みなさん初めまして、花巻市地域おこし協力隊の鈴木寛太です。出身地である東京都から花巻市に移住して約1年半が過ぎました。移住当初は東京と花巻との暮らしのギャップにあたふたしていましたが、今となっては花巻暮らしにも慣れ、移住生活を楽しんでいます。
私が住む花巻市大迫町(おおはさままち)は「神楽とワインの里」というキャッチフレーズがあるほど、伝統文化とワインという印象が強い町です。その中で私の仕事は主にここ大迫町のぶどう産業を守ることです。
岩手県で最初の本格的なぶどう栽培の地
花巻市大迫町は岩手県の中でも、ぶどうの町として古くから栽培を始めており、そのスタートは戦後まもなくのことでした。
歴史を紐解くと、昭和22、23年に発生したカザリン・アイオン台風が、大迫町に深刻な被害を与えました。当時の県知事である国分謙吉氏が大迫町には傾斜地が多く、また降水量も年間を通じて少ないことに着目し、ぶどう栽培の地として推奨したことから、ぶどう栽培が行われるようになりました。
ぶどうがなければワインはつくれない!
大迫町のぶどうは後に、ワインをつくる原料として使われるようになります。大迫町には現在3つのワイナリーがあり、その中で50年以上前に設立された株式会社エーデルワインは、町にとって大きな存在であり、近年では国内外のワインコンクールにおいてたくさんの賞に輝いています。
しかし、そのワインの原料となるぶどうをつくる生産者が年々減少傾向にあるのです。
数年前までは154戸あったぶどう生産者は現在(2017年現在)117戸までに減少しています。この数字は2015年11月から2016年4月にかけて大迫町担当の協力隊が大迫町にいる全ぶどう生産者を一軒、一軒現状調査をした結果からわかった数字であり、また、ほとんどのぶどう生産者は70歳から80歳がメインで栽培をしていることもわかりました。
さらに追い打ちをかけるように、後継者不足、担い手不足が現在直面している課題です。
だからこそ若い力を町に取り込む
私が大迫町に移住したときに、当時岩手大学の学生だった友人に「何か町で一緒に出来ないか」相談したところ、「岩手大学ぶどう部」というサークルを設立することになり、大迫町のぶどう生産者に対して栽培のサポートをおこない、また、町の魅力の発信もしていただいています。
ぶどう栽培をしたい人に対して、学べる場。体験する場をつくりたい
大迫町にある展望台から町を見下ろせば、ぶどう畑が広がっていて、昔は収穫シーズンになると町中でぶどうの香りがしたというお話を生産者の方から伺ったことがあります。
しかし、先ほども述べたように、生産者は減少傾向にあります。作り手がいなければぶどう畑は荒れていき、当時の輝きを再び取り戻すことは難しくなります。外部から若い力が関わり続けることも必要ですが、外部から新規就農希望者に対して、環境作り、受け入れ態勢を整えることはとても重要なことだと考えます。
例えばぶどう栽培で移住を考えていても、いざ!移住を決意して住民票などを移さなければいけない手間や、町にはどんな暮らしがあり、どんな文化があるのか、突然の移住は不安…。と考えることは決して不思議なことではなく、むしろ当たり前なことだと思います。ぶどう栽培で新規就農希望者や、体験をしたいという方に来てもらい、それがきっかけとなってぶどう栽培をこの地で本格的にやりたいと考える方が出ていただければ幸いです。
現在の大迫町にはそのようなトライアルステイが出来る場所がありません。まだまだ受け入れ態勢は整っていません。そこで、大迫町でトライアルステイが出来る場所をつくりたいと私は考えています。それも全国に多く存在する空き家を使ったトライアルステイを行うことが出来れば、空き家の活用方法にも使えるのではないかと考えます。
トライアル出来る場所があり、そこで新規就農希望者同士が集うことが出来ればきっと未来は少しずつでも明るい方向へ進むはずです。興味のある方は是非、私と一緒になってこのプロジェクトのメンバーの一員となり、進めていければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
次回へ続く