まきまき花巻行きたい菊池捍(きくち まもる)邸内覧会とゆかりの人々展
菊池捍(きくち まもる)邸内覧会とゆかりの人々展
35 まき
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大正15年に建てられた菊池捍邸は、洋館のような外観にも関わらず、生活空間と接待空間が分かれた武家屋敷の間取りを持ち、洋風の中廊下がその2つの空間を分けているという、大変貴重な建物となっている。
10数年前まで菊池捍氏の子孫が住んでいたので、内部も建築当時のままきれいに残されている。
約10年前、関係者の尽力によって解体を免れて保存がなされ、今回ゆかりの人々の作品や人物紹介展示も併せて内覧会が期間限定で開催されている。
菊池捍氏は明治3年に花巻城士の子に生まれ、新渡戸稲造の勧めで札幌農学校に進学。同じく花巻出身で花巻城士の子だった佐藤昌介総長と、同校教員だった新渡戸に薫陶を受けた農業技術者だった。20代で札幌農学校助教授を務めたのち、全国の農業研修所長や技師を務め、新渡戸の勧めと後藤新平の招きもあって台湾やスマトラでも活躍したのち帰郷。北海道時代に見た開拓使の建物に影響されて、このような洋館風の外観で家を建てたものと思われる。
ゆかりの人々の展示は、その菊池捍や菊池の義兄佐藤昌介、および佐藤昌介の妹(菊池の妻の姉)で島崎藤村の初恋の相手だった佐藤輔子に関連する資料と、菊池の次男で、戦前戦後に活躍した有名な写真家菊池俊吉が撮った写真、そして戦争によりこの家に疎開してそのままここで生活した、菊池の娘婿で、戦前のプロレタリア美術の第一人者寺島貞志の絵など、この家にまつわる方々の資料や作品となる。
戦前は昭和天皇の兄弟の秩父宮殿下がこの家に滞在したり、終戦直後、高村光太郎も宮沢賢治の弟の清六に連れられてこの家を訪問したとの記録もあり、花巻の歴史の中で重要な役割を果たした家と言っていい。
菊池俊吉氏
寺島貞志氏
家の中を見るだけでも貴重な体験となろうが驚くほど多彩な花巻の先人たちの足跡もまた貴重だ。このイベントは6月26日から7月18日まで毎週土曜日と日曜日限定。10時から16時(最終入場15時半)で開催されている。今後の保存・活用協力金として、入場料は中学生以上500円。毎日曜日は16時から朗読や音楽観賞会もある。
入場人数制限や体温計測、入場者記名など、コロナ感染対策も取った上での開催。
なお、今回のイベントをきっかけに、今後ここを常時開館、常時展示のまちなかミュージアムにする計画もある。新しい「まちのスポット」として活用されることを期待したい。
私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。