まきまき花巻体験したい「夢灯(ゆめあかり)」に誘われて
「夢灯(ゆめあかり)」に誘われて
13 まき
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はじめまして!

皆さん、こんにちは。
5月に着任いたしました、地域おこし協力隊の平川優です。

私自身は神奈川県厚木市の山に囲まれた地区で育ちましたが、実は、石鳥谷町生まれ。
このたび、両親と子供ふたりを連れて、孫ターンしてきました。

私が遊びに来ていた子供のころとは街も様変わり。そして、知らなかった花巻の魅力が満載!
毎日、新しい発見の連続です^^


さて、私の活動のテーマは「伝統工芸」です。

どうして「伝統工芸」に興味を持ったかというと、私自身が育った地区がまったくの新興住宅地で、「伝統あるもの」に触れる機会がなかったから。

花巻には、あちらこちらで先人の知恵や想いがこもった「伝統」を重ねたものに出会うことができます。

花巻の基礎を築いた先人たちの知恵や技術を、もっと身近に感じ、子供たちに伝えていくお手伝いができたら素敵だなと思っています。

花巻にいらっしゃるたくさんの職人さんたちの想いを皆さんにお届けできるよう、日々走り回っています。


さあ、大迫へ

移住してきて初めて伺った大迫。山育ちの私には、なんだかホッとする景観です。

今回おじゃましたのは、大迫にある「早池峰焼 星工房」さんです。
明け方まで雨が降り続いていて、しっとりとした陽気でしたが、工房に着くとお日様が出てきました。

木々に囲まれた「早池峰焼 星工房」

体験工房として

45歳のころ、陶芸の世界と出会った星励忍さん。そのころ、陶芸はとても敷居の高いもので、興味がある人は多いものの、気軽に体験することはできない世界だったそうです。

それならば、敷居を低くし、いつでも体験できる工房があれば、陶芸をやってみたいという人が集まるのではないか、とビジネス目線で陶芸を考え、自然が豊かだけど交通の便が良い大迫に工房を構えることに。

「早池峰焼」という名前は、星さんが25年ほど前に命名したもの。

大迫に根差し、星さんが育ててきた文化です。

ろくろに向かう星励忍さん

星さんの代表作とっも言える「夢灯」

キラキラした光

ずらりと並ぶ体験用の電動ろくろ

「早池峰焼き」に関しての過去の記事はこちら↓

「陶芸の面白さを伝えたい!~大迫町・早池峰焼~」https://makimaki-hanamaki.com/3525

 

『夢灯』を作れるコースがある!

星工房で体験できるコースには、①手びねり、②電動ろくろ、そして③夢灯があります。
体験メニューがたくさんありますので、ぜひ星工房さんのホームページもご覧くださいね。
体験コースについてはこちらから↓

http://www5f.biglobe.ne.jp/~ohy/taiken/index.htm

 

手びねりも電動ろくろも面白そうだけど、、、
やっぱり自分の『夢灯』を作ってみたい!
同じく協力隊として活動している赤津隊員とともに、『夢灯を作る』体験にチャレンジしてきました。

テラスに用意された体験場

鳥のさえずりや虫の大合唱に囲まれ、自然の風や光を感じながらの創作活動。とても贅沢な時間です。
眼下には星さんが手入れしている素敵なお庭が広がります。池にはハスも咲いていて、鯉も泳いでいましたよ。
創作へのイマジネーションが広がる景色です。

 

まずはどんな模様にしようかな?

加工する前の夢灯

彫る前の「夢灯」はひんやりとしていて、すべすべした手触りでした。

土色を眺めていても、なかなか想像するのがむずかしいですが、完成した姿を浮かべながら、
私は「ハヤチネウスユキソウ」、赤津隊員は「銀河」を作ることに決めました。

お手本として出してくださった「ハヤチネウスユキソウ」と「銀河」

 

早速、模様を彫っていきます。

「夢灯」で使用するのは、のこぎり、電動ドリル、竹串の3つのみ。
たった3つの道具で、あんなに素敵な作品が生み出されるなんて驚きです。

手作りの小さなのこぎり

太さの異なるドリルの刃。一番細いのは2ミリほど。

星さんが、それぞれの道具の使い方を実演しながら教えてくださいました。

「ハヤチネウスユキソウ」で使うのは、ほとんどがのこぎり

「ハヤチネウスユキソウ」を彫るときは、まず真ん中の花になる部分に、6つ(中心に1つ、周りに5つ)一番小さなドリルで穴を開けます。

その花の周りに、「苞葉」をのこぎりで切り出していきます。

この「苞葉」がなんとも難しい。
大きさやバランスが揃ってしまうと機械的になってしまうし、
直線ではなく、自然にカーブを描き、右に流れたり、左に流れたり。
星さんは「アンバランスさを作る」のが、自然にあるものを描くポイントだとおっしゃっていました。
モチーフは、不等辺三角形上に奇数個配置することにより、芸術的なアンバランスを生み出すことができるそうですよ!
切り出した「苞葉」の周りを、竹串で縁取りしていきます。

