私はといえば、まだ留学先のイギリスにいる。
だけど、心の住所東和町のことは、どこにいようと私の頭の中を離れない。
和さんの所に何樽も並んでいた味噌が、小田農園からいっぱい送ってもらっていたお米が、イギリスではこんなに貴重品だなんて!
そろそろ、東和町の味噌のあったかいお味噌汁と一緒に、新米のぴかぴかなお米で作ったおむすびを口いっぱいに頬張りたい。
さて、時は9月。9月といえば、稲刈りと共に、東和棚田のんびりRunの季節だ。
数か月前ほど、「のんびりRunの応募フォームが開いたよ!まっちーも是非来て!」とありがたいコールが届いたが、まだ大陸の向こうにいるので泣く泣くお断りせざるを得なかった。
でも、私がどこにいようと、そんなあったかい言葉をかけてくれる東和のみんなが大好き。だから、具体的に何ができるというわけではないのだけど、東和のことはずっと見守っている。
今年ののんびりRunはどのようになるのだろうか。Facebookページなどをチェックしていると…なになに。のんびりRun も一段と進化している。
まず目を引いたのは、3色ののんびりRun Tシャツ。私がいた時に買えたのは、青色だけだったような、、?しかも、「東」の字もなんだか可愛い!
青は持ってるから、ピンクか黄色のどっちかが欲しいな〜。イギリスにいるから難しいけど。
それから、ランナー達のお待ちかね、エイドのこびり。
ミョウガの葉焼き、紫蘇ジュース、平野さんのりんごジュース、お団子、キュウリ…。イギリスにはある訳がないお宝ばかりだ。
そして今年はなんと、平野さんのりんごを使った、ノンアルコールのりんご酢モヒートなるものがあるらしい。これは私も未体験!
東和に帰ったら、飲みに行かなきゃ。
また、今年は「親子ショート」という親子で走れる短距離のコースもあるという。
ハーフはちょっときついかも…という人やお子さんでも、これなら走れる!念願の新コースの開拓だ。
そして何よりびっくりなのが、東和中の生徒さん方の活躍!今年は総勢67名の生徒さんが、運営サポートに協力してくださるという。いよいよ町を挙げての大イベントだ。
棚田ランのねらい等に関するレクチャーからコースの現地確認まで、何度も確認を重ねて準備を進めていく。
この棚田ランへの協力を通じて、学生さん方はどんな思いを抱いただろう。これこそ最高の、「東和創造学」の授業だ。
ところが-。一つ、心配事が浮かび上がった。
棚田ラン前日の21日に花巻の天気を調べたところ、すごい雨が降っているらしい。そして、当日22日の予報も雨。
過去には雨予報でも当日奇跡的に晴れたということもあり、棚田ランがいかにお天道様にも守られているかを証明したものだが、今年は残念ながらそうも行かなそうだ。
それでも、中止というのだけは避けたい。今までの準備、そして私以上に心配な気持ちで東和の雨雲を見ているであろう皆さんの気持ちを思うと、胸が張り裂けそうになった。
そんな状況でも、東和のみんなが諦めていないことが、この異国の地にも伝わってきた。
カッパ、長靴を着込んで、エイドの設営などの準備を進めていく。
中学生達も、多少の雨ならへっちゃら!エイドの案内作りからランナーの皆さんにお渡しするグッズの仕分けまで、楽しそうに作業する。頼もしい限りだ。
日本時間の21日夜、イギリス時間の昼。Facebook を再び確認すると、運営チームの皆さんにとっては「眠れぬ夜」だという。それはそうだろう。
明日は、無事開催されますように。
そしてイギリス時間の21日夜8時半、日本時間の22日朝4時半。「朝4時に集合して、本部設営開始した」と運営メンバーから連絡が!やはり天候は雨だが、開催する模様だ。
雨の中での棚田ランは、私は経験がないが、無事に開催できるだろうか。みんな笑顔で楽しめるだろうか。
今度は、イギリスにいる私が少しばかり心配な夜を過ごすことになった。
イギリス時間の22日午前、日本時間の夜。その心配は無用だったようだ。
Facebook を開いてみると、「雨の中お疲れ様でした!」という言葉と共に、東和のみんな、中学生達とランナーの方々の逞しい姿と晴れやかな笑顔が、そこにあった。
確かにバックの空は曇り空なのだけど、みんなのキラキラとした笑顔からは、雨模様だということを全く想像させない。
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ。東和は、なんて逞しい町なのだろう。
運営の皆さんはさぞかし不安だっただろうが、この経験を経て、雨の中での棚田ランという新たな可能性の開拓につながったに違いない。
もちろん晴れが一番なのだけど、雨の中での励ましあいが、不思議と会場の一体感につながっていたのだろう。
運営の皆さん、中学生の皆さん、ランナーの皆さん。誰か1人でも諦めていたら、成立していなかっただろう。
本当に、本当にお疲れ様でした!!
来年の秋は、私は日本に戻っている(予定)。その時は、東和の黄金色に輝く棚田を、また見ることができるだろうか。
稲作という文化のない異国の地に住んで改めて、あの風景、そしてその棚田から収穫されるお米のあの味が、日本の、そして東和だけの宝物なのだと心から感じる。
早くみんなに会いたいな。
東和中生という心強いサポートを得て、もう私なんかのお手伝いは不要かな…?というのが不安だけど、それでも無理にでも会いに行こう。
今年降ったこの雨が、来年には虹に変わることを願って。