気になっていた肉バル

いざ、入店
かねてからGoogleマップで見かけて気になっていて、いつか絶対行こうと思っていたお店に、7月某日に満を持して行くことができました。その名も「肉バル サンダー」。お肉をたくさん食べたい! でも行く機会がない。どうしたものかと思案していたところ、知り合いの方から取材のお話をいただき、あれよあれよとめでたく初来店と取材が決まりました。渡りに船とはこのことですね。ちなみに私のまきまき花巻ライターライフ上初記事となるので、ちょっと緊張しつつ、期待も高まります。
花巻駅からは歩きだと20分ほど。頑張れば歩ける距離ですね。マルカンビルからすぐの、豊沢町の岩手銀行の斜め向かいあたりにあります。駐車場はやや分かりにくいですが、営業時間となる夜の時間帯は㈱小田島アクティさんの駐車場を使っても構わないそうです。

店主の髙橋さん
当日の夜19時過ぎ。ドアを開けると迎えてくれたのは、株式会社ハンズクリエイト所属の店主・髙橋宏公さん。気さくな笑顔に陽気なバイブスを感じます。照明は暗いですがBGMもキャッチーで明るい曲が多く、開けた雰囲気を醸しています。

内装

案内された席
席に案内いただき、メニュー選び開始。言わずもがなお肉料理がメインで、アラカルト、ステーキ、焼肉の選択肢の多さが目立ちます。ラクレット、ライス、デザートもあり、脇役も捨てがたい。目移りしてしまって選ぶのが大変!



調理法も多岐にわたりそうとお見受けしましたが、金曜・土曜以外は全てワンオペでこなしているそう。
ドリンクメニューも充実していて、ピーチのノンアルコールカクテルを頼みました。普段炭酸もそこまで飲む方ではないのですが、ちょうどいい甘さで飲みやすかったです。

他にはサングリア、カクテル、焼酎、ビール、ワイン、ソフトドリンクなど多様なラインナップが揃っています。肉料理にはやはりサングリアが合わせやすいかもしれません。
コースや食べ放題、父母会プランもあり、用途に応じて手軽にお店を利用可能です。メニューやプランによっては休日限定なのでお気をつけて。
まずはステーキを注文してみます。
岩手県産短角牛サーロイン

手前が短角牛サーロイン、奥が後述のエゾ鹿モモ肉
短角牛は全4種ある日本和牛の1つで、主に北東北で育成されています。全体的な生育頭数の数%に限られ、そう多く出回ってはいません。実は筆者は去年の秋に県北の酪農家さんを訪ねたのですが、その時伺った内容によると、短角牛は他種より脂に対して赤身が多いためサシが入っておらず、古くなると黒くなってしまいます。そのためオンラインやレストランで卸すのがメインで、スーパーなどには基本的には出回りません。サンダーで気軽にいただけるのはありがたいことです。オリジナルステーキソースを存分にかけ、マッシュドポテトと一緒に堪能。このステーキソースがまた絶妙で、醤油や蜂蜜を使っているそう。濃密なコクが食欲をそそります。
北海道産エゾシカのモモ肉
ジビエのメニューがあるとは予想していませんでした。無意識に予想していた硬さやくさみといったものがほとんどなく、ジビエとしてもとても食べやすさを感じます。お肉は北海道のジビエ専門の会社から買い付けているそうで、本州の鹿肉より風味が豊かなのだそう。
白金豚自家製サルシッチャ

ご存知花巻の誇り、白金豚。市内で育成されている豚肉のブランドで、スーパーでの流通は少ないものの、市内各地のレストランなどで提供されています。自家製サルシッチャは、一度ボイルしたものを家庭で再加熱する一般的なソーセージとは異なり、加熱前の状態から焼き上げるそう。ナイフを入れると肉汁がジュワッと溢れ出ます。取り分けてもらったものを一旦噛もうとすると、なんと肉汁がほとばしり目に入るというハプニングが! 結構直撃だったので目がぁ!目がぁ!と一時はパニックになりかけるも、次第に落ち着きを取り戻しました。これでこのサルシッチャがいかにジューシーかを分かっていただけたかと思います。今まで白金豚をサルシッチャやソーセージで食べたことはありませんでしたが、非常に食べ応えがありました。
牛すじ煮込み(サービス)

