まきまき花巻行きたいワインを通してつながる場所~日本ワインフェスティバル花巻大迫2019~
ワインを通してつながる場所~日本ワインフェスティバル花巻大迫2019~
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 2019年5月25日(土)・26日(日)の2日間開催された「日本ワインフェスティバル花巻大迫2019」。

 今年3回目となるこのイベントに、日本ワインの造り手が大迫町に集結しました。

 このイベントの会場となる花巻市大迫町は、雄大な早池峰山や周辺の山々に守られる様に佇む、伝統芸能の神楽やあんどんまつりが有名な町です。大迫では昭和26年かブドウの栽培が始まり、年間の降水量が少ない、朝夕の寒暖差が大きい、そして石灰質の土壌という独特の気候や風土が、ブドウの栽培に適していると言われています。花巻市内にある3つのワイナリーは、すべて大迫にあり、大迫はワインの産地として知られています。

 私は花巻市地域おこし協力隊ワインPR担当として2018年8月に着任しました。着任後、周りの方から日本ワインフェスティバルの話を聞いていて、参加することを楽しみにしていました。同じく花巻市地域おこし協力隊の塩野さんと参加してきました。初めての日本ワインフェスティバルのレポートです。

 商店街の入り口に入ると、花巻のワイナリーが迎えてくださり、ほっこりした気持ちでスタートです。「エーデルワイン」「高橋葡萄園」「亀ヶ森醸造所」にあいさつをして歩いていると、

「今日は花巻以外のワインを沢山味わってね。」

と温かいお心遣いをいただき、思わずじーんとしてしまいました。

(でも結局、最後には花巻ワインをいただきに戻ってきちゃいました。)

 

 

 それではさっそく市内のワイナリーを紹介します!

 トップバッターは、花巻ワインの先駆けとなった「株式会社 エーデルワイン」です。

 

▲右から、醸造担当の行川さん、営業担当の石ケ森さん。

 エーデルワインは昭和49年の設立以来、様々な試行錯誤を重ね、国内外の数々のワインコンクールで受賞するなど、成長を続けています。エーデルワインでは大迫地域のブドウを中心に使用し、ワインを醸造しています。

 大迫のブドウ農家さんは、主にキャンベルやナイアガラなどの生食用品種をはじめ、リースリング・リオン、メルロー、ツヴァイゲルトレーベ、シャルドネのほか、日本では珍しいオーストリア原産のロースラーや、ドイツ系品種のケルナー、ミュラー・トゥルガウなどのワイン用品種を栽培しています。

 

 次のワイナリーは高橋葡萄園です。代表の高橋喜和さんは、もともとエーデルワインで働いていました。オーストリアにワイン留学をしていた経験もあり、エーデルワインでの実務経験を経て独立。現在は大迫で、ブドウ畑とワイナリーを営んでいます。

「品質は畑で育つ」という理念のもと、大迫の風土を生かした最上のワインを目指し、ブドウ作りから醸造までこだわりを持って取り組んでいます。

 

 最後にご紹介するワイナリーは亀ヶ森醸造所です。ブドウ農家の大和田博さんとりんご農家の高橋英則さんがタッグを組み、個性あふれるワインとシードルを作っています。

▲以前のイベントの写真ですが、本当に沢山の種類があって造り手さんの個性が光ります。

 「毎日の食事に合わせた、普段飲み。」をコンセプトに、自分たちの畑で丹精込めて育てたブドウやりんごを使って醸造しています。

 この他にも、大迫では新しい取り組みでワインが作られています。

 イベント限定の「大迫ブドウ生産者ワイン」。こちらはエーデルワインさんで醸造していますが、それぞれの生産者さんのブドウだけを使ったワインで、ワインボトルのラベルにはブドウの造り手さんの名前が入っています。早池峰山とハヤチネウスユキソウの美しいラベルで、とっても素敵です。

▲生産者さんの名前入りのワイン。

 

 こちらは、大迫佐藤葡萄園の佐藤直人さん。高橋葡萄園に醸造を委託しています。2017年に新規就農し、2018年に収穫したブドウで初めてできたワイン。ツヴァイゲルトレーベの赤ワインとロゼワインです。佐藤さんは、将来、自家醸造を目指しています。

 岩手をはじめ、北海道、山形、福島、栃木、東京、山梨、長野、新潟から、合わせて41ワイナリーが大迫に集まるというだけあって、会場はとても活気にあふれています。

 数あるワイナリーの中から、興味を持った造り手さんがいるブースを3ヵ所訪ねてみました。

 まずおひとりめは、東京都練馬区からお越しの、「株式会社HORIGO 東京ワイナリー」の代表の越後屋美和さん。

「今年3年目ですが、大迫でのワインフェスティバルは、地元の方が多い印象です。ゆるやかな大迫の雰囲気、まわりも山や畑など自然がいっぱいで、毎年楽しみに出店しています。」

