花巻市地域おこし協力隊、花巻ワインPR担当の飛世です。もうすぐ3年間の任期満了を迎えようとしています。この場をお借りして、これまでの活動を振り返りながら、感謝の気持ちをお伝えしていきたいと思います。
★第一部は、まきまき花巻の記事を何度か共同で書いた私の師匠の千葉さんからのインタビューでお送りします。
★第二部は、写真と共に振り返る主な活動をまとめました。長くなりますが、よろしければお付き合いくださいませ。
第一部 「飛世かおり」の心境
聞き手:盛岡食いしん爺こと、千葉 芳幸
(まきまき花巻ライター、マチココなどにも携わる。盛岡食いしん爺としてブログや雑誌を発行)
花巻との出会い
・千葉「早いですね~ いよいよ、もうすぐ3年が経ちますね?飛世さんとは、花巻市のウエブサイト「まきまき花巻」のライター講座で、初めて出会いましたよね。あの時、2人でまちを歩いて「旧橋本邸の茶寮花壇」の記事を作りましたよね。あれから2年半ですか?」
・飛世「ご無沙汰しています!早いですね。花巻ワイン通信がスタートしたばかりの頃に葡萄畑で取材していただいてからもう1年半ですよね。最近、電話やオンラインが多くて、どうしても人と会う機会が少なくなってしまって、こうして千葉さんと直接話せるのは、やっぱり嬉しいし、安心します!」
・千葉「飛世さんが花巻に来たきっかけは、地域おこし協力隊の現地体験会でしたよね?そして、ワインに関わる仕事をしたいと思ったわけですよね。」
・飛世、「そうなんです。2018年6月の地域おこし協力隊の現地体験会でした。花巻に来て、色々な方にお会いして、お話を聞きました。もう、すっごく楽しかったです。一番の決め手は、花巻の“人”でした。特に、ツアーでワイナリーを回って、葡萄を触ったり、造り手の方からお話を聞いてとても魅力を感じました。こういう誠実で情熱ある人たちと一緒にお仕事がしたいと思い、帰りの新幹線の中で移住することをもう決めましたね。(笑)とにかく花巻で、ワインに関わる仕事をしてみたくて志望しました。それから面接を経て、花巻産ワインのPR担当として採用していただいたときは飛び上がって喜びました。」
私が出来ることを
・千葉「先に、あまり、聞きたくない質問をします。今は避けてとおれない話です。やはり、コロナの影響は大きかったですか?」
・飛世「はい、大変でしたし、とても残念です。コロナの影響で、準備していたイベントは続々と中止せざるを得なくなりました。影響が出始めたのは、任期が折り返しになる1年半前です。みんな集まりたくても、難しいし、どうしよう・・・自分がここにいる存在意義を考えてばかりで、モヤモヤして戸惑って、苦しさがありました。でも、ここで中途半端に逃げるわけにはいかない。必死に考えて、ようやく行き着いたのが『花巻ワイン通信』でした。」
・千葉「飛世さんの大好きな“人と人”が繋がれない、とすればSNSで発信しようと考えたのですね。ところで、ウェブでの企画や実際に発信する仕事の経験はあったのですか?」
飛世「いままで一般職や研究職をしてきましたが、今回はウェブでの企画でしたから、まったく違う世界でした。正直なところわからないことが多くて、“考えて、動いてみる”というチャレンジの連続でしたね。」
千葉「花巻ワイン通信の取材に同行させてもらった時、着くとすぐ、長靴に履きかえましたよね。そして、葡萄の収穫を手伝いながら、その年のでき具合などを聞く姿を見た時のことを鮮明に覚えています。造り手の方は勿論ですが、飛世さんも優しく丁寧に葡萄を扱っていましたし、真剣にメモを取りながら話を聞いていましたよね。畑の中で、活き活きしてましたよ。」
飛世「ありがとうございます。取材は大変なことも多かったですが、私自身が一番楽しみにしている時間でもありました。出向いて、現地で取材することで、それぞれのワイナリーの特徴や個性の違いも実感しましたし、ますます造り手さんの思いに惹かれていきました。何よりも、直接、お会いして現地で聞いていると、感動の度合いもぜんぜん違いますね。
この畑の葡萄が時間を経て、どんな味のワインになるのだろう。とか、どういうラベルが貼られて店先に並び、どんな方が買うのだろうとか、この葡萄と造り手の思いが伝わればいいなあ~と思いが巡るのです。
花巻ワインの魅力は、造り手さんの豊かな個性だと思っています。
取材したことを『花巻ワイン通信』で日々発信するにつれ、1本のワインには、造る人の人生そのものが映し出されているかのように感じました。」
千葉「飛世さんは、本当に花巻の造り手の皆さんのことが好きなんですね。」
飛世「皆さん厳しい寒さの中で暮らしてきた地域性なのか、辛抱強い職人気質の方が多いのかもしれません。毎年気候も違いますし、自然相手の農作業は根気・体力・精神力が必要です。ひたむきにブドウと向き合う姿を見て、尊敬の気持ちでいっぱいになりました。」
知る、やってみる、伝える
千葉「3年を振り返ってみて「花巻ワイン通信」のほかに、どんなことをしてきましたか?」
