早池峰山、御神楽、弥生や縄文時代を学べる場所、「花巻市総合文化財センター」をご紹介します。
JR新花巻駅から車で約20分。「大迫産直センター アスタ」「ミルク工房ボン・ディア」「ワインシャトー大迫」などなど大迫のおいしい物が集まる場所を通過して岳川を越えて間もなく、「大迫体育館」の奥に「花巻市総合文化財センター」はあります。
センターは文化財を展示・公開するだけではなく、埋蔵文化財資料の保管や調査研究など重要な役割を担っています。
2階建ての1階に常設展示、企画展、体験講座のスペース、2階では花巻を上空から撮影した写真が床に貼られていて遺跡の位置を確認できたり、遺跡について説明するパネルが壁いっぱいに掲示され、保管されている土器を、ガラス越しにですが見る事ができます。
常設展示のスペースに入ってすぐ左手側には、早池峰山の見どころポイントの写真が天井から下がり、出会えるかも知れない動物たちや植物の写真と標本が展示されています。早池峰山の高山植物の多様さや「ハヤチネウスユキソウ」など固有種についてはすでに多くの方がご存知だと思いますが、その植物研究に大きな貢献をした先人の功績についても知ることができました。
続くスペースには、平成23年に閉館された早池峰山岳博物館から移管された資料が展示されています。登山道具が年代別に展示されているのですが、こんな靴で登っていたのか・・・と、現在の装備との違いに驚きました。登山や冒険好きの方は、植村直己さんのピッケルも見どころでしょうか。
そして、「早池峰神楽」のコーナーです。
2年程前に初めて御神楽を見た時にとても感動し、とにかく何でも知りたいとこのセンターを訪れたのですが、早池峰山信仰、御神楽の歴史そして装束など、御神楽入門にはピッタリでした。何といっても目を引くのが、壁一面に展示された様々な演目のお面です。数えてみたら78面もありました。「岳(たけ)神楽」と「大償(おおつぐない)神楽」をあわせて「早池峰神楽」と呼びますが、リズムや舞い方など様々な違いがあります。お面もその一つで、例えば山神の面は大償神楽は「阿(あ)」、岳神楽は「吽(うん)」という形をとっていると言われています。見る角度により変わる表情に、しばし見入ってしまいました。仕上げに中央の大きなスクリーンで「早池峰神楽の世界」を見れば、御神楽入門コースを修了した気分です。
最後は、花巻の考古資料セクションです。花巻でもこんなに多くの弥生・縄文時代の遺跡が発見され、研究されているとは知りませんでした。大迫町外川目の八木巻川沿いにある遺跡「アバクチ洞穴」には、人骨の他アイヌ民族の「クマ送り儀礼」を想起される出土品があったそうです。他に報告例が無い事から今後の研究待ちとのことですが、展示されている出土品を見ながら想像が広がりました。触ることのできる展示物もあり、火起こしや勾玉づくりなどの体験学習をあわせて受講すれば、知識と体験が結びついて特にお子さんには良さそうです。
特別展や体験講座もこのセンターの魅力です。私が訪れた時には「城下の手仕事 花巻傘」が開催されていました(8月25日終了)が、ミニ傘製作体験の楽しそうな様子が「まきまき花巻」にも掲載されています。次回は「遺跡のモノがたり展ー石鳥谷地域の遺跡」(9月14日から11月10日)ですが、特別展のスケジュールは要チェックです。
帰りに権現様のペーパークラフトを購入し、土偶のカプセルトイで「縄文のビーナス」を獲得。大満足でした。
ぜひ「花巻市総合文化財センター」へ足を運んでみてください。