まきまき花巻体験したい例文から学ぶ花巻弁講座 vol.1〜春編〜
例文から学ぶ花巻弁講座 vol.1〜春編〜
119 まき
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(例文・読み方)

はるだなハ。

えらすぐねくれふったとしもあるども、こどしぁまだやだらつもらねがった。

もハさぐらもさいでどでするじゃ。

やばつねかぜふぐづどはなっことばさいでわがねがら、すばらぐやんべなてんきだばいな。

ぬぐぐなってわらしゃどもおだづきせつ」

            ↓

(例文・漢字入り)

春だなハ。

愛らすぐねくれ降った年もあるども、今年ぁまだやだら積もらねがった。

もハ桜も咲いでどでするじゃ。

やばつね風吹ぐづど花っこ飛ばさいでわがねがら、すばらぐやんべな天気だばいな。

温くなって童やどもおだづ季節」

 

 

・なハ → だねぇ(同意を求める接尾語。「盛岡では「なはん」。「なハ」は音便形か?)

・愛らすぐね → 愛らしくない → 可愛げがない(花巻では「好まない」の意)

・降った → 雪が降った(北国では秋〜春に「降る」とは主語がなくてもだいたい雪のこと)

・やだら → やたら(花巻では「随分」の意)

・どでする → 動転する(花巻では「驚く」の意)

・やばつね → やばつない(「えげつない」「よくない」「汚い」などの意)

・吹ぐづど → 吹くと

・花っこ → 「子っこ」「酒っこ」のように愛称として名詞に「っこ」をつける

・とばさいで → 飛ばされて(「されて」→「さいで」は音便形)

・わがね → 「だめだ」の意

・やんべ → いいあんばい → いあんべ → やんべ → 適当に(アバウトな意味もあり)

・いな → 「良いな」

・童やど → 子ども達(単数では「わらす(し)」、複数形になると「わらしゃど」)

・おだづ → はしゃぐ(「おだてる」の自動詞)

 

 (訳文)

春だねぇ。

可愛げがないほど(雪が)降る年もあるけれど、今年は随分積もらなかった。

もう桜も咲いてびっくりする。

えげつない風が吹くと花が飛ばされてダメだから、しばらく良い天気だといいな。

暖かくなって子ども達もはしゃぐ季節」

 

※今、地域間移動が制限されています。

 言葉もまた花巻の魅力ある文化なので、

 花巻においでいただく代わりに、せめてそんな文化に触れていただければと思います。

私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。