まきまき花巻参加したい東和棚田のんびりRun 2026 ~心のふるさと東和町に帰るきっかけ~
東和棚田のんびりRun 2026 ~心のふるさと東和町に帰るきっかけ~
208 まき
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9月19日土曜日、朝。私は朝6時に目を覚ますなり、青い蛍光色のTシャツへと着替え、自宅を飛び出し東京駅へ向かった。
その青いTシャツには、白いはっきりした文字でこう書かれている。

そう、ついにこの日がやってくる。
新幹線に乗る前から、私の心は既に東和町!

新花巻駅に到着し、東和温泉へと向かうと、私の東和の家族でもある東和棚田のんびりRun実行委員会メンバーのみんなが、着々と準備を進めていた。「おかえり〜」と私のことを迎えてくれる。嬉しいことだ。

私が到着した午後には、大方の作業は終わっていた。頼もしいことに、東和中学校の生徒の皆さんが、午前中に人手の必要な作業は済ませたようだ。
東和中学校の3年生は、「東和創造学」の一環として、ここ数年毎年お手伝いを頂いている。事前準備やエイドなどの戦力として大助かりなのはもちろんのこと、地元東和を深く知り、未来へと継承していくためにも、若い中学生の地域との協働はとても意義のある取組だ。

エイドのテントの配置、コースの看板立て、ライン引き、そしてランナーの皆さんに配るグッズの仕分け。主要な作業は既に終わり、これで準備万端…と言いたいところだが、どうにもならない心配事がまだ一つある。雨だ。
棚田ランがまさに開幕する9月20日の朝の雨マークが、天気予報を何度見ても消えない。
そこで、垂れ幕や貼り紙が外に掲示しても濡れないよう、透明なビニールで覆う作業を午後に手伝った。

東和小学校からランナーの皆さんに向けた一つ一つの大切なメッセージも、雨に滲まないようビニールで覆い、明日のスタート地点に掲示した。

このほか、地域で走路員を手伝ってくださる方へ渡すお礼のティッシュと入浴券の準備もお手伝いした。こうしたところに、棚田のんびりRunを支えてくださる地域の方々への感謝を感じる。
各エイドの備品には、トイレを貸していただく方にお渡しするトイレットペーパーも。小さいけど、大きな気遣い。こうした一つ一つのことが、大会を築き上げていくのだと思う。

作業の合間を縫って、ハーフのコースも一周させていただいた。
道中いくつものコンバインがせっせと働き、秋の東和はまさに実りの収穫期。東和の方々は、これはいつもの光景で当たり前だと言う。
でも、東京に住む私にとっては、決していつも見ることのできる風景ではない。一年のうちのこの季節、ここでしか目にできない光景。一面金色にたなびくこの景色が、やっぱり私は大好きだ。

ああ、私の心のふるさと。今年も帰ってきたよ!

夕方、最終確認の打合せをして、東和温泉でひとっ風呂浴びたらこの日は終了。心の中にてるてる坊主を吊るしつつ、明日に備えて今日はもう早く寝よう。


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朝4時前、私は屋根に打ちつける猛烈な雨音で目が覚めた。誰がどう見ても土砂降り。やはり予報は裏切らなかったか…。
しかし、朝5時過ぎ、朝ごはんの新米のおむすびを頬張っていると、どんどん雨音が小さくなっていった。
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時前、出発する時には、気にならないくらいの小雨。これなら乗り切れるだろうか。


東和温泉前の本部に行くと、受付とグッズ売り場も準備万端。Tシャツ、トートバッグ、熊鈴、南部平野農園さんのりんごジュースに加え、今年はオリジナルグラスも仲間入りだ。

その隣には、今日しか買えない棚田のんびりRun特製コーヒーも。千葉県にお住まいのお母さんと娘さんが、この日のためにデザインし、ここまで遥々持ってきてくださったそうだ。

ランナーの受付も終え、小雨の中開会式が始まった。花巻市内外から多くの来賓の方々がここまで駆けつけてくださったほか、東和中生からも今日の決意が表明された。
今年申し込みがあったのは、ハーフ202名、シニア11名、親子ショート29組58名。ありがたいことに、岩手県内外から随分多くの方がここ東和に集まってくださった。
今日はランナー皆さんが無事で怪我なく、東和を思いきり楽しんで帰ってこれますように。

朝8時、いよいよ出走。スタートの合図の法螺貝が鳴るその直前、先ほどの小雨が一転して、天からシャワーのような大粒の雨が地面を打ちつけた。
なんということだ。でも、もう止めるわけにはいかない、やるしかない。
ぶおおーーーっ。法螺貝が鳴った。さて、これからどうなる今年ののんびりRun。

