まきまき花巻参加したい第一回 簗ノ上リノベーションプロジェクト(1日目) 
第一回 簗ノ上リノベーションプロジェクト(1日目) 
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 懐かしい里山の風景を進んで行くと、そこに今回のリノベーションの舞台が現れます。ここはJR釜石線土沢駅から車で10分ほど走ったところにある、花巻市東和町小友の古民家です。

 2019年1月、ライターである私自身も取材と手伝いの名目でリノベーションに参加させて頂くことになりました。リノベーションを本や聞いたお話で学ぶよりも、実際にオーナーさんとお会いしてお話を伺い、体を使ってお手伝いしてみたい!と思ったのがきっかけです。

 古民家のオーナーの高橋典人さん(57)は、この場所を大人がほっこり集える場にしたいと語ります。カフェやギャラリー、ドッグラン、イングリッシュガーデンなど様々な構想があるそうです。その他、土沢アートフェアの準備などの整理会場や農業体験をされた方への簡易宿舎などの意見もあります。可能性が沢山詰まったリノベーションです。

 1月とは思えないほどよく晴れて風もあまりなく、作業日和。全員が晴れ男、晴れ女というような笑顔が素敵でやる気に満ちた東和農旅事務局員さんや、地域おこし協力隊などのボランティアメンバー8人で初日はスタートしました。

 朝のミーティングをしていると、この辺りで可愛がられているという猫が姿をあらわしました。このあたりには地域猫が多いそうです。動物が落ち着いて暮らせる環境なのだと、地域性の素晴らしさを感じました。

 

 今日の作業は、土蔵2棟。1棟は牛舎だった建物で、屋根から少しずつ取りかかり徐々に重機で解体し、もう1棟は、中の物を搬出し床材を撤去します。作業にとりかかる前に、塩とお酒でお清めをします。初めて見る光景に、何を始めるのか分からず聞いてみました。「怪我なく無事に作業できますように」ということらしいのですが、私は「これから幕を閉じる歴史ある建物に敬意を払おう」というようにも感じました。こういった儀式は、山で木を切ったりする時にも行われます。それを見て、なんだか胸が熱くなりました。

床材を撤去するために、蔵の中にある古い食器が入っている木製の大きな箱や外してあったガラスの引き戸などをどんどん運び出します。重いものやガラスもあったので、怪我をしないように真剣に作業をしました。なんと、明治と書かれた木札まで出てきました。

肉体労働は慣れるまでが大変ですが、慣れてくると作業ペースも良くなってきます。

 「こびり」の時間は、お昼を挟んで2回。お茶や珈琲、手作りの柿菓子や銀杏、干し芋などを囲んで小休止。話を聞くとこの民家の敷地には、宮沢賢治さんの作品に出てくる木が沢山植わっています。松の木、銀杏の木、椿の木、そして有名なやまなしの木。宮沢賢治さんファンの私は、すっかり興奮してしまいました。敷地の木や庭は少し荒れていましたが、とても趣があり、ひとの手が入れば、立派な見ごたえになりそうだなと思いました。

 そして、1日目の賄いは豚汁とおにぎり。花巻の特徴かもしれませんが、梅おにぎりと味噌の焼きおにぎりが多い気がします。埼玉出身の私は、少し珍しいなと思いました。お米も美味しくて、本当に幸せを感じました。疲れた後の青空ごはんは格別です。

 その後着々と作業が進み、牛舎だった土蔵は解体され、重機と人の手で廃材処理が進められました。一番大掛かりで危険も伴いましたが、夕方までメンバー全員が力を尽くし、無事に怪我もなく1日目を終えることができました。

 

  地域の活性の為に集まり一団となって成し遂げ、これだけ大きな力を生み出す、改めて花巻はすごいパワーを秘めているなと思いました。色々なことにチャレンジしてみる、そんな精神を学びました。

 

引き続き、翌日も行われたリノベーションの様子は、次回ご紹介いたします。

 

私が書きました
塩野 夕子

2018年9月、宮沢賢治が好きすぎて埼玉県から移住してきました。
まきまき花巻編集部と市民ライターの二足のわらじで活動しています。
現在は宮沢賢治記念館に勤めながら、大迫町の早池峰と賢治の展示館・2階にある「賢治文庫」も管理しています。アパートで猫とふたり暮らしです。