まきまき花巻見たい実はハンドボールのまち花巻
実はハンドボールのまち花巻
199 まき
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花巻市の郊外、日居城野運動公園の中、高校野球で有名な花巻東高校隣に花巻市総合体育館はある。第1から第3アリーナまで揃っており、バスケットボール、バレーボール、卓球などの大きな大会のほか、各種イベントにも使われ、体育館内のジムやギャラリーではトレーニングに汗を流す市民がたくさんいる。

実はここはどうやらハンドボールの世界では、高校野球でいう甲子園のような聖地になっているらしい。高校の全国選抜大会が何度か行われ、全日本マスターズや、トップリーグである日本ハンドボールリーグの試合も毎年のように開催されている。岩手県は不来方(こずかた)高校や花巻南高校のような全国を制したことのあるチームもあり、ハンドボール熱がもともと高い地域ではあるのだが、それに加えてこの総合体育館のような設備が整った施設がそれを後押ししている。花巻では小学生たちのスポーツ少年団から中学、高校、富士大学ハンドボールまで各階層に競技人口を抱え、社会人チーム花巻クラブも県内強豪として知られている。着々とハンドボールのまちになりつつある。

3月2日、今年も日本リーグの試合が行われた。

第1試合は日本トップクラスの強豪大同特殊鋼と、沖縄のクラブチーム琉球コラソンの試合。大同特殊鋼には興南高校時代にこの花巻市総合体育館での選抜大会に出場経験があり、3年連続日本リーグベスト7に選ばれ、MVPも受賞したことがある東江雄斗選手がいるし、琉球コラソンには岩手県宮古市出身で盛岡三高OBの中村彰吾選手(秋田大医学部出身で、現在は沖縄で医師とプレーヤーの二刀流)が所属しているという、どちらのチームでも縁ある選手が出場。会場は大いに盛り上がった。

初めて見る日本のトップチーム同士の試合は迫力満点。スピード、テクニックはもちろんのこと、格闘技のようにも見える激しいコンタクトやひとりひとりの選手たちのボディバランスの良さには大いに驚いた。カメラで追うのが難しい。後半には中村選手の速攻のシーンも。

今回は花巻市ハンドボール協会の中島昭博氏(花巻北高OB、筑波大学時代に1981ポルトガル世界ジュニア日本代表、1982ニューカレドニア遠征全日本学生キャプテン)の案内とガイドで取材させてもらったが、花巻のみならず、日本全国においてハンドボールの普及、強化について熱い話をたくさん聞かせてもらった。試合後はその中島氏による中村選手へのインタビューもあった。

ところで今回の日本リーグ花巻大会では、現在進行形のプロジェクト「HaNaMaKi-JaM」とコラボが実現。

ロビーに置かれた大型モニターではエンドレスでこのプロジェクトの中心であるポップスバンドBlueHairsのMVが映され、各試合前、ハーフタイム、試合後にも、会場内に新曲「星の涙 月の祈り」が、本プロジェクトの紹介アナウンスとともに流されていた。この曲は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフに作られたもので、その縁で本プロジェクトが立ち上がっている。今回のコラボは、BlueHairsのメンバーのひとりが千葉県流山市ハンドボール協会の会長を務めていることにより、花巻市ハンドボール協会とつながって実現したもの。様々なつながりが、また次に繋がりを生んでいる。それが多方面に広がっていくことを期待したい。

私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。