リンゴ畑の隣にあるカレー店
アメリカ原産のリンゴの品種の一つ「わいんさっぷ」。これを店名にしたカレー店が、花巻中学校近くの住宅地の中、リンゴ畑と隣接した場所にあります。
店を切り盛りするのは、気さくな笑顔が印象的な阿部ひろ子さん。店内は木のぬくもりが感じられる、アットホームな雰囲気です。お客さんは、玄関で靴を脱いでから店内へ入ります。何気ない店のつくりですが、「一段グレードの高いカレーを出したいという作る側の覚悟」と阿部さんは語ります。
隣のリンゴ畑は、花巻のリンゴ栽培の先駆者として知られる阿部さんのお父さんが植えたものです。店名にもなっている「わいんさっぷ」など、約40種類のリンゴが栽培されています。お店で提供されるカレーやデザートには、ここで収穫されたリンゴが使われています。
安心して食べてもらえるものを提供したい
「わいんさっぷ」で使用している野菜は、ほとんどがすぐ裏の畑で収穫されたものです。野菜の自家栽培という手間のかかることをするのは、「安全で安心なものを食べてもらいたい」という強い想いから。カレーの前菜に出てくるサラダも、シンプルな味付けで野菜本来の味を楽しめます。
カレーは、約30種類のスパイスを使用した本格的なもの。この本格的な辛いカレーが「わいんさっぷ」の魅力なのですが、当初は辛さへの葛藤があったと話す阿部さん。「『辛い』と言われると、じゃあもう少し辛さを抑えようかなと思ったこともありました。でも、そういう声に合わせようとすると、今度は辛いのが好きな人には物足りなくなってしまう。それではダメだと思って、うちのカレーは辛いよと割り切っています。」
スパイシーな香辛料に合わせるのは、じっくり炒めた自家栽培の玉ネギ、ニンジン、そしてリンゴ畑で収穫したリンゴ。口に入れた時に辛いだけではない、深みのある美味しさが広がります。
「美味しい」でつながっていく
「わいんさっぷ」は2017年1月20日で丸10年を迎えました。
「ここで食べた人が、美味しかったからと家族や友だちを連れて来てくれる。そんな店になればいいな」と阿部さんは話します。
来て、食べて、心から「美味しい」と感じれば、誰かにそれを伝えたくなります。そんな風にお客さんに思わせることが出来るのは、食べる人を想ったこだわりがあるからこそ。たくさんのこだわりがつまったカレーを、ぜひリンゴ畑の隣で味わってみてください。