東和温泉を抜けるとほどなく、黄金色に染まる田んぼが見えてくる。
雨に濡れても、暑い夏を乗り越え粒を実らす稲穂の波は、美しい。

生憎の雨ではあるものの、両側を稲穂の絨毯に囲まれた道は、ランナー達に特別に用意された金色の華道だ。

走り始めて2キロを過ぎ、少し疲れを感じてきたところに、第1エイドが見えてくる。つたの輪さんのしそジュースだ。

爽やかな紫蘇の香りが、ランナー達の喉を潤す。ジュースを飲みながら写真をパチリ。
第一エイドは、多くのランナー達が一定の時間帯に一気に押し寄せる忙しいポイント。しかし、東和中生の活躍もあり、ランナー達を無事に送り出すことができた。

ここから、棚田ビューに向けて勾配のあるコースが続いていく。
登り坂に加えて、勢いの衰えない雨が、ランナー達の体力を少しずつ消耗させていく。
もう疲れた-。しかし、そう思った頃に出てくるのが、第2エイドのつくし工房のがんづきだ。

ほんのりした甘じょっぱさともちもちした食感。ランナー達のお腹に確実に溜まり、これからの道を行くエネルギーへと変わっていく。
さあ、まだ頑張るぞ。

更に続く棚田と坂道。雨で比較的寒い気温の中ながらも、これだけ長い距離を走っているとじんわりと汗をかいてくる。

そんな時には、塩っけが欲しくなる。こんな時第3エイドで待っていてくれるのが、たかすどう産土工房の塩麹漬けだ。

パリパリ、ポリポリ。キュウリの楽しい歯応えと、程よい塩味がランナーの疲れを癒す。
これと菅野和さんの優しい声かけも相俟って、マラソン中だというのに故郷の実家に帰ったような懐かしさを感じる。
東和の新鮮野菜で塩分チャージしたら、さあまた出発だ。

さて、ここは折り返し地点、丹内山神社の第4エイド。私は味噌ソフトの配付係として、水やこびりの味噌ソフトの準備に当たっていた。
とにかく雨が激しかった。走っていなくても、エイドで立っているだけでも大変だった。この中坂道を走ってくるランナー達は、どんなにきつい顔をしてここまで来るだろうか。もしかしたら、ソフトクリームも食べている余裕なんて無いかもしれない…なんて思いながら立っていた。
その時、先導車の軽快な音楽とともに、第一ランナーがここまでやってきた。

その表情は、驚くほど明るいものだった。雨と汗でびっしょりなのに、それすら爽快に感じているような笑顔。
そして、味噌ソフトを渡すと「ありがとうございます」、「いただきます」。食べ終わったら「美味しかったです」「ごちそうさまでした」と言って、ゴミを丁寧に捨ててから、下り坂を颯爽と駆けていく。体力は確実に削られているだろうに、スタッフと食べ物に対する礼儀は忘れない。私が同じランナーの立場だったら、そんな余裕は保てるだろうか。雨ながらも周囲への感謝を忘れず、東和を全力で楽しみ抜くというランナーの皆さんのその姿勢に、感銘を受けた。

さあここから後半戦。いってらっしゃい!

ここから棚田ランの1番の見どころ、棚田ビューポイントに向けてまっしぐら。
その前に、南部藩の馬との暮らしの象徴・旧小原家住宅を傍に抜け、谷内伝承工房館のミョウガの葉焼きで再度エネルギーチャージだ。

小麦粉を練った素朴な甘さに、ミョウガの爽やかな香りが追いかけてくる。これはどこでも味わえるものではなく、東和棚田のんびりラン名物の一つとなっている。
地元のお母さん方が工房館の調理場に駆けつけ、一つ一つ丁寧に準備してくださった。

さあ、第5エイドを過ぎると、また緩やかな勾配が続く。ランナー達の脚に堪えるが、沿道の地元住民の方々達も頑張れと応援してくれる。
当初の本降りの雨も、少しずつではあるが弱まってきた。
しばらく走ると、本道から少し外れた坂の砂利道へと案内される。そこを登るとー。

東和棚田のんびりRun1番の見どころ、棚田ビューポイントだ。ここでは常駐のカメラマンもスタンバイし、金色の棚田をバックにランナーの笑顔を撮影する。
天気は曇りでも、そこにはここまで辿り着けた達成感に満ち溢れた晴れやかな笑顔が輝いていた。

棚田ビューポイント中腹には、南部平野農園さんのりんごジュースを提供する第6エイドもある。金色の棚田の中で、金色のジュースをいただきます。
栄養補給して、残りの登り坂もさあ駆け抜けよう。

ここからはいよいよラストスパート。脚や膝の疲れを訴えるランナーもいたが、エアーサロンパスを持った自転車の巡回員が常に気を配り、前へ進めるようサポートする。
入り組んだ道も多いため、地元の方々も走路員としてランナー達を導く。
皆さんの助けを借りながら、夏の子供たちの人気スポット、カブト虫ドーム付近へと近づいてきた。ここにある第7エイドで食べられるのは、おでって工房のコッペパンだ。