ふぅ、やっと一つ完成。
作業中は思わず息を止めてしまっていました。

これをいくつも作っていきますよ!
私は全部で7つの「ハヤチネウスユキソウ」を彫りました。
「ハヤチネウスユキソウ」が彫り終わったら、最後に灯りが広がるように小さな穴を開けていきます。
こちらは好きなバランスで。

上部の方にぐるりと

さぁ、お隣で作業している赤津隊員の「銀河」はどうでしょう?

竹串を使って、どこに大きなモチーフを配置するか見当をつけていきます。

見当をつけたら、まずは太いドリルを使って穴を開けていきます。
十字のモチーフは、穴を開けたあとに、のこぎりを使い縦横に切り込みを入れます。
こちらも穴に合わせてカーブに切り出すのが難しい様子でした。
なんと、赤津隊員は今回が電動ドリル、初体験!
最初はドキドキしたそうですが、慣れてくると無心で穴を開け続けた!とのことでした。
大きなモチーフを配置した後は、とにかくたくさんの穴を!
これが銀河の星のきらめきとなります。
何度も椅子を立って、全体のバランスを見て、またドリルに向かう赤津隊員の姿が印象的でした。

完成した赤津泰委員の作品

流れ星は、のこぎりを駆使して切り出していました。
星形、とても綺麗ですね!
2時間から取り組める『夢灯を作る』体験ですが、
私たちは結局3時間近く掛けて完成いたしました。
今まで体験された方々の中には、5時間掛けて、とことんこだわった方がいらしたとか。
そのお話しを聞き、そんなこだわりを受け止める奥深さがあるのが『夢灯』なのだな、と頷いてしまいました。

彫り上がった作品に光を灯してみよう!

私の作品♪

赤津隊員の作品♪

 

開けたのは丸い穴なのに、映る灯りがハート形になっているのが、とても不思議(*´艸`*)

このあと、天日干しで夏は1週間から10日ほど、冬は2、3日、作品を乾燥させ、平均800度で8時間素焼きをしたのち、
星さんが作品に合わせて釉薬をつけてくださり、1240℃で12~14時間本焼きします。

 

焼き上がった作品

陶芸作品は、焼き上がると一回り小さくなります。
実際に彫っていた大きさと比べると、こぢんまりと可愛らしい印象に仕上がりました。

 

上から見ても綺麗

窯を見せていただきました。

伺った日は、ちょうど星さんの作品と体験した方たちの作品が焼き上がったタイミングで、窯を開けるところを見せていただくことができました。

窯の台が非常に重く、これは男の仕事だな、とおっしゃる星さん

急激に冷えてしまうと割れてしまうそうで、火を落としてから丸一日、自然に冷えていくのを待ちます。
開けて作品を取り出すのを見せていただいた時には、まだほんのりと表面が温かかったです。時折、ピンッ、パンッ、と亀裂の入る高い音色がしていて、
まるで「銀河」みたいだ、と感じました。

陶芸体験を楽しんだあとは、、、
工房のすぐそばには、ミルク工房ボンディアがあります。
じっくりと集中したあとは、ひんやりソフトでクールダウンはいかが?

ベンチに座ってボンディアソフトを食べながら、ふと見上げると、山の上に権現さんが\(◎o◎)/!

みなさんのお越しをお待ちしています(^^)/

そして、お知らせ☆彡
今月9月22日~25日に、星さんの作品をたっぷりと堪能できる『陶芸作家6人展』が開催されます!!
会場は気持ち良い風が通る、星工房。
1,000円ごとのお買い上げで、陶芸作者の作品が当たる抽選会や、
当日飛び込みOKの陶芸体験もありますよ!
ぶどうも美味しい季節になりますので、ぜひ大迫に遊びにいらしてください♪
『陶芸作家6人展』in 大迫
令和4年9月22日(木)~25日(日)
10:00~17:00(最終日は15:00まで)
会場:早池峰焼 星工房
出展窯元:【鍛冶丁焼】阿部太成(花巻)
     【遊心窯】栗原恵美子(花巻)
     【朱孝彩】野田考順(花巻)
     【早池峰焼】星励忍(花巻)
     【のらや】野村昌弘(遠野)
     【香月窯】及川能宏(一関)
私が書きました
平川優

2022年4月、神奈川県厚木市から花巻市に孫ターン。5月に地域おこし協力隊(伝統工芸担当)に着任いたしました。さき織に挑戦中。特技はバイオリン。興味は文化芸術、郷土芸能。
よろしくお願いします♪