まきまき花巻味わいたい大迫のホッとするパン屋さん「パン窯 ドン・ボスコ」
大迫のホッとするパン屋さん「パン窯 ドン・ボスコ」
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近所に、休日になると半分部屋着のままで行きたいパン屋さんがあります。

 

大迫町大迫の商店街にあるパン屋さん「ドン・ボスコ」。

 

入り口にいつも座っているワンちゃんに挨拶をしてから、中に入ります。こんにちは〜と言いながら店主の深澤さんにもごあいさつ。笑顔で「いらっしゃいませ、いつもありがとうございます」と出迎えてくれるので、ホッとします。

中に入るとふんわりとパンのいいにおい。思わず鼻がふくらみます。

どんなパンが並んでいるかはその日その時間で変わってきますし、いつもなにかしら新しいパンとの出会いが待っていてワクワクします。

 

 

“素朴なおいしさ”という言葉がぴったりくる…(*´꒳`*)
家庭的というか、毎日食べたくなる、そんなパンばかりです。

さて、ここからは店主さんのご紹介です。

 

山が好きで林学の道へ

 パン窯 ドン・ボスコの店主、深澤光さんは東京都杉並区出身。子どものころから山村での生活に憧れて育ちました。学生時代は、山道をサイクリングすることが趣味で、その後「林学」の道を志します。大学卒業後は、東京を離れ岩手県に移住。盛岡市の岩手県庁に勤めました。
 森林組合、造林緑化、企画などの実務を担当したのち、林業改良指導員、岩手県林業技術センター森林資源部研究員などを経て、県南広域振興局花巻総合支局遠野森林センター林務課の課長として勤務。そして、林業指導、木質バイオマスエネルギーに関する調査、普及にも携わっていました。県庁職員として、盛岡、宮古、花巻、遠野、奥州など、岩手県内を転勤された経験をお持ちです。

 31歳の頃、深澤さんはスイスへ林業の勉強をするために、3ヶ月間研修を受ける機会に恵まれます。その時に、スイスの家庭でのパン作りに影響を受けました。3か月の滞在中に、奥様がスイスの友人たちからパンの作り方を教わりました。そのパンづくりの技術が後になって役に立つとは思いもしなかったそうです。

 そして1997年に岩手県で開催された『食パラダイス岩手』での、どんぐりパンなどの出展企画を仕事で担当したことをきっかけに、2002年に奥様のご実家である本と文房具のお店「いせかん」を改装し、パン屋を創業しました。

 最初の頃は、食パン、ごまパン、ツオップというスイス発祥のパンの3種類だけでした。その後、近所の人にパンの味見をしてもらいながら、少しずつ種類を増やしていきました。実は、店主の光さんがお店に出るようになったのは、県庁職員を退職した3年前から。それまでは、奥様がほぼ一人でパン屋さんを切り盛りしていたのだそうです。

 

美味しいパンを作るには

お店の紹介文には、こう書かれています。

 小麦と水、塩、天然酵母だけを使った「げんこつパン」、スイスの家庭仕込みのバターと卵をふんだんに使った「三つ編みパン」、このほか素朴な味わいのパンを日替わりメニューでお届けしております。(日曜を除く毎日10:30頃~焼き上がり)

 

 美味しいパンを作るには、美味しい水が不可欠なのだそうです。そう、ここ大迫は霊峰早池峰山からの美味しいお水が流れてくる自然豊かな町です。私もここに暮らすようになって、水の美味しさに感動しました。スイスの田舎町もこんな感じかなぁ。

 

 そうそう、先ほどご紹介したツオップというスイス発祥のパン。どんなパンなのか気になって調べていました。

 ツオップは、15世紀のスイスで生まれた「編み込んだ髪」という意味のパン。その名の通り、三つ編みの髪の毛のような見た目をしているのが特徴です。なぜパンを編み込む必要があるのかについては、いろいろな説があります。ヨーロッパには地域の当主が亡くなった際に妻の髪の毛を編み込んで一緒に埋葬する習わしがあったそうですが、時が経ってパンで代用になったという説が有力なのだそうです。地域によっては、レーズンやアーモンドを入れるところもあります。

 

お気に入りのパンをご紹介

 私が毎年楽しみにしているのが、シュトーレン。ドイツの伝統的なお菓子で、クリスマスまで少しずつスライスして食べる習慣があります。「坑道」という意味で、トンネルみたいな形からきているのだとか。ナッツやドライフルーツの風味が少しずつ生地に染み込んで、毎日温かい紅茶と食べるのが楽しみになります。販売は12月の一時期だけなので、特別感がありますよね。

 

薪文化の魅力

 自らを「マキワリスト」と名乗り、地域の資源活用と環境保全のためにまずご自身で動いて、理想とする生き方を実践してきた深澤さん。実は、アメリカで暖炉の技術を本格的に学んだ経験をお持ちでした。
 フィンランドやスウェーデンなどの寒い地域の暖炉の技術を、アメリカ人が学びノースカロライナ州でワークショップを毎年開催しているという情報を知り、現地に赴いて勉強。現在お店で使っているパン窯は、その時に仲良くなったワークショップの主催者さんたちが4人が日本に来てくれて、2005年に作ってくれたものです。深澤さんは、自分や地域の子どもたちにも勉強はほどほどにして、いろいろなことを体験させなければならないとしみじみ感じているといいます。

 

 

 スイスのパンを参考に作っていることを、取材を通して初めて知ったのですが、わたしは大迫に引っ越してきたときから、ドン・ボスコのパンが大好きで通っているので、好みにぴったりだったのだと思います。少し噛みごたえがあって、味わい深く、スープや温かい飲み物、ワインやチーズとの相性も最高です。大迫はワインの里としても有名ですから、ぜひドン・ボスコのパンもご一緒に味わってみてはいかがでしょうか。

私が書きました
塩野 夕子

2018年9月、宮沢賢治が好きすぎて埼玉県から移住してきました。
まきまき花巻編集部と市民ライターの二足のわらじで活動しています。
現在は宮沢賢治記念館に勤めながら、大迫町の早池峰と賢治の展示館・2階にある「賢治文庫」も管理しています。