緑が豊に広がる花巻市石鳥谷町五大堂の田んぼ道。
花巻にいちご農園があることは人づてで知ってはいたけれど、実際に訪ねたのは初めてだった。いちご狩りは初めての経験。きっかけは、まきまき花巻の取材で縁があった、石鳥谷の菊池善男さんが紹介してくれたことだった。
笑顔で出迎えてくれたのは、高橋スワ子さん。ご夫婦で農園を管理されている。
いちごのハウスに近づいていくと、甘酸っぱい香りをいっぱいに感じられる。今は6月上旬。いちごのシーズンとしては終わりかけだと聞いたが、大きくて真っ赤に熟したいちごが文字通り鈴なりだ。
いちごは12月に旬を迎え、より美味しい季節なのだと、恥ずかしながら初めて知った。そう言われてみれば、クリスマスシーズンが最もいちごの需要が高い。イメージでは春だった。それというのも、レストランで「いちごフェア」と題してデザートメニューがいちごで華やぐ印象があったから。
もともとはお米を専門に作る農家さんで、堆肥を作るために牛も飼育していた。お米だけでは生活していくことが難しかったが、野菜作りは人手がかかるので、いちご栽培を始めたのだそうだ。ここの農園の設備は、福島の会社が建てたものだという。
美味しいいちごを作るために
6月にはすでに今年の秋から冬にかけて収穫する育苗が始まっている。
プランターでの育成は、根が乾燥しないように気をつけながら水をまく。虫がついたり病気になったりしないように神経を使うし、ひとつひとつのプランターの土を入れ替える作業は力を必要とする。
これだけの作業をほとんど女性がやっているのだ。最近では若い人手を求めているが、中々続く人は少ないという。男性でも根気のいる仕事だ。農家の人たちは毎日毎日、精根込めて仕事をしている。どの分野の農家さんもそうだが、本当に頭が下がる想いだ。
いちご狩りは3月ごろから始まるが、12月の需要も多い。今食べているいちごもとっても美味しいけれど。12月のいちごは色も味も格段に美味しいという。ジャムの仕上がりも、色が美しい。
いちごの栽培には、地下水を汲み上げて、酸性とアルカリ性に電気分解をした「電解水」を使っている。育てるのに使うのはもちろんのこと、殺虫の効果もあるそうだ。
いちごの苗は女性のお腹くらいの位置になっていている。収穫しやすくなっているのだ。小さなお子さんでも手が届きやすい。
太陽の日の光が当たるように通路側にいちごがちょうどよくぶら下がっている。
いちご狩りに同行してくれた友人たちのこの満面の笑顔。いちごは可愛くて美味しくてみんな笑顔になる。ここのいちごは花巻市内のお店におろしているだけでなく、一般のお客様も多く訪れるそうだ。
いちごをジャムにする目的で沢山買われていく方も多いのだとか。
この日も箱いっぱいのいちごを手に抱えた女性たちを見かけた。盛岡から来たらしい。
それぞれの品種の特徴
数ある品種の中でもジャムに向いているのは「とちおとめ」と胸を張って教えてくれたスワ子さん。ちなみに、一番好きな品種も同じくとちおとめなのだそうだ。
それぞれの品種には特徴があるので、スワ子さんに伺った。
とちおとめ(主な産地:栃木)…甘く少し酸味があり、果肉がしっかりしている。
あきひめ(主な産地:静岡)…細長く、実が柔らかい、すっきりした甘さ。
紅ほっぺ(主な産地:静岡)…とちおとめと同じく甘いが、こちらはジューシーで果肉が柔らかい。
さがほのか(主な産地:佐賀)…ほんのり甘く、桃のような味。
食べてみたけれども、4つ並んでいたらどの品種だか分からないだろうなぁ。
スワ子さんは私が詰めたいちごのパックにシールをなんなく貼っていき、さすがだなと感動する。
お土産にいちごジャムを3つ買った。埼玉の実家へも送ることにしよう。
いちごを見守るスワ子さんの眼差しは、まるで自分の子どもをみているような優しさに満ちていた。
また今年の12月に沢山友人を誘ってスワ子さんに会いに行きたい。家族が遊びに来たときにも連れてくることにしよう。
おウチcaféをやってみる
うちに帰ってから絶対にやりたかったこと。
それは、摘んできたいちごでパフェを作ることだ。一度でいいからいちごを思いっきりたっぷりのせて作ったものを食べてみたかった。パフェグラスは無いので、ワイングラスで代用。
生クリームとコーンフレーク、バニラアイスといちごを使った。品種ミックスのいちごを好きなだけのせたそれは、まさに大満足の出来だった。
同行してくれた友人も自宅でジャムを作り、手作りの豆乳プリンと合わせていちごプリンを作ったとのこと。お店に売っているスイーツのようだ。
友人を誘ってカフェごっこをしてみても面白い。
ホットケーキ、バームクーヘンを使ってみたり、ブルーベリーやミックスナッツをトッピングしても良かったかもしれない。