まきまき花巻見たい例文から学ぶ花巻弁講座 vol.4〜初冬編〜
例文から学ぶ花巻弁講座 vol.4〜初冬編〜
112 まき
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「こめもりんごもあらがだそどしごどおわって、ゆまかだくらぐなるのがはやぐなったころだべが。いぎなりしゃっけあめふって、かぜもぺっこつよぐなるひぁある。よながまであめぁふっても、あがるぐなるあだりにぁあがってひがさすてるのさ。かぜっこぁしゃっけままだどもな。そんたなあさまぁ、ほいっとにしのやまにでみろ。こごらにふったのぁあめでも、やまのうえがらはんぶんくれまで、まんずおもせもんで、せんこひいだみでにしろぐなってるんじぇ。それみで「やんや、こどしもきたな」どかがどあきらめでわらうのよ。しぜんにさがらったってしやね。わらうしかねがべじゃ。そのひがらはもはふゆだな。

「米もリンゴもあらがだ外仕事終わって、夕ま方暗ぐなるのが早ぐなった頃だべが。いぎなりしゃっけ雨降って、風もぺっこ強ぐなる日ぁある。夜中まで雨ぁ降っても、明るぐなる辺りにぁあがって日が差スてるのサ。風っこぁしゃっけままだどもな。そんたな朝まぁ、ほいっと西の山見でみろ。こごらに降ったのぁ雨でも、山の上がら半分くれまで、まんずおもせもんで、線コ引いだみでに白ぐなってるんじぇ。それ見で「やんや、こどしもきたな」ど嬶ど諦めで笑うのよ。自然に逆らったってしやねぇ。笑うしか無がべじゃ。その日がらもハ冬だな」

・あらがだ = 「だいたい」

・夕ま方 = 「夕方」。朝間、昼間のように、夕方にも「間」をつける。

・しゃっけ = 「冷たい」。「冷やっこい→しゃっこい→しゃっけ」と変化した?

・ぺっこ = 「少し」

・そんたな = 「そんな」

・おもせ = 「面白い」。「面白い→おもしれぇ→おもせぇ」と変化か?

・みでに = 「みたいに」

・やんや = 「やれやれ」。なんとも形容し難い時に便利な感嘆詞。

・嬶 = 「妻」。「嬶(かかあ)→かがあ→かが」と音便化。

・しやね = 「仕方ない」。「仕方ない→しゃーない→しやね」と変化?

・もは = 「もう」。本来名詞を補足する副詞だが、なぜかそれに接続詞がつく。

 

「米もリンゴもだいたい外の仕事が終わって、夕方暗くなるのが早くなるころかなぁ。突然冷たい雨が降って、風も少し強くなる日がある。夜中まで雨が降っても、日が昇るころにはあがって日が差しているのさ。風は冷たいままだけどね。そんな朝には、ひょいと西の山見てみなさい。この辺りに降ったのは雨でも、山の上から半分ぐらいまで、面白いもので、線引いたみたいに白くなっているんだ。それ見て「やれやれ、今年も来たな」と、妻と諦めて笑うんだ。自然に逆らっても仕方ない。笑うしか無いよね。その日からはもう冬だな」

私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。