6時間も煮込んだという牛すじは、ほろほろ食感でコラーゲンたっぷり。筆舌に尽くしがたいほど美味でした。実はメニューには載っておらず、イベントなどで提供する限定品らしく、いいんですか!?という気持ちになりました。裏メニュー(?)にはしておくのがもったいないほどでした。市内のイベントで提供するメニューだそう。
髙橋さんの経歴
ここで店主の髙橋さんの経歴を聞いてみました。花巻に生まれ、料理の専門学校で西洋料理を中心に食を学んだ後、那須の宿泊施設で7年修行を積み、再び岩手へ。
盛岡のホテルでも何年か研鑽を重ね、青年会議所の知人から声をかけられて「あ、やる」と二つ返事でサンダーでのキャリアを開始したそう。「ノリと勢いだよね」と笑う髙橋さん。最初の現場は花巻のこの店舗ではなく、盛岡の2号店だったようです。
お店の経営には金銭の管理、接客対応、調理など様々な労苦がつきもので、一筋縄でいかないことも多いでしょう。花巻のこの店舗以外には当時髙橋さんが勤務していた盛岡店、矢巾には別会社が運営するフランチャイズ店もありましたが、新型コロナの影響などで体制の変化もあったことから相次いで閉店してしまい、今は花巻のこのお店のみ。元々の花巻の店舗スタッフの退職と、髙橋さんの出身地であることからちょうどいいじゃん、と花巻店を引き継いだそう。あの時代の外食産業の苦境を乗り越えて今があるのですね。花巻に戻ったのは実に17、8年ぶりだといいます。盛岡店と花巻店を合わせると、髙橋さんのサンダーでのキャリアは今現在で10年にもなるということで、まさにご活躍に脂が乗っています。
焼肉やハンバーガーなどお肉を提供するお店は数あれど、「肉バル」というスタイルは花巻でもここサンダーだけなのではないでしょうか。バルとは「スペインなどで、食事の時間までの間に軽くつまみながら酒を飲むお店」のことをいいます。サングリアがあるのも納得です。
まだまだ食欲は衰えません。続いて焼肉をいただくことに。焼き肉のたれかレモン汁で楽しめます。
特上トロカルビ

とにかく柔らかくきめ細かい肉質で、儚いほど。シズル感たっぷりでたまりません。特上の上を行く特上、間違いないです。
岩手牛A4炙りすき焼き

Before

After
長く薄い霜降りの身を、網の上で少し熱したら溶き卵にくぐらせていただきます。お肉の旨味が卵に、とにかく合う。極上。飲み込むのがもったいないくらいの逸品でした。このお肉で肉うどんを提供したいと申し出たうどん屋さんもいるそうです。
白金豚カルビ


再びの白金豚、いくら食べても別腹です。柔らかい食感のお肉に程よい脂のわずかな甘みが乗っていて、思わず笑顔になってしまいました。やはり白金豚は期待を裏切りません。
ラクレットのフリット


メニューにはお肉にかけていただくタイプのラクレットチーズもありましたが、あえてフリットでいってみることに。スキレットに乗ってきたのはキューブ型のフリット。一口頬張ると、伸びる伸びる! ウォッシュタイプゆえの独特な風味がクセになります。とても良質なチーズを使っていることが分かります。トマトソースもまた、チーズの風味を引き立てていい感じでした。
さて、心ゆくまでお肉に舌鼓を打ち、お腹もいっぱいに。最後に、お店をやっている中での印象的なエピソードをお聞きしました。
「年に2、3回くらい来てくれるサラリーマン風のお客さんが1人いらっしゃって。SNSでフォローしてくれたな、と気付いてよく見たら名古屋の会社の人だった。岩手じゃなくても東北の方に仕事で来たら、わざわざそのために新幹線に乗って、うちにだけ食べに来てあとは帰るっていう人がいた。北海道から仕事で岩手に来ると、うちでご飯食べて帰るっていう人がいたり。うちのためだけに来てくれるお客さんが結構色んなところにいる。あっち(盛岡のお店)閉めてこっち(花巻の今のお店)に来たっていうのを聞いて、ここに来たお客さんもいたりとか。足を伸ばして来てくれる人がいるのが嬉しかったね。」
唯一無二の価値を感じて来店されるお客さんが、各地にいるのですね。この美味しさならリピーターがいるのはもちろんのこと、遠方からのファンも惹きつけてやまないサンダー。観光客の方にも地産のお肉を楽しむにはうってつけのお店であることがお分かりいただけると思います。
皆さんも、お仕事帰りのディナーや花巻の観光ついでのお食事に、サンダーの肉料理をチョイスしてみてはいかがでしょうか。

夜のサンダー外観