飛世「私のミッションは“花巻ワインのPR”です。ここがワイン産地だということをもっと広く全国の方々に知っていただくために活動してきました。イベントの運営・SNSでの発信・テレビ、ラジオでの広報のほかに、ぶどう栽培のお手伝い・醸造作業体験、展示ブース作り、市の公式HPの作成などです。
集大成として『花巻ワイナリーbook』を発行しました。こんなに色々な経験ができたのは、協力隊だったからこそだと思っています。」
千葉「その『花巻ワイナリーbook』とは、どういうものですか?気になりますね」
飛世「よくぞ聞いてくれました千葉さん!『花巻ワイナリーbook』は、旅行で花巻を訪れた方々に向けたガイドブックで、3年間の集大成をぎゅっとつめこみました。ほかのワインの産地を巡ってきて、改めて感じたのは、やっぱり花巻の“人”でした。このbookでは、それぞれの個性豊かな造り手さんたちにスポットを当てながら、それぞれのワイナリーを紹介しています。
デザインをお願いした方が私の想いをくみとってくださり、最高に素敵な冊子になりました。
特に表紙が私のお気に入りで、丹精込めて育まれたブドウの醸造がいよいよ始まる!
というワクワク感が詰まっているような写真です。私の似顔絵も描かれているんですよ。たくさんの人に伝わるように、精一杯想いを込めました。」
千葉「頑張りましたね、素晴らしい!」これは、どこで手に入りますか?
飛世「ありがとうございます。もう完成していまして、花巻の観光案内所、温泉、ホテル、旅館を中心に置かせていただいてます。たくさんの方に手に取っていただき“ワインのまち花巻”を知るきっかけになったら嬉しいです。」
千葉「最後にお聞きしますが、飛世さんが思う、花巻ワインの魅力をもう一度、聞かせてください」
飛世「ひとことでまとめるのはなかなか難しいのですが、私は花巻ワインの魅力は、造り手さんの豊かな個性だと思っています。それぞれのワイナリーの個性が違うからこそ、お互いに切磋琢磨し合って、産地として面白くなっていくものだと思います。それぞれのワイナリーが集まって、“オンリーワンワインの産地・花巻”という魅力が生まれています。」
~取材を終えて~
飛世さんとは協力隊として走り出したばかりの頃に知り合い、時々お会いする機会がありました。コロナ禍になってからは何度か電話やメールのやりとりをしてきました。日常的に会っているより、季節ごとに話す方が人の進化に気がつきやすいのかもしれません。
時が経つにつれ、彼女の笑顔の中に自分なりの視点や言葉が生まれてきたと思います。今ではワインの造り手を語る姿は、どこか自信があり、身振り手振りの激しいこと。
花巻での約1000日の経験を糧にしてワインが熟成するように、これからの人生が充実していくだろうと思っています。これからも機会あるごとに花巻の魅力を色々な人に紹介していただき、時には帰って来て皆に顔を見せて欲しい。また、どこにいても「まきまき花巻」のライターでいてください。
まずは「お疲れ様でした!」
第二部 写真で振り返る、3年間の主な活動報告
2018.8月花巻市地域おこし協力隊着任
2018.10月「ワインツーリズムいわて2018」運営スタッフ
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▲協力隊の初仕事はイベントの運営スタッフのお手伝い。ドキドキでぎこちない(笑)
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▲なかなか食べられないワイン用の葡萄を葡萄畑で味わう参加者さん。楽しそう♪
2018.11月エーデルワインで仕込み作業体験
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▲1コンテナ18kgの想像以上の重さにビックリ!日々のみなさんのご苦労を体感してきました。翌日はもれなく全身筋肉痛です。
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▲実は高いところはちょっとコワイ。。。現場はいつも緊張感があります。
2018.11月「ワインツーリズムやまなし2018」研修
2019.1月いわてワイン研究会参加
2019.2月葡萄の剪定作業体験
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▲「日本ワインフェスティバル花巻大迫2019」全国のワイナリーが大迫に大集合!ワイン好きの皆さんとも交流出来て楽しかったです。
2019.5月~7月「いわてワイン生産アカデミー」修了
2019.6月「300人の酒にバカマジメな岩手人」イベント初開催
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▲造り手とが呑み手が交流を深め合えるイベント、それが“酒バカ岩手” 直接造り手さんがお酒を注いでくださいます。会場内全員でのカンパーイ!の瞬間は、感動的なシーンで忘れられません。
2019.7月「ワインツーリズムいわて2019」ニコニコ動画生放送出演
2019.8月「ワインツーリズムいわて2019」ごきげんテレビ生出演
2019.9月花巻まつりに参加
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▲花巻まつりで太鼓に挑戦しました。ドン、ドン、ドン!楽しかったです。
2019.9月「ワインツーリズムいわて2019」運営スタッフ
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▲「ワインツーリズム2019」、伝統工芸品のオリジナル裂き織り製ワイングラスホルダー。大好評でした!
2019.10月「花巻市フェアinイトーヨーカドー川口アリオ店」出店
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▲台風も吹き飛んで、無事に開催できたイベント。協力隊OG岡田さんと「花巻ワイン通信vol.1」作りました。翌年に「花巻ワイン通信vol.2」も作っています。
2019.12月エーデルワインでビン詰め作業体験
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▲はじめての体験!もうすぐ完成間近の瞬間に立ち合えるなんて嬉しい♪
2020.1月山形ワイナリー視察 他の地域の視察もとても勉強になりました。
2020.2月協力隊活動報告FMはなまき出演
2020.3月 ~歴史を紡ぐ~賢治ゆかりの花壇・旧橋本家別邸「茶寮かだん」(まきまき花巻記事作成)
2020.4月~5月 花巻ワイン通信PR FMはなまき出演
2020.5月花巻市公式HP「世界に誇る花巻ワインHP」作成
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▲豊かな自然が美しい大迫町。花巻市公式HP「世界に誇る花巻ワインのトップ画像にしているお気に入りの風景です。
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▲私のお気に入りのワイン「五月長根葡萄園」もまきまき花巻でご紹介しています。
2020.7月~「花巻ワイン通信」はじめました。 facebook / Instagram
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▲花巻ワイナリーを飛び回って取材。夢中でシャッターを切りました。
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▲ちょっと色がついていない粒は、ここで丁寧に取り除きます。
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▲宝石のように輝く葡萄にうっとり
2020.7月「my sweet town」テレビ岩手5きげんテレビ出演
2021.12月~2021.3月「花巻ワインフェア」in志戸平温泉開催
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▲念願の“温泉×花巻ワイナリー”のコラボレーションが実現しました!おすすめワインとシードルがずらりと並んで嬉しかったです。
2021.3月「花巻ワインPRたれ幕・テーブルクロス」製作
2021.4月~6月「花巻ワインPRブース展示」inイトーヨーカドーぷらっと花巻
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▲街中にいながら、ワイナリーを訪れるような気分で楽しんでいただけましたでしょうか??
2021.6月「花巻ワイナリーbook」発行
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▲3年間の集大成をぎゅっと大切につめ込んだ「花巻ワイナリーbook」がついに完成!ぜひこのbookを片手に“ワインのまち花巻”を楽しんでくださいね♪
おわりに
造り手さんのモノづくりに真摯に向き合う姿を間近で見てきて、
自分には造ることはできないけれど
造り手さん、味わう人、ワインを好きな人、色んな人を様々な形で繋ぐ人になりたい。
そういう気持ちで取り組んできました。
長いような、短いような1000日間。
この経験はかけがえのない宝物です。
そして、まきまき花巻を通じて“自分の想いを伝えること”の楽しさも難しさもたくさん学びがありました。
“伝えること”から繋がる人と人との輪を、これからも大切にしていきたいです。
取材先の皆様、いままで関わってくださった関係各所の皆様、これまでたくさんのご指導をいただきまして、心から感謝申し上げます。
花巻の皆様、本当にありがとうございました。