まきまき花巻体験したい神楽を見に行こう - 早池峰大償神楽に入門?
神楽を見に行こう - 早池峰大償神楽に入門?
70 まき
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東京と花巻の二拠点生活に挑戦中です。

花巻で出会って好きになった物はたくさんありますが、神楽はその中でも別格です。何気なく行ってみたら、手平鉦(てびらがね)、太鼓、笛が作り出すリズムに乗って神楽衆が舞う様子はとても魅力的で、権現様はどこか愛らしく見え、すぐにファンになりました。それ以来花巻市のサイトなどで情報を調べて、予定が合う時には必ず足を運んでいます。

最初はとにかく楽しく観ていたのですが、回を重ねる度に様々な疑問がわいてきます。

より神楽を知りたい!

そんな時、(株)JR東日本びゅうツーリズム&セールスによる体験型ツアー『500年以上の歴史を持つ「早池峰大償神楽」に入門!』を見つけ、早速12月7日から一泊二日の日程で参加しました。

今後同じツアーが行われるかわかりませんが、神楽に興味がある方に紹介したく取り上げてみました。

1日目

12月7日午後、東京からの新幹線で新花巻駅に到着。(現地からの参加も可能でした)

すぐにバスで大迫(おおはさま)の「花巻市総合文化財センター」へ向かいました。以前このまきまき花巻で紹介した通り、ここは神楽全般について学ぶのにとても良い場所です。今回はセンターの方が直接説明してくれたので、展示されている78の神楽面は神楽を継続していけなくなった団体から寄贈された物であるなど、新たに知る事もありました。

次は同センター内で、花巻市職員で早池峰大償神楽の演者であり、このツアーが企画されるきっかけとなった「通い神楽」を提唱する方から、「早池峰大償神楽の伝承活動と楽しみ方」というレクチャーを受けました。

花巻市内で活動している神楽団体は60、中断団体21、廃絶団体が5と聞いて、展示されていたお面の話を思い出します。花巻の神楽に惹かれるのは、素朴で力強く、受け継がれてきた「時」が感じられるからです。「先人の芸を可能な限り変えずに伝承する」という姿勢と思いに、強くうなずいてしまいました。

そしていよいよ、神楽鑑賞です。

一同、バスで花巻温泉へと向かいます。滞在するホテルのイベントスペースの最前列に席を用意していただき、「三番叟」「鞍馬」「権現舞」を鑑賞しました。居合わせたお客さん達も楽しそうでした。

権現様も前の方で待機中。

三番叟(さんばそう)。速いテンポで軽快に舞われる、ユーモラスな演目。ぐっと反り返ったり高く跳んだり、かなりの運動量です。

「鞍馬」は牛若丸と天狗の首領の兵法比べ。ぶんぶんと棒を振り回す天狗。

牛若丸が軽やかに跳びあがり、攻撃をかわします。

様々な攻撃を仕掛けるもことごとく封じられ、天狗は逃げ帰ります。

権現様に頭をかじってもらうと厄払いになると言われ、神楽の最後に希望する人を舞台にあげてくれることがあります。これまで神楽を見に行った時に、お願いしたいな・・・と思う事はあったものの、何となく気後れして機会がありませんでした。しかし今回はレクチャーの中で「かじられ方(身固め)」を教えていただいたので、舞台に上がることに。

いよいよ権現様をお迎えします。

舞手が権現様をふわりとまとうと、生き生きと権現様が動き出します。

参加者一同、誘導していただき舞台に上がりました。権現様の御体は下に行くにしたがって細く長くなっています。持ち上げられた裾をの下を通る「胎内くぐり」の後、再度1列に並ぶとひとりひとり頭上で歯を合わせて(齧って)くださいました。

権現様が歯を「カチッ」とさせる音は思ったよりも大きく、厄が落ちておめでたい事が起こりそうな気がしました。

2日目

神楽ツアーがメインのツアーですが、花巻温泉も堪能。温泉で疲れもとれたし、雪景色がきれいなので散歩をしました。

宿泊したホテルからすぐ。雪景色の花巻温泉稲荷神社。

朝9時30分、再び大迫へ向かいます。ツアーも大詰め。「神楽の日」の開催場所でもある「大迫交流活性センター」にて、いよいよ神楽体験です。

大償神楽の方々5名に加え、権現様もちゃんといらしています。

教えていただくのは「しんがく」という、神楽で一番最初に習う演目だそうです。地元では幼稚園や小学校で子供たちが習うそうですが、手にした幣束(へいそく。細長い木の棒に白い紙がはさまれています)をくるりと回しながら体を回転させて向きを変える・・・・というシンプルな動きが上手くできなくて、腕と脚の動きがバラバラで、思わず笑ってしまいました。体の重心を低めにした、文字通り「地に足が付いた」動きが本当にできない。普段の体の動かし方とは異なるし、考えすぎて余計にわけがわからなくなってしまいました。

約1時間半の練習の最後にはハカマを着用させていただき、舞いました・・・というか、ただうろうろしていただけですが。とても何か習得できたとは思えませんが、最後に大償神楽「通い手帳」をいただきました。

昼食の後は、大償神楽を伝授したといわれる田中神社を見学。祀られてるのは瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)だそうです。

そして大償神社へ。天気がとても良く、青い空と神社の鮮やかな赤が印象的でした。きりっと冷えた空気の中、気持ちよく約100段の階段を上りました。社殿の中も見せていただいたのですが、神楽の演目にもある天岩戸と天孫降臨の絵が飾られています。今更ながら、鳥兜につけられた雌雄の鶏が天岩戸の物語に由来する事を知りました。

雪がちらついていたのですが青空がのぞきました。

神楽の練習場所をコロナ禍で使えなくなった時には、ここに集まったそうです。あの期間も練習を続けていたんだなぁと思いました。

最後は、大迫産直センターと隣接するミルク工房ボン・ディアに立ち寄りました。地元のエーデルワインを使用した「ワインソフト」が甘さ控えめでさらっとした口どけで、とても美味しかったです。地元の食材や和菓子も色々と購入したかったのですが、今回は何といっても、神楽のためのツアーです。権現様のボトルカバーを購入しました。

思った以上にリアル。

今回関わってくださった地元の方々に感謝するとともに、この大事な文化を残していくために何かできたら、何ができるのか・・・と考えました。まだまだ知りたい事があるし、舞も見たい!!

これからも神楽を見続けていこうと思わせる、盛りだくさんのツアーでした。

(早池峰神楽についてご興味がある方は、花巻観光協会のサイトに詳細が掲載されています。冊子形式でまとめられた「早池峰神楽鑑賞ガイド」には神楽の成り立ちから装束や演目、鑑賞の際に配慮すべき点までまとめられています)

 

私が書きました
Mican

花巻と東京の二拠点生活を始め、花巻市民になったばかり。写真と旅行と手仕事が大好きです。