花巻の昔と今、人々、そして文化について知りたいのなら「花巻市博物館」が、一番です。
日本がまだユーラシア大陸と地続きだったといわれる「旧石器時代」から近代まで、一気に学ぶことができます。そして、様々なトピックスを取り上げる特別展も魅力的です。
花巻の歴史をたどる
7月末に久々に博物館へ行きました。
見学順路をたどっていくと、縄文時代に人々がどんな暮らしをしていたかわかる竪穴住居の復元や、狩りの道具や土器などが、出土した場所の地図と共に掲示されています。ここから近いな・・・と思うと、遠い時代も身近に感じます。中でも、小田遺跡(大迫)の遮光器土偶はお気に入りです。
そして、展示は鎌倉幕府支配下の稗貫(ひえぬき)・和賀(わが)の時代へと進みます。
「稗貫」「和賀」という名前は、花巻の歴史の中でよく耳にするものの、私自身ほとんど知識がありません。関係がわかりやすく示された系図や、戦乱期の武士の勢力分布が一目でわかる城館分布図、南部の支配に至る過程などは、次回ゆっくり復習したいところです。
甲冑や参勤交代の道具を眺めながら、当時の様子を思い浮かべました。
城下と宿場町としての花巻のところまで来ると、町の人々の生活の様子が生き生きと伝わってきます。商売に関する書類が展示されていましたが、毛筆で流暢に書かれています。当時は日常の一コマでも、携帯やパソコンで文字を書くことが多い今の生活を考えると、ちょっと感動します。宿屋の食事を再現したお膳には、興味津々です。おかずの川魚やキノコに芋の子は素朴ながら美味しそうで、花巻の食文化が垣間見られます。再現したお膳を、自分でも再現してみたくなりました。
最後のセクションは近代の花巻という事で、花巻駅周辺のジオラマや当時の写真が紹介されています。今の花巻駅周辺を思い出しながら見ましたが、残念ながら面影はありません。町の移り変わりを実感します。また宮沢賢治さんはじめ、花巻に縁の先人たちの軌跡も学ぶコーナーもあります。
特別展「つくり、つたえる 花巻の工芸」へ
花巻について復習した後は、今回の目的であるテーマ展「つくり、つたえる 花巻の工芸」です。
紹介されていたのは、「台焼(だいやき)」「鍛冶町焼(かじちょうやき)」「花巻人形」「成島和紙」「花巻傘」「ホームスパン」、そして「南部系(なんぶけい)こけし」です。どれも興味深かったのですが、今回一番見たかった展示は、以前記事にも書いた「ホームスパン」です。
ホームスパンのルーツを知る
東和町東晴山の梅原家を中心に羊の飼育と羊毛加工が始められ、もともと農閑期に麻や綿を織っていた農家の女性達に広がっていったそうです。その後、及川全三氏の尽力によってホームスパンは高い商品価値を得て、広く流通するようになりました。これはご存知の方も多いでしょう。
ホームスパンの今日までの歴史の詳細をたどりながら、機織りの道具や、染色や織見本、そして実際に使われていたマフラーなど見る事ができました。
個人的ですが、嬉しい事がありました。
この展示に出かける前の週、盛岡の「みちのくあかね会」の講座で、昔ながらの機織り機でヘリンボーン柄のミニマフラーを作りました。実はその時、みちのくあかね会と花巻のホームスパンに深い関係があることを、私はまだ知りませんでした。
今回の展示で、及川全三氏が後進の育成にも力を注ぎ、その内弟子の一人である福田ハレさんが、みちのくあかね会の発足当初の指導に関わっていたことを知りました。長い年月を経て受け継がれた技術に、ほんの少し触れられたようで、とても嬉しく思いました。展示の見本帳にもヘリンボーンがありました。そして、祖父がホームスパンに関わっていた事は知っていましたが、曾祖父母や親しみある親戚の名前も説明の中にありました。大人になって興味を持ったホームスパンですが、自身のルーツをたどっているような気もしました。
この企画展は8月30日までです。手仕事が好きな方には、是非見ていただきたいです。
花巻を訪れたら、ぜひ博物館へ
花巻市博物館は宮沢賢治童話村のお隣です。花巻を訪れた際には、是非立ち寄ってみてください。また地元の方も、興味ある特別展の時に、あわせて花巻の歴史を改めて振り返ってみてはどうでしょう。次回の特別展は9月12日からの「大正イマジュリィの世界」です。成島和紙の飾り紙箱つくりのワークショップもあるようですから、今から要チェックです!(令和8年度特別展「大正イマジュリィの世界」)







