました。

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花巻市賢治まちづくり課によると、「童話村の森ライトアップ」が始まったのは、賢治生誕120年にあたる2016年。継続を望む声が多く寄せられ、その後も開催することになり、今年で11回目を迎えます。
開始当初は約50個だったオブジェも、年々増えて現在は約110個に。ログハウスエリアの新設など、少しずつ会場も広がってきました。毎年続いている催しですが、以前訪れたことがある方にも、新しい発見があるかもしれません。
ライトアップのオブジェは一年中設置されているわけではなく、会期が終わると童話村内の倉庫へ運び、保管しているそうです。ぜひ、この時期だけの童話村の風景を楽しんでみてください。
生誕100年に開村した童話村
今年、母と書店を訪れたときのこと。宮沢賢治生誕130年の特設コーナーを見て、母がわたしにこんな話をしてくれました。
「あんたが生まれた年は、宮沢賢治の生誕100周年で結構盛り上がってたんだよ。誕生日もあと2日違えば一緒だったんだよね~」
宮沢賢治の誕生日は1896年8月27日。わたしはその100年と2日後の1996年8月29日生まれ。
「ずれちゃってごめんね〜」という母の横で、「そんな話初耳なんだけど!」とびっくり。生誕130年という節目が、急に自分の人生とつながりました。

石ッコ賢さんを発見(かわいい)
宮沢賢治童話村に伺うと、童話村も生誕100年のイベントに合わせて開村したとのこと。当時の来場者数は392,225人だったと教えていただきました。花巻に約40万人もの人が訪れたとは!母が話していた当時の盛り上がりが、数字からも伝わってきます。
当時は賢治記念館やイーハトーブ館などの市内施設に加え、盛岡や東京でも記念イベントが行われたそうです。
幼い頃に連れてきてもらったはずなのに、当時の記憶はほとんどないわたし。大人になった自分の目で、あらためて園内を回ってみました。

非日常な気分になれるログハウスエリア
ログハウスの展示施設「賢治の教室」は、賢治童話に登場する植物・動物・星・鳥・石について紹介しています。ライトアップ期間に限らず、無料で入ることができるようです。

「星の教室」でお勉強
なかでもわたしが気に入ったのは「星の教室」。青を基調とした室内に、星座の形が光る展示や、色とりどりの星がちりばめられた展示が並びます。もともとプラネタリウムが好きなので、それに似た雰囲気が感じられて心ひかれる空間でした。屋外のライトアップに加えて、ログハウスの中でも星の世界を楽しめたのがうれしかったです。
童話村によると、「賢治の教室」は開設当時から大きな変更はないそうです。古さをあまり感じず、新鮮な気持ちで見ていたので驚きました。覚えていない景色に、大人になってあらためて出会うのもおもしろいものです。
光を見て物語を思い出したり、まだ読んだことのないお話が気になったり。生誕130年の今年は、わたしにとって賢治の童話と童話村を少し身近に感じる機会になりました。

ライトアップは10月まで
「童話村の森ライトアップ2026」は、10月31日(土)までの土・日・祝日に開催中。10月の開催時間は16時〜20時、最終入場は19時30分。ライトアップ会場への入場は無料です。
(トップ写真:ⒸMIRRORBOWLERS)