東和特製の地産地消米粉パン。このもちもちだけどふわふわの食感は、食べた人にしか分からない。つい何個でも欲しくなってしまう。
本当はもっと食べたいけど、エイドはまだこれで終わりではない。まだちょっと小腹は空かせて、さあラストラン。

コッペパンの分のお腹を慣らしながら道をいく。樹齢400年といわれる町井のサイカチの木を側目に、体力を少しずつ調整しながら一歩一歩ゴールへと近づいていく。雨も気持ちばかりか、先ほどよりは堪えなくなってきた。
ここで、いよいよ最終エイドが見えてくる。ファーマーファーマー三好夫妻のリンゴ酢炭酸ゼリーだ。

リンゴの爽やかな酸味と甘さのバランスが良く、ここまで駆け抜けたランナー達に最後のエールを送るようだ。
ここまで来たらあともう少し、頑張れ!

あとはゴールに向かってまっしぐら。あと少しと頭では分かっていても、足はもうふらふらだ。雨と汗が入り混じりもう何が何だか訳がわからなくなる。
しかし、これまでエイドでチャージした東和のこびり達が、ラストスパートのエネルギーへと変わっていく。沿道でたなびく稲穂たち、そして雨でも構わず立ち続けてくださる走路員の方々も、頑張れと応援し続けてくれている。
すると、ゴールの東和温泉が見えてきた。徐々に徐々に近づくと、「頑張って!」「これでラストだよ!」「あと少し!」という声援の嵐が聞こえてくる。


東和温泉の駐車場への道と入ると、スタッフや中学生、近隣の方々が一斉に拍手でお出迎え。更に金管バンドの応援演奏まで聴こえてきた。

これらの全てに力をもらって、最後の道を駆け抜ける。
そして、

完走。
その瞬間、「お疲れ様!」「ナイスラン!」と見ず知らずの人も含めてたくさんの声をかけてくれる。
ただコースを走り終えて、タイムを記録して終了、というマラソン大会も少なくはない。しかし、東和棚田のんびりRunは違う。全力で東和を感じ、味わい、そして走り抜いたランナー達を、スタッフ・住民総出で心から労う。ランナー達もお互いの健闘をここで讃えあう。

昨日までは他人だったかもしれない。けど、ここまで走り抜けたランナー達、そしてそれを支えたボランティア達は、もう既に皆、心の東和町民だ。

疲れを癒しに、東和温泉にひとっ風呂。その後、和室で神楽を鑑賞しつつ、河東の誉とワインの角打ち。これらをひとしきり楽しんで東和温泉を出ると、さっきまでの雨は上がり、爽やかな秋風が火照った体を優しく包んでくれた。

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本番前日、準備が行われていた東和温泉のプレハブで、私は一つの分厚いファイルを目にした。

そこに綴られていたのは、東和棚田のんびりRunの8年分の歴史。第1回東和棚田のんびりRunは2018年に開催された。私も当時参加したが、何もかもが初めてで、みんな手づくりで何とか形にしたような記憶がある。その際は、このイベントが後世にここまで発展し、そして東和の秋を象徴するものになるとは、想像もできなかった。
私は、落合公民館のエイドで梅漬けを配ったっけ。

「地元でマラソン大会をやってみたい。」地域のワークショップで出された一人の住民のアイデアが、開催のきっかけになったという。
そんな声を簡単に聞き流さず、地域一体となって試行錯誤し、実現へと結びつける力が、東和にはある。

年に一度、東和で開催されるこのイベントからは、学ぶべきことがいくつもある。
住民の方のアイデアを地域で受けとめ、実行に移す行動力。
「棚田」「こびり」「歴史」「神楽」。地域に根付くこれらを貴重な資源として捉え、一つのイベントとして昇華させる力。
警察、猟友会、学校、協賛の皆様、そして何よりも地域住民の方々のこのイベントに対する理解、協力。
トイレを貸してくださった方、走路員を務めてくださった方に、トイレットペーパーや入浴券をお礼に渡す心遣い。
エイドの運営における中学生達の活躍。地域との協働。
そして、このイベントに参加した中学生達が、後に中学校を卒業してもその翌年以降にこのイベントに帰ってきていること。
遠方からのランナー達も、このイベントを機に「心の東和町民」となり、何度も帰ってきていること-。

この笑顔が、来年もまた再来年もまた見られますように。

さあ、記念すべき第10回まで、あと少し。ここまで、ナイスラン!

 

 

 

 

私が書きました
まっちー

神奈川県横浜市出身。2年間の期限付きで、2018年4月から2020年3月まで岩手県に出向。現在は東京在住。ご縁あって花巻市、中でも東和町の大ファンに。