花巻市の西南部、奥羽山脈を背後にのぞむ自然豊かな笹間地区に、長年地域の健康を支えてきた薬局があります。
「体が冷えてるのよ、しっかりと温めなさい」
「体が悲鳴をあげているのよ、きちんと休みなさい」
厳しくアドバイスをくださるのが、店主の本舘佳代子さん(写真右)。昭和41年6月に開局し、今年は50年の節目なそう。一般的な市販薬を販売するのではなく、お客様の体の不調に合わせて治癒力を高める漢方などを主に処方する、という花巻市内では少し珍しいタイプの薬局です。以前はトラックなど車通りの多い県道13号沿いでしたが、数年前に笹間バイパスができて、すっかりのどかな通りとなりました。
「お客さん減ったんじゃない?」と言われることもあるそうですが、本舘薬局はもともと、ふらりと立ち寄るところではなく、用事があるから行くところなので、「むしろ車通りが少なく、行きやすくなった」という常連さんの声が多いのだそう。
厳しい時代
もともとは佳代子さんのお母さんが「笹間薬店」を開いていました。
開局後まもなく笹間郵便局長の旦那様がなくなり、佳代子さんのお母さんが郵便局長に就くことになります。当時、郵便局は世襲制で代々継ぐという時代。そんな苦労をしてお母さんが大変な時に産まれた佳代子さんは、生まれつき体が弱く人より疲れやすいなどのハンデがありながらも、仙台で猛勉強して薬剤師国家試験に合格し、笹間に戻り本舘薬局を開局したのだそうです。
自身の経験から
店内には佳代子さん直筆のメッセージが何十年も色あせずに並びます。
自分の体を知って不調の原因を知り、治癒に向けて納得のいくアドバイスや処方を受けることができる。感じ方はもちろん人それぞれですが、そのような薬剤師さんに会いに遠方からの常連さんも多いのだそう。かくいう筆者も小さいころからお世話になっており、いつも「体を温めなさい」と怒られに行くのであります。
今では佳代子さんの娘さんの未来さんが主に店頭にたっています。 未来さんもまた、佳代子さんがとても大変な時期に産まれ、生まれつき体が弱く冷えやすいのだそうです。それゆえにお客様への説得力も力強いものがあります。
「現代人はみんな冷えています。冷えは万病のもと。体を温めて免疫を高めることから」
そのアドバイスをじっくりと聞くことができる、という薬局のご紹介でした。