まきまき花巻参加したい輝く棚田を駆け抜けた先に
輝く棚田を駆け抜けた先に
308 まき
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9月も後半。東和の棚田はいよいよ黄金色の輝きを見せる。

あちらこちらで稲がはせに掛けられ、野焼きの煙ももうもうと上がる。

棚田

遥か昔から農業が営まれていた、伝統ある東和という地域だからこそのこの風景。

もっと多くの人に知ってもらいたい。もっと多くの人に感じてもらいたい。

9月22日に開催された「東和棚田のんびりRun」には、そんな思いが込められている。

 

何から何まで東和のたくましい地元民による手作りのこの大会。

大変だが時には楽しい事前準備を経て、何とか去年に続き2回目の開催に至ることが出来た。

ライン引き 

「東和棚田のんびりRun」のコンセプトは、ただ21.6kmのコースを速く走れば良いというものではない。

その名の通り東和の棚田をのんびり走り、豊かな自然、南部藩の百姓一揆の歴史、そして地元の方々との交流を全身で楽しむことが、参加者に与えられた最大のミッションだ。

 

当日、スタッフは朝5時前からスタート地点である東和温泉に集合し、6時半からのランナー受付に向けて準備を始める。

続く開会式には、花巻市長や市議会議長をはじめとした来賓の方々も駆けつけてくださった。

朝早いにもかかわらず、会場には明らかに眠気よりも熱気が立ちこめていた。

集合写真

 

いよいよスタート。

ほら貝の音と共に、百姓一揆の農民たちが一斉に駆け出した。

 

 

ほら貝とスタート

「百姓一揆への道」と称されたコースに待ち受けるのは、中世の和賀氏の足跡の残る山城跡、創建から1300年以上の歴史を誇る丹内山神社、南部の暮らしを象徴する曲がり家。

急ぐ旅ではない。ランナー達は東和に根付く古くからの文化にゆっくりと思いをはせることができる。記念撮影をしたり、歴史ガイドを聞きながら立ち止まる方もいた。

歴史ガイド

そして、コースを取り囲む棚田、棚田、棚田。この大会の目玉だ。

ここにしかない壮観の中を、颯爽と駆け抜ける。ランナー達の表情は、幸せに満ち溢れていた。

砂子田ラン

一方で、棚田があるということは、それだけアップダウンがあるということでもある。ランナーにとっては関門だ。

「もう疲れた…」

そう思ったころに待っているのが、8箇所のエイドと東和のうんめえこびり達である。

エイド

おこわがんづき、しそジュース、きゅうり三五八漬け、味噌ソフト、ミョウガの葉焼き、りんご、米粉クロワッサン、ミニトマト―。

どれもが、東和の母ちゃん達、農家さん達の愛情込もった手作りだ。

「走っているのに、お腹いっぱい…」

多くのランナーはそう口にする。

あれだけごちそうが道中待ち受けていたのだ。そう言いたくなるのも無理はない。

 

 

沿道の地元の方々の声援も、ランナーにとってはこれ以上ない栄養補給だ。

中には、2時間以上もコースに立ち、採れたての栗を配ってくださる方もいた。

 

応援

 

東和の恵みを両手いっぱいに持ち帰り、遂にゴール。

「おかえりなさい!」

そう自然と言葉が出る。

ゴールテープを切り東和の家族の一員となったランナー達は、棚田に負けないくらいの輝く笑顔であった。

ゴール

 

走り終えた後は、ランナー・スタッフ一同、道の駅とうわで同時開催されていた「愛吹文化祭」を楽しんだ。

そこでは、東和らしさの詰まった「東和棚田のんびりRunセット」も売られていた。

 

棚田セット

今日の日の思い出を、みんなが大切にお家まで持って帰ってくれますように。

 

 

これから東和の秋は深まり、たわわに実った稲穂も次々と刈り取られていく。

でも、来年も、あの景色が見たい。

歴史を感じたい。

東和の人たちに会いたい。

うんめえこびりをいっしょに食べたい。

みんなと並んでのんびり走る喜びを、もう一度感じたい―。

 

21.6kmのコースをゴールしても、そこが終わりではない。

その先、その次があることを、この場に参加した誰もが願っている。

 

また来年も、もう一度。

 

私が書きました
まっちー

神奈川県横浜市出身。2年間の期限付きで、2018年4月から2020年3月まで岩手県に出向。現在は東京在住。ご縁あって花巻市、中でも東和町の大ファンに。