まきまき花巻体験したい市職員たちの新しい取り組み
市職員たちの新しい取り組み
264 まき
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 公民連携を模索する若手花巻市職員有志の方々が、TeamPというグループを作って今年1年活動してきた結果の発表会が12/13にゲストハウスmeinnのリビングスペースで行われた。TeamPの「P」とは「Public」「Practice」「Project」の3つの「P」。どうしても公と民は思考回路も、価値観も、文化も違ってきがちであり、お互いにコラボしようと思った時に話がかみ合わないことも時々ある。民が公を経験しようと思ってもなかなかできないので、連携のためにも公が民を経験し、社会の諸問題を同じ文脈で民とともに解決への方策を探る・・・というのが目的と感じた。これまでにはあまり無かった思い切った取り組みだ。TeamPは昨年行われた公民連携プロフェッショナルスクールを受講した市職員2名が発起人になって立ち上がったグループらしい。

 当日集まったのは発表者たちと同じ市職員の方々が多かったが、民からは市民活動団体を率いる若手、リノベーションスクールを経て自分の店を開店させたプレーヤーのほか、立ち位置が公と民の中間であろう地域おこし協力隊員など。実は(民の立場からは)もっと多くの市職員が興味を持って集まると思っていたのだが、この活動はまだ緒についたばかり。これからだろう。

 発表者は女性1人、男性3人のメンバー。それぞれが取り組みたいことを企画し、ほかのメンバーが手伝うという方式だったらしい。最初の発表事例はマルシェイベントでの出店。正直言って民間業者としては当たり前のことも、(例えば会計など)公的立場の人にとっては初めての経験で手探りだ。発表を聞いていて思わず手を差し伸べたくなってくるが(笑)その経験もまた貴重。以前から、例えば公的機関や、半公的機関のような商工団体などが主催するイベントなど「やれば人が来る」的取り組みが散見され、「もう少しこうすれば・・・」と思うこともあったが、ただ商品を仕入れて売るだけではなく、どんなニーズがあるか、どうPRしどう集客するかなど、経験しなければ実感は難しいと思う。そういう意味では大変意味あることなのではないだろうか。なお、出店にあたり、公務員として法的に問題ないかどうかも事前にチェックしてから実施したとのこと。

 次の発表は、毎回たくさんの人を集めるイベントである土澤アートクラフトにてハロウィンイベントを行った報告。これは単に子ども向けイベント内イベントを行ったというだけではなく、「まちの中で遊ぶ体験を通して、まちへの愛着を子どもたちの中に育みたい」という趣旨。確かにかつてまちは子どもの遊び場でもあった。その子どもたちが大人になって、まちの現状を嘆いている。愛着があるからこその嘆きだとすれば、その思いを将来の大人たちに引き継ぐ意味でも意義ある取り組みだったのではないか?そしてもうひとつ。賑わいあるまちを再生するために、子ども達、あるいは子どもを連れたファミリー層がとても重要な存在だと、聞いていて再認識した。そこをターゲットにしたまちづくりもアリだ。この取り組みはアートクラフト出展者たちとの繋がりができたという副産物もあったらしい。人と人とが繋がるところに人は集まる。

 3番目の発表は「エコリノベーション」ワークショップ実施。大きくは持続可能な社会のために化石燃料の節約を図ること。身近なベネフィットとしては光熱費節約と同時に、コンパクトエコライフ実践につながるものとして評価できる取り組みだ。実際に土澤商店街にある店舗を舞台に参加者を募り、安い材料を使って断熱リノベーションを実施。施工前と施工後の室内温度計測も行って効果を実証している。この取り組みは一般家庭においても大変意味あることだと思うので、ぜひ継続して取り組んで欲しいと思った。TeamPでの取り組みで継続するよりは、もしかしたら呼びかけやワークショップ実施などトータルで行う別な枠組みを作ってもいいのかも知れない。それほど、これだけで終わらせるにはもったいない。TeamPとしてはもっと色々な取り組みへのチャレンジが必要だろうし。

 最後の発表は公民連携というよりも、市職員のスキルアップというか、公的機関の役割確認のための取り組みという性格が強いもの。何か災害があった時のための避難所連絡員の仕事や役割確認を学習するワークショップを実施したという事例だった。「避難所運営ゲーム(HUG)」を体験するイベントを行い、災害時のシミュレーションから、その時の考え方、動き方を疑似体験して学ぶという取り組みだった。市職員以外にも参加者を募り、30人ほどの参加を得ての開催で、相当に意味があったという。ただ、いつ起きるかわからない災害を考えると、30人という参加者、HUG体験者数はまだまだ少ない。いかに花巻が災害のないまちとはいえ、いざという時は待ってくれない。今後は市の災害対応・防災部門による、市民を巻き込んだ継続開催を切に願う。TeamPの発動を端緒に、今後の対応を期待したい。

 TeamPとしての取り組みはまだ初年度。まだまだ、イニシャルコストの吸収の仕方やマーケティングなど、これから体験の中で学んで行くことになる。来年以降もイベントなど様々な場面で、市民や花巻を訪れる方々の目に触れる機会もあろう。「変わった取り組み」として遠目で眺めるのではなく、交流し、一緒になって取り組むことにより、公民連携の目的により近づけるはずだ。彼ら自身、花巻市職員である前に花巻市民であり、地域の一員なのだから。そういう意味では国民、県民、市民として、私たちも一緒になって取り組みたい。

私が書きました
北山 公路

出版プロデュース、企画・編集のフリーランス。
花巻に生まれ育ち、今も花巻在住。東京の出版社の仕事と地元の仕事半々を花巻でこなす。2017年春から「花巻まち散歩マガジン Machicoco」を創刊し、隔月発行継続中。