花巻は農業が盛んな土地。お米だけではなく雑穀・野菜・くだもの・畜産・酪農、たくさんおいしいものがありますが、目で楽しませてくれるお花の生産も盛んです。
今回は、花巻の青いお花“花巻ブルー”シリーズの一つであるカンパニュラを生産されているJAいわて花巻花巻地域花き生産部会部会長 高橋誠さん((株)誠花園 社長)にお話を伺いました。
サラリーマンを辞めて花農家へ
高橋さんがお花栽培を始めたのは今から25年ほど前。50歳になったのを機にサラリーマンを辞めて、奥様の礼子さんと一緒に花農家になりました。トルコキキョウからスタートして、今では、花巻で生産が盛んなリンドウ、カンパニュラ、花束には欠かせないユーカリなど様々な花を栽培しています。外から見るだけではハウスが並んでいるだけなのですが、ハウスの中はきれいなお花でいっぱいです。
釣鐘型のかわいいお花“カンパニュラ”、生産者の努力で日本トップクラスの産地へ
取材に伺った4月は、カンパニュラの出荷最盛期。ハウスにもたくさんのカンパニュラが咲いていました。
カンパニュラという名前は、教会の鐘の形に似た花の形に由来します。そのイメージから花言葉は、“感謝”、“誠実”。九州で栽培が始まり、徐々に北上して東北まで広がり、年間を通じて関東などの大消費地へ届けられているとのこと。なかでもJAいわて花巻は、日本でもトップクラスの出荷量を誇っているのだそうです。
なにか工夫があるのですか?と伺うと、少しだまってから「企業秘密だよ(笑)」、とのお答え。きれいに花を咲かせてより多くの商品を出荷するための“企業秘密の技術”を生産部会の仲間と切磋琢磨し確立されて、大産地になったようです。
花巻の皆さんにもあまり知られていない“隠れ名産品”発見!
カンパニュラの花言葉の一つは“感謝”、そして5月第2日曜日は母の日と花巻のカンパニュラの最盛期と一致。花巻の“母の日”は、カンパニュラで彩られたら素敵、そんなことを思いながら、、、花を作る楽しみやご苦労を伺いました。
「花栽培は、過保護もだめ、放っておくのもだめ。子育てと同じなのよ。」観察を欠かさず適度な管理がポイント。旅立ち前は少し厳しめ?!
誠さんと一緒に花栽培をされている礼子さんに花農家の楽しみを伺うと、
「作業自体は大変よ。長年やっているといつの時期が大変かも想像できちゃうから。でも、育てるのは楽しいわね。いい花を咲かせるために、水や温度、肥料の管理、芽や枝の管理をきめ細やかにしなければならない。そうかといって、きれいに長持ちする花を出荷するためには、過保護すぎてもいけない。出荷前は、少し厳しすぎるくらいにして送り出すの。まるで子育てと一緒」と話してくださいました。
品種によっても反応が違って、観察が欠かせないのだとか。出荷の旅立ち前は、日中は少々しおれてしまうくらい水を少なくする、でも夜になるとシャンとなる。少し鍛えて送りだすと、買ってもらった後、たっぷりのお水をあげると活き活きと元気に長く花を楽しませてくれるのだそうです。
もっと地元花巻にも花巻のお花を。
日本の中でもトップクラスの生産量を誇り、花巻で栽培されたカパニュラは主に関東に出荷されています。そのため、カンパニュラの生産が盛んなことを知らない花巻市民も多いのではないかなと誠さんは言います。
花は、産地表示もなく食べ物とは違って消費者も産地で選ぶことが少ないのが特徴です。そのような中で、“花巻のお花”を知ってもらうため、JAいわて花巻では、年間を通じて管内で生産される青い花をシリーズ化。春から初夏にかけてクレマチス、カンパニュラ、夏から秋にかけて切花と鉢花のリンドウがあります。数年前から毎年、SL銀河の車内でのPRなど行うなど、たくさんの人に知ってもらえるよう取り組み強化中とのことです。
誠さん曰く「“花巻ブルー”をきっかけに、もっと花巻の人にも花巻のお花を知って楽しんでもらいたい」とのこと。みなさん、“花巻ブルー”、要チェックです。
こんなに素敵なお花たちが生まれて大事に育てられて旅立っていく花巻、だてに名前に花がついてないなと、花巻の良さをまた一つ発見できました。