まきまき花巻参加したい遊びの先にあるもの〜花巻おもちゃ美術館おもちゃ学芸員養成講座〜
遊びの先にあるもの〜花巻おもちゃ美術館おもちゃ学芸員養成講座〜
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 2020年春にマルカンビル2階にオープンを予定している、「花巻おもちゃ美術館」のおもちゃ学芸員養成講座が2019年6月1日(土)〜2日(日)の2日間開催されました。

 おもちゃ美術館とは、いったいどんな施設なのでしょう。

 先駆けとなったのは、東京都新宿区四谷にある東京おもちゃ美術館。この施設は、2008年に廃校を利用した体験型美術館として創られました。年間入場者数は、約140,000人。「おもちゃは子どもが初めて出会う芸術品である」という理念をもとにお客様をお招きする、全国でも類をみないNPOによる自主運営美術館です。様々な国のおもちゃで遊ぶことが出来る他、おもちゃ作りを体験できる場所や、実際におもちゃを購入できるショップも併設されています。

 花巻でオープンするきっかけを作ったのは、株式会社小友木材店代表取締役の小友康広さん。

 小友さんは、ただ木材屋を継ぐだけでなく「世界で一番カッコイイ木材屋」を目指しています。コンピューターで図面を作成し、そこから家具やモバイルハウスを作り上げるといった手法を使うなど、山元から消費者までの流れを全て自分の会社で請け負うことで、新しい世代の木材屋の実現に取り組んできました。

 2017年5月に沖縄のやんばる森のおもちゃ美術館を訪問し、その素晴らしさに共感。そして「豊かに子育てをできるまち」を目指し、花巻のマルカンビルにおもちゃ美術館を創ることを決意しました。岩手の木を使って、子どもたちがのびのびと楽しく遊ぶことが出来る空間を創る。それはまさに、小友さんが求めていた1つの答えでした。2020年の春にオープン予定となり、一番重要な人の育成をはかる為、第1回花巻おもちゃ美術館おもちゃ学芸員養成講座を開催しました。今回、第1期生は26名の方が参加してくださいました。

 

 東京おもちゃ美術館の副館長、星野太郎さんは全国におもちゃ美術館の姉妹館を作るミッションを行なっています。

 東京おもちゃ美術館をはじめ、2014年に沖縄県国頭村森林公園の「やんばる森のおもちゃ美術館」、2018年に山口県長門市の「長門おもちゃ美術館」、秋田県由利本荘市の「鳥海山木のおもちゃ美術館」が開設しました。現在花巻市の他にも、多くの場所でおもちゃ美術館の開設が予定されています。

 

 木のおもちゃは、木育という視点から多くのことを学ぶことが出来ます。1950年以降、戦後日本は多くの木を植えましたが、次第に外国の安価な木材やコンクリートなどの出現により、国内の木材自給率は大きく下がりました。その後、林業は衰退し、山が荒れ、花粉などの問題を引き起こしています。この状況を改善するべく、少しでも国産木材が使用され、またその為の第一歩として、「木のファンになってもらう」親子を増やすことが、東京おもちゃ美術館の提唱する「ウッドスタート」の狙いです。

 ウッドスタートは、生まれた赤ちゃんに地産地消の木製玩具を誕生祝い品としてプレゼントする事業や、子育て環境に地域材をふんだんに取り入れ、木質化、木育化する事業などです。現在49市町村、1県、21団体、12園など全国で取り組んでいます。

 木のおもちゃは、芸術と五感をつなげることができます。例えば、積み木は建築、おままごとは演劇、木琴は音楽。現代は、テレビゲームやスマートフォンの普及で、与えられすぎる遊びが、本来自分で見つけていくべき発想と感性を奪っている傾向があります。おもちゃにはそこをフォローしていく力があります。

「僕たちは、生まれてきた子どもたちに何ができるかを常に考えています。子どもたちが、木に触れ、木を学び、想像力や感性を養うことで、環境に対する意識も自然に考えるように成長していければ、これからの子どもたちの未来につなげるのことが出来るのではないでしょうか。」と、星野さんは語ります。

 

  参加者の方に感想をお伺いすると、「木のおもちゃを通して、環境問題に意識をもてる子どもたちや大人たちが増えていくという事に、この取り組みの大きな可能性を感じました。」とおっしゃっていました。

 

 続いて、東京おもちゃ美術館の施設運営部部長の橘高春生さん。東京おもちゃ美術館全体の現場監督を務めています。

 おもちゃは単純な作りだけれど深い。あえて遊びかたを教えなくても子どもたちは大人が考えつかないような遊びかたをします。毎日同じではなく、昨日まで出来なかったことが出来るようになるなど、達成する喜びを小さな体で体感しています。障害のある方も自分で遊べる喜びを感じて、ひとつのおもちゃを長時間触っていることも多いです。

 

 いよいよここで、実際におもちゃを触ってみんなで体感をしてみました。

▲けん玉は練習にコツがあるのだとか。選手権もあるそうです。

▲どんなふうに遊ぶのかな。色々やってみよう!

▲ひっくり返したらちょうちょの形になった!!

▲ちょっとそっちを持ってもらっていいですか?

▲くるくる落ちていくのが綺麗!!小さいけど音もするよ。

▲最高記録達成なるか!意外と男性がハマるそうです。

▲汽笛の音がするよ!本物みたい。

 実際に遊んでみたらどうでしょう!大人の皆さんでも本当に夢中になっていました。こんなふうにお子さんよりも親御さんが夢中になることが多いのだそうです。おもちゃを通じて親子のコミュニケーションが生まれることもとても大事なことです。

 それでは実際、おもちゃ学芸員はどんなことをするのでしょう。それは難しいことではなく、優しい温もりに満ちたものでした。

 声をかけないこともサポート、笑顔で見守る、出来たら拍手をする、親御さんの話をただ労って聞く、お子さんが怪我をしないように「あぶないよ」と声をかける、おもちゃの豆知識を教える。そしておもちゃ美術館の大切な木のおもちゃを心を込めてメンテナンスすることです。

 おもちゃ美術館は多世代交流の場だともいいます。今回の花巻で行われた養成講座にも様々な世代の方が集まりました。子育てをされている方とコミュニケーションを取ることで、楽しい時間を共有し、ひとりひとりが幸せになれるのではないでしょうか。今回参加された方たちの笑顔を見ていて、本当に心からそう思いました。

 

 花巻でのおもちゃ学芸員養成講座は、以下の日程で各定員約30名で今後も開催されます。

 第2期:2019年11月12日(火)〜13日(水)

 第3期:2020年3月7日(土)〜8日(日)

下記のアドレスから、エントリー情報をご確認いただけます。

http://goodtoy.org/ttm/about/pdf/hanamaki_kouza.pdf

 

私が書きました
塩野 夕子

2018年9月、宮沢賢治が好きすぎて埼玉県から移住してきました。
まきまき花巻編集部と市民ライターの二足のわらじで活動しています。
現在は宮沢賢治記念館に勤めながら、大迫町の早池峰と賢治の展示館・2階にある「賢治文庫」も管理しています。