 越後屋さんが作り出すワインは、「生ワイン」を基本としていて、ろ過をせず、加熱殺菌もしない製造方法です。酵母をそのままボトルに残しているため、ワイン本来のフレッシュでフルーティーな味わいが楽しめます。

 ワイナリーをおひとりで切り盛りされている越後屋さん。ものづくりの面白さを知ってほしいと、ボランティアの方を呼んで、ブドウ作りの体験をしていただくこともあるそうです。コンセプトは、「地元の野菜に合うワイン」。シンプルでわかりやすく、共感するものがありました。野菜とパンとワイン、それにチーズなんてあったらもうごちそうですね。東京でもブドウ畑やワイナリーがあることを知らなかったので、このイベントを期に知ることができてとても嬉しかったです。

 試飲セレクトは「東京スペシャル(赤・辛口)」

 東京農業試験場が育種した「高尾」という贈答用の高級生食用ブドウと、やまぶどうのブレンドの赤ワインです。やまぶどう独特の酸味は感じられますが、それを包み込むような華やかな香り。うっとりとしながら味わいました。

 

 次にお伺いしたのは、山形県上山市からお越しの「有限会社 タケダワイナリー」の佐藤さんと、舟山さん。タケダワイナリーは総勢20名ほどの為、オールマイティに仕事ができるスタッフが多いのだそうです。

 上山は標高が高くブドウの栽培に適していた為、100年ほど前から栽培を始め、産地として知られるようになりました。品種では、デラウエアが割合として多い傾向で、土地に合っているため育てやすいといいます。その他にも、マスカットベーリーA、シャルドネ、カベルネソーヴィニヨンなど、多くの品種が栽培されています。

試飲セレクトは「タケダワイナリー ブラン(白・辛口)」。

 山形県産のデラウエアを使った、すっきりとした飲み口の白ワインです。ひとくち飲んだ瞬間に、びっくりしました。本当に好みだと「おいしい!」と素直な感想が一番にでるんですね。辛口とありますが、飲みやすいのでワイン初心者の方にもおすすめです。 

 

 最後にお伺いしたのは、山梨県勝沼からお越しの「ダイヤモンド酒造」の雨宮さん。

 こちらでは、マスカット・ベーリーAという品種に力を入れていて、2018年に開催された日本ワイナリーアワードで5つ星を受賞しています。

 マスカット・ベーリーAは、フランスに拠点を置くブドウの栽培やブドウ品種、ワイン作りに関する総合的な研究機関「O.I.V.(国際ブドウ・ブドウ酒機構)」により、日本固有のブドウ品種であると認められました。

「国際的に認められたことで、日本ワインを説明しやすくなりました。」と、雨宮さんは語ります。

    

 今回はこちらの3つのワイナリーさんをお伝えしましたが、他にも紹介したいワイナリーさんは尽きませんでした。ワインはまだまだ勉強中で、イベントに参加したことで学ぶことは多くありましたが、

「日々、お店でワインを飲んだり、本を読んだり勉強していますが、造り手さんとお話をしながら味わうワインに勝るものはないな。」

と、改めて思います。

 参加者の方が楽しそうなのはもちろん、造り手さんが楽しんでいる様子がとても印象的でした。熱のこもったお話を聞くと、「もっと勉強しなくては!」と刺激を受けます。そして、まわりに教えたくなります。

 以前は、ワインを贈り物にすることはとても贅沢なイメージでしたが、

「自分が好きになったワインを大切な人にも味わってもらいたい」と、思うようになりました。

 ワインを通じてつながるご縁を大切に、造り手さんの想いを伝えることを大事にしながら、これからもワインPR担当として、花巻ワインのファンを増やしていけるように、力いっぱいやっていこうと思います!

 

 

 

こちらの記事は、市民ライターの飛世かおりと塩野夕子の合同取材による記事です。

取材:飛世かおり

写真・記事執筆:塩野夕子・飛世かおり

 

〈参考〉

ホームページ

・エーデルワイン

・高橋葡萄園

パンフレット

・日本ワインフェスティバル 花巻大迫2019

・東京ワイナリー

・タケダワイナリー

・亀ヶ森醸造所

私が書きました
飛世かおり

花巻市地域おこし協力隊、花巻ワインPR(2018-2021)
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