いいお天気のGW。どこかにお出かけしたいけど、特に予定もない。
「こんなに天気がいいのに、もったいないなあ、、」
そんな時に何気なく携帯を見ていたら、あるお便りが飛び込んできた。
「土澤アートクラフトフェア、5/3・5/4開催に向け準備中!」
そう、コロナ禍でしばらく中止になっていた東和の一大イベントが、3年ぶりに帰ってくるのだ。
「東和が私を呼んでいる。」
直感的にそう思い、足下が浮き足立っていた。
次の瞬間、気づけば私は5/3の夜の夜行バスを予約していた。慌ててスーツケースに着替えを詰め込み、2年ぶりの岩手へと向かう夜行バスへと飛び乗った。
5/4の早朝に盛岡に到着した後、新緑の山々を眺めながら1時間弱釜石線に揺られる。こうして遂に、私は帰るべき場所へと帰ったのであった。
「ただいま、今帰ってきたよ。」
土沢駅は、何も変わっていない。2年ぶりのはずなのに、いつもの場所にいつものように帰ってきた感覚だ。
心躍らせながら、「東和作戦会議」が休憩所を開く旧若専商店へとスーツケースを引く。そして―
「おかえり、よく東京から来てくれたね〜。」
私がお世話になった、東和作戦会議のみんな。朝からせっせと準備に勤しみ、私が来た時には、米粉パンや手作り工芸品の売り物が所狭しとすでに並べられていた。
私を優しく迎えてくれるその声も、商品を並べる手際の良さも、何も変わらない。
私が最初に帰るべきは、やっぱりここ。みんなの声を聴きながら頬張った朝ご飯代わりのあんバターパンは、優しくて、もっちりして、何にも替えられない味だった。
10時になると、いよいよマルシェがスタート。天気がいいためか、朝早くからたくさんのお客さんが来てくれた。
年に2回の土沢の町の賑わいが、ついに帰ってきたのだ。
東和作戦会議の休憩所も、抹茶・りんごジュース・梅ジュースなどの準備に大忙し。カフェ・民泊・キャンプ体験の開始など次々に進化を遂げる「やなのうえプロジェクト」の髙橋典人さんが淹れるコーヒーも大人気だ。
谷内伝承工房館で手作りされるピストルやパチンコのおもちゃも、子供たちが興味津々。
いつぞや私も工房館で、地元のお父さん達が心をこめておもちゃを作るのを見学させてもらったっけ。
私も東和の一員になりきってお客さんたちをもてなしていたら、忙しなく午前中は過ぎ去っていく。
東和作戦会議の菅野和さんが手作りしてくれたおむすび・漬け物のお昼を食べたら、せっかくなので町をちょっと散策。
すると、東和のランナー達が、QRコードを背負って駆け寄ってきた。
彼らは、私がかつて「東和棚田のんびりRun」でお世話になったランナー達。今回は、棚田ランの素敵な動画を見られるQRコードを背負って街を駆け巡り東和をプロモーションしつつ、ゴミ拾いボランティアも行いイベントにも貢献している。
彼らのような方々のお陰で、私達が安心してイベントに参加できるということも忘れてはならない。
そして、彼らは嬉しいお知らせも一緒に運んでくれた。
「今年の東和棚田のんびりRunは、9月24日に開催予定!」
東和は、止まらない。コロナ禍で大変なこともあっただろうに、ちっとも勢いが止まる気配がない。
岩手は田植えが始まったばかりだけど、今から実りの秋が楽しみだ。
こうして、私にとって久しぶりのふるさとでの1日は、あっという間に過ぎていった。
5/3と5/4、両日合わせての来場者数は、なんと6万9千人。私だけでなく、それだけの人がこの日を楽しみに土沢へと集結したのだ。
みんなの期待に応えるため、コロナ禍にも負けずイベントを復活させようと自ら手を動かす東和町民達は、やはり逞しい。
こうした逞しさ、そして誰でも家族のように受け入れてしまう優しさがあるからこそ、私はこの町を大好きになったのだ。
ただいま、東和町。
そして、「おかえり」と私をまた温かく迎えてくれて、ありがとう。
帰って来れて、嬉しかったよ。