花巻での初めての冬越し!
皆さん、こんにちは!
今年度5月より活動しております、地域おこし協力隊の平川優です。
石鳥谷の祖父母の家には、いつも夏休み中に遊びに来ていたので、この冬は花巻で迎える初めての冬でした。
足が埋もれる雪道を歩くのも、ツルツルの道を運転するのも、
車に積もった雪を払うのも、雪かきをするのも初体験。
家の窓が凍って開かなくなったり、
連なるつららを見るのも、気温マイナスが続く日々を過ごすのも、
毎日ほとんど全てのことが初めての体験でした。
「雪国の冬はとにかく大変」とお聞きしていましたが、
霜をまとった樹々や、つららのきらめき、
キラキラとお日様が反射した新雪、
雪をかぶった山脈の景色、真っ白な棚田、
私にとっての冬は、今までに見たこともない美しい世界でした。
美しさに目をうばわれつつも「寒い寒い」と凍え過ごした冬もあっという間に過ぎていき、
いよいよ雪国にも春の気配がやってきました。
神奈川に住んでいた時「春の訪れ」を感じる瞬間というと、
日差しや空気が徐々にやわらかくなり、
野鳥が声高く鳴きはじめ、梅がほころび開花し、花が香ってくる。
こんな感じでした。
雪国の春は、まだまだ寒さが残りますが、
道路のアスファルトが日に日に顔を出し、
田んぼの雪がとけはじめ、土肌が見え、
白鳥たちが旅立ち前の腹ごしらえにやってくる。
そして、目に飛び込んでくるのは、いろどり華やかな「ひなまつり」の知らせです。
大迫 宿場のひなまつり
大迫町中心部の各所で行われている宿場のひなまつり。
メイン会場となる活性化センター内だけでなく、商店街のお店や休憩所などにも飾られており、
大迫のまちなかを歩いて巡ると、地域の方々が雛飾りの説明をしてくださいました。
かつて盛岡と遠野を結ぶ街道の宿場町であった大迫。金や生糸、葉たばこの生産地としても栄え、旧家では代々雛飾りを大事に保管してきたのだそうです。
歴史深い大迫で飾られる雛人形たちは、江戸時代の古今雛(こきんびな)や享保雛(きょうほうびな)が多く、その気品ある表情には、大事に守り継いでいく大迫の方々の心が映っているようでした。
大迫高校の生徒さんもスタッフとして働いていらっしゃいましたよ!
地域で活躍できる機会があるって素敵ですね。
商店街のお店や休憩所には、地域の方々が手作りした雛飾りや手芸作品も所狭しと飾ってありました。
花巻の方々は本当にクリエイティブです!
八日市 つるし雛まつり
所変わって、石鳥谷町八日市振興センターでは、地域の方々が手作りしたつるし雛が、
目移りしてしまうほどずらりと飾られていました。
これらは八日市つるし雛同好会が主催となり、地元の女性会員9名で一年に一基ずつ、作り貯めていったもの。裂き織りの布を使った作品もありました。
ここ数年はコロナ禍で開催できなかったそうですが、それ以前には、遠方から毎年見に来られる方もいらっしゃったそうで、
吊るし雛まつりを通じて知り合い、時折「どうしてるかな?」と想い合い、また次の年の吊るし雛まつりで再会する、という
吊るし雛が人と人とを繋ぐ場となっているのだそうです。
作り続けておよそ20年。
はじめは花巻には無かった「つるし雛」の文化と技術でしたが、
ひと針ひと針、ひとつひとつ、一年一年と作り続け、
「つるし雛まつり」は季節の恒例行事に、花巻の吊るし雛と言えば「八日市」となった、新しい文化を地域に定着させた同好会の会員の皆様のエネルギーに、
感嘆のため息が止まりませんでした。
むらの家 太田ひなまつり
太田織物教室に伺うと、その日はむらの家で行われる「太田ひなまつり」での作品展示のための飾りつけの日でした。
移築された古民家である むらの家 の中に入るのも初めてでしたが、
会場の入口を開けてびっくり。。。
部屋中いっぱいに、段飾りの雛人形がずらりと並んでいました。
これらは、花巻市内(多くは太田地区内)のお宅で不要になってしまった歴史ある雛飾りを譲り受け、毎年出して、地域の皆さんに見ていただくことにより、大切に保管保存しているのだそうです。
博物館からお借りしてきたのかな?と思うような年代物の花巻人形もたくさん並んでいました。これらも、地域の様々な方から寄贈されたものだそうで、
昔は、時期になると「健康祈願」や「合格祈願」として一軒一軒売りに回ってきたのだとか。
いろいろな願いが込められ、地域の方々の暮らしを見守ってきた花巻人形たちなのですね。
さて、広い花巻市内、ひなまつりを巡って車で走っていると、やはり目にするのは白鳥の群れ。
飛んでいる姿を見ても、田んぼにいる姿を見ても、やはり大きいな~と驚きます。
旅立ちは各所でひなまつりが終わる頃でしょうか?
来年もまたフレッシュな気持ちで春を迎えることができるように、これからの一年も大切に過ごしていきたいです。