(例文・読み方)
はるだなハ。
えらすぐねくれふったとしもあるども、こどしぁまだやだらつもらねがった。
もハさぐらもさいでどでするじゃ。
やばつねかぜふぐづどはなっことばさいでわがねがら、すばらぐやんべなてんきだばいな。
ぬぐぐなってわらしゃどもおだづきせつ」
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(例文・漢字入り)
春だなハ。
愛らすぐねくれ降った年もあるども、今年ぁまだやだら積もらねがった。
もハ桜も咲いでどでするじゃ。
やばつね風吹ぐづど花っこ飛ばさいでわがねがら、すばらぐやんべな天気だばいな。
温くなって童やどもおだづ季節」
・なハ → だねぇ(同意を求める接尾語。「盛岡では「なはん」。「なハ」は音便形か?)
・愛らすぐね → 愛らしくない → 可愛げがない(花巻では「好まない」の意)
・降った → 雪が降った(北国では秋〜春に「降る」とは主語がなくてもだいたい雪のこと)
・やだら → やたら(花巻では「随分」の意)
・どでする → 動転する(花巻では「驚く」の意)
・やばつね → やばつない(「えげつない」「よくない」「汚い」などの意)
・吹ぐづど → 吹くと
・花っこ → 「子っこ」「酒っこ」のように愛称として名詞に「っこ」をつける
・とばさいで → 飛ばされて(「されて」→「さいで」は音便形)
・わがね → 「だめだ」の意
・やんべ → いいあんばい → いあんべ → やんべ → 適当に(アバウトな意味もあり)
・いな → 「良いな」
・童やど → 子ども達(単数では「わらす(し)」、複数形になると「わらしゃど」)
・おだづ → はしゃぐ(「おだてる」の自動詞)
(訳文)
春だねぇ。
可愛げがないほど(雪が)降る年もあるけれど、今年は随分積もらなかった。
もう桜も咲いてびっくりする。
えげつない風が吹くと花が飛ばされてダメだから、しばらく良い天気だといいな。
暖かくなって子ども達もはしゃぐ季節」
※今、地域間移動が制限されています。
言葉もまた花巻の魅力ある文化なので、
花巻においでいただく代わりに、せめてそんな文化に触れていただければと